オレの名前はイ・シン
ん?ひょっ著してシン・シンの方が分かりやすいかな?
父さんと母さんが大人の事情で別れた後、オレがお腹にいることを知った母さんは
一人で産んで育てたんだ
母さんは父さん恋しさのあまり、このオレに父さんと同じ名前を付けちゃったから~晴れて二人が結婚した時
父さんとオレは同姓同名というややこしいことになってしまったんだ
この度・・・オレも保育園からず~っと一緒にいたミヨンと≪できちゃった結婚≫をしたわけだけど・・・
母さんと婆ちゃんがオレたちを可愛がるyあまり・・・どうやら四世代同居になりそうだ
大学を卒業したオレたちだけど、ミヨンは折角内定を貰った会社を辞退することになった
まだまだ女性の妊娠出産に関して、社会は寛大じゃない
ミヨンは泣く泣く就職を諦め、母さんや婆ちゃんと一緒に専業主婦の道を歩むこととなった
オレは父さんの会社に入るつもりでいたけど、爺ちゃんからの強力なアプローチがあって爺ちゃんの会社に
入ることとなったんだ
新入社員のオレはまるで社畜さながらに働いた
だって・・・家族が増えるんだから当然だろ?
折角決まっていた就職を諦めなきゃならなくなったミヨンの為にも、そりゃあ必死さ
疲れて家に帰るとミヨンが玄関まで出迎えに来てくれる
そうしてオレのスーツの上着を持って、オレたちの部屋で着替えるようにと促す
あぁ…こんな時、結婚して本当に良かったなと感じるよ
ミヨンは母さんや婆ちゃんの始動の元、随分料理の腕を上げたらしい
毎晩・・・ミヨンの手作りの料理が披露されるんだ
そりゃあもうメチャクチャ美味しくて~ほっぺた落ちちゃうほどだ
『ミヨン・・・すご~~く美味しい❤『
『ホント?よかった~♪明日も新しいお料理に挑戦するね。』
ああ・・・とっても幸せだ
日に日に膨らんでくるミヨンのお腹を見て、婆ちゃんはある日とんでもないことを言い出す
『チェギョンちゃんも・・・そろそろ子供たちも大きくなったことだし、もう一人頑張っちゃう?』
『お義母様~何を仰るんですか~~///』
婆ちゃん・・・ジョークにしてもそれは笑えない
自分の子供と兄弟が同じ歳だなんて、オレは嫌だからな!
でもあの父さんならやりかねない
婆ちゃん・・・頼むから父さんにそのセリフは言わないでくれ!
ミヨンの妊娠生活は順調だった
華奢なミヨンが以前の母さんのようにお腹をせり出すようになると、チェリムもジュンギもイルさえも
競うようにミヨンのお腹に触るようになった
おい!オレの奥さんなんだから、チェリムはいいとしてもジュンギとイルは触るな!
それに父さんや爺ちゃんまで加わろうとするから、オレはその都度ミヨンを背中に隠すんだ
家族だって・・・男がミヨンに触るのは嫌だ
まぁ母さんと婆ちゃんは、オレが仕事で不在は触りたい放題なんだろうけどな
月満ちて・・・ミヨンはいよいよその時が来たらしい
爺ちゃんの配慮もあってオレは新入社員でありながら、仕事を休むことができたんだ
まぁそのくらいのメリットがあってもいいだろ?会長直系の孫だしなククッ・・・
思いの外苦しんでいるミヨンの手を握り、オレは必死に応援した
どんなに苦しんでいても、オレが変わってやることはできないんだ
応援する事しか・・・男にはできない
ミヨンのこんな苦しそうな顔・・・初めてみた
オレは成す術もなく、ミヨンを勇気づける言葉を繰り返すだけだった
頑張れ・・・頑張れミヨン・・・もう少しだ
やがて分娩室の中に控えめな声が響いた
・・・ふぎゃ・・・
あ・・・生まれた~~~!
生まれた赤ん坊は女の子だった
早速名前を考えなくちゃ~~~!
