婚姻の翌日から皇太子妃チェギョンの一日は訓育に始まり訓育に終わる
相変わらず詰め込み式の教育の為、夜ともなるとチェギョンは疲れ果て学校で出された課題どころではない
そんなチェギョンの有様に気が付いたシンは、ある日陛下に提案をした
【陛下・・・訓育も確かに大事ですが、毎日朝から晩までではチェギョンも参ってしまいます。
何よりも学校から出された課題に何も手を付けていないように見受けられます。
そこで提案なのですが・・・訓育は朝から夕食前までの時間とし夕食後は課題をやらせたいと思うのですが・・・』
さすがの皇帝陛下も学校から出された課題については、何も考えていなかった様子である
『それに関しては全く気がつかなかった。私の配慮が足りなかったな。
これから頑張っても妃宮は課題をやり切れるのだろうか・・・』
『陛下、妃宮と私は科は違いますので、若干違いはあるかと思いますが・・・
私の課題の量も膨大です。妃宮も恐らく・・・そんなには変わらないでしょう。
そこで陛下、提案があるのですが・・・夕食後の時間を私と共に勉強することをお許しいただけませんでしょうか。
私はすでに夏休みの課題を終わらせております。妃宮の課題の提出の為、時間を割くのも
夫の役目だと思うのですが・・・』
『なるほど・・・太子の言うことは一理ある。わかった。本日より妃宮の訓育は夕食の時間までとし
夕食後は学校の課題に取り組む時間にしよう。学生は学業が第一だからな。ははは・・・
太子は妃宮が課題を終わらせられるよう力を尽くすのだ。良いな。』
『はい、承知いたしました。ありがとうございます陛下・・・』
本音を言ってしまえば婚姻以降、ずっと近づけると思ったチェギョンが・・・逆に時間に追われているのを見て
シン自身居たたまれない気持ちになっていたのだ
たとえ二人でひたすら机に向かっているとしても、一緒の時間が増えることはシンにとって喜びだった
一方チェギョンも訓育から戻れば疲れて眠ってしまうことが多く、ガンヒョンと深夜に電話をしていても
電話を持ったまま眠ってしまうことが多かった
そんな状態であるから、課題に手がついて居ないことに困り果て切羽詰まった気分でいた
その日・・・昼食の時間シンはチェギョンに告げた
『チェギョン・・・課題なんか、何もできていないのだろう?』
『どうしてわかるの?シン君・・・』
『疲れているお前を見ればわかるよ。先程陛下にお願いしてきたんだ。
今夜から夕食後の時間は夏休みの課題に当てよう。』
『えっ?夕食が済んだ後は訓育に戻らなくていいの?』
『あぁ。俺も手伝ってやる。』
『本当?わぁ~~い♪実は何も手がついて居なくて困っていたんだ。』
『そうだろうと思ったよ。じゃあ今夜から課題を持って俺の部屋な。』
『えっ?シン君の部屋に行ってもいいの?』
『あぁ。陛下から許可をもらった。』
『うん~~♪』
ここ疲れていてあまり食が進まなかったチェギョンだったが、その日はいつになく食が進み
シンはそんなチェギョンが見られてとても嬉くなった
『あ~~いつもは訓育があるから控えていたんだけど、お腹いっぱい食べちゃった~~♪』
夕食後チェギョンはそういってお腹を撫でながら笑う
『バーカ!これから課題をやるんだろう?』
『はっ!そうだった。私ったら夜は休憩をもらった気分でいたよ。』
『気を引き締めろ、頑張らないと課題が終わらないぞ。』
『ひぃ~~~ん・・・・』
一旦自分の部屋に戻ったチェギョンは課題のテキストやノートなどを腕に抱え部屋から出ていく
夫婦になったとはいえ、夜シンの部屋を訪ねるのは初めてのチェギョンは≪気分は彼氏と一緒にお勉強~♪≫と
胸をときめかせていた
廊下で待機している女官も、にこやかにチェギョンに頭を下げ・・・決して咎めるような言葉は言わない
(わぁ~~いやった~~♪〉
正式な夫婦として東宮に暮らしながらも、そんな些細なことで喜んでしまうチェギョンだった
<トントン>
『シン君チェギョンで~~す♪』
『入れ。』
シンの部屋を開け入って行くとシンはソファーから立ち上がり、チェギョンを机に座るよう促した
そしてもう一つ椅子を持ってきてそれに座った
『あれ?シン君も課題やるんじゃないの?』
『俺は・・・ほとんど終わってる。』
『えぇ~~っ・・・一体いつの間に・・・』
『お前が夜の訓育を受けている時間にやった。』
『ず~る~い~~~!』
『だからこうやって俺も付き合うんだろう?どうせお前一人でやっても・・・寝つきのいいお前のことだから
すぐに勉強に飽きて寝てしまうに違いないしな。』
『あ・・・バレた?あはは~~♪』
『さぁ早速始めよう。』
『うん。じゃあまずは数学から~~♪』
訓育以上にスパルタなシンの指導は続く・・・
必死に目を見開いてはいるが、日頃の疲れが出ているのかチェギョンはコックリコックリと首を垂れる
その都度・・・
≪ポカっ!>
『チェギョン!!』
『ふわぁ・・・ごめんごめん。』
彼氏と一緒にお勉強だなんてスィートなものではなく、ひたすら課題を仕上げることに集中させるシン
そんなことが二週間も続いた頃・・・漸くチェギョンの課題はすべて終わりチェギョンは満面の笑みをシンに向けた
『でもさ・・・シン君、課題が終わっちゃったらまた夜は訓育の時間になる・・・よね・・・』
『いや・・・訓育はもう夕食の時間までにしてもらった。』
『本当?わぁ~い♪』
『チェギョン・・・宮に嫁いできてからずっと頑張ってきただろう?ご褒美が欲しくないか?』
『ご褒美?もちろん欲しいに決まってる~~♪』
『明後日・・・地方公務に行くんだ。お前も同行できるよう陛下にお願いしてみようか?』
『地方に行くの?うんうん。私も一緒に行きた~~い♪』
『ちゃんと妃殿下らしく振る舞えるか?』
『もっちろん♪チェ尚宮さんの教育の成果を見せてあげるよ。』
『じゃあ行こう。陛下にお願いしてくる。それと・・・課題はまだ終わっていないことにしておけ。いいな!』
『えっ?うん。でもなぜ?』
『机に向かっているだけでも一緒にいられる時間が欲しいだろう?』
『うんうん~♪婚姻したのに食事の時しか一緒にいられないもんね。』
『全くだ・・・くくっ・・・』
シンは婚姻以来共に出かけることもできないチェギョンを、どうやら地方公務に連れ出すつもりのようだ
その翌日・・・陛下の元を訪れたシンは、早速その件を相談してみる
『陛下・・・明日の地方公務の事なのですが、妃宮を同行したいのですが・・・。』
『妃宮を?しかしまだ課題は終わっていないのだろう?』
『終わりが見えてきたところです。妃宮も宮に嫁いで以来宮から一歩も外に出ておりません。
訓育も課題も一生懸命頑張ってきました。地方の景色の良い場所を妃宮にも見せてあげたいbのです。
一