ミヨンの家族はすぐに駆けつけてきたけど、ミヨンの家はペンションを経営しているから
実家には戻らず我が家に帰ることに決定した
母さんも婆ちゃんも小さい頃からミヨンを可愛がってきたのだから
十分すぎるほどの愛情を注いでくれるのは間違いない
ミヨンと赤ん坊を連れて帰宅したオレ・・・
やっぱりな・・・家の中にはチェリムたちが使用したベビーベッドやおもちゃなどが、
物置から久し振りに出されていた
オレたちの赤ん坊の為に新しいものを購入すると言ってくれたんだけど、オレたちは丁重にお断りしたんだ
だって…チェリムたちが使ったものだって、確かに年季は入っているけど高級品だ
それに母さんがとても大事に使っていたから、汚れなんか少しもない
ミヨンと相談してそれを使わせてもらうことにしたんだ
『お帰りなさい。シン・ミヨンちゃん・・・。まぁ~よく眠ってるわ。』
婆ちゃんはテンションを必死に抑え、オレたちの赤ん坊に頬ずりした
『さぁ・・・ミヨンちゃん、赤ちゃんは私に・・・』
母さんが赤ん坊に手を伸ばした時だった
『や~ね~チェギョンちゃん・・・私が抱くわ。おほほほほ~♪』
『いえお義母様・・・私が・・・』
『ダメダメ私よ~~♪』
あぁぁ・・・ミヨンが困ってしまうだろ?
押しの強い母さんと婆ちゃんに決して勝てないミヨン
女性陣の中でやはり勝者は婆ちゃんだったみたいだ
婆ちゃんはご機嫌な様子で赤ん坊を抱き、オレたちの寝室に連れて行った
『あれっ?おばあ様・・・赤ちゃんのお布団・・・』
『おほほ~気が付いちゃった?お布団くらいは新しくしてあげたくって~♪
チェギョンちゃんと買いに行ってきたのよ~♪』
しっかりした作りのベビーベッドに、ピンクのベビー布団が敷かれていた
しかもしっかりお日様に当てたのかとてもフカフカだ
なんだかオレはこの家に初めて来た日の母さんのお布団を思い出した
婆ちゃんの想いをベビー布団ひとつですごく感じてしまったオレは、なんだか熱いものがこみ上げてくるようだった
赤ん坊の衣類はすべて新調され、一度洗濯したものがベビーダンスの中に詰められていた
至れり尽くせりの我が家・・・
これには三四も胸が詰まったようだ
『お義母様・おばあ様・・・』
ミヨンの目に涙が浮かんだのを見て、母さんと婆ちゃんは慌てふためいた
『わっ・・・さぁミヨンちゃん、着替えてベッドに横になるのよ。ちゃんと安静にしていないと
ミヨンちゃんのお母さんに顔向けできないわ。』
『そ…そうよミヨンちゃん、ちゃんと休まなくっちゃね♪』
母さんと婆ちゃんの勧めでミヨンはしばしの休息をとった
病院のベッドより我が家のベッドの方が寝心地がよいのか、ミヨンは赤ん坊が起きるまで熟睡できたようだ
夕方になってイル・ジュンギ・チェリムの順に帰宅したオレの兄弟たち
三人は代わる代わる赤ん坊を眺め、ほっぺを突いたりして寝てる子を起こす
父さんと爺ちゃんが帰宅した時には、もうみんなが赤ん坊を取り囲みオレの出る幕はない
『可愛いな~♪』
『ホント可愛い。兄ちゃんに似てるか?』
『ん~~ミヨンちゃんじゃない?』
『ん~~?』
兄弟の中で紅一点のチェリムは、頬を染めて呟いた
『私もこんな可愛い赤ちゃんが欲しいな~♪』
オイオイ!それは問題発言だ!それを聞いて血相を変える父さん
『チェリム・・・お前は嫁になんか行かなくていい。ずっとこの家にいたらいい。』
父さん・・・それは横暴だ
『やっぱりどことなくシンに似ているかしら?』
これは婆ちゃんのセリフ・・・待ってよ婆ちゃん、この場合のシンってオレ?それとも父さんなの?
爺ちゃんは目を細めて俺に問い掛ける
『シン・・・名前は決まったのか?』
『ん~~~・・・爺ちゃん、チェギョンにしようかなって♪』
『『ややこしい!!』』
クククッ~~冗談だよ~♪
思えば幼少期に母一人子一人で育ってきたオレとミヨン・・・
なのに今では四世代10人の大家族だ
暫くこの人数は更新を続ける筈
できる事なら増えるのはオレの子で、オレの兄弟じゃないことを祈る
みんな~親父になったオレを見てくれてありがとう
またいつか・・・逢おうね~♪
リクエストいただいて、シンシンのその後の様子を
書かせていただきました~♪
ドンファンを思い出しながら
読んでいただけると嬉しいです❤
ではまた新しいお話で~~♪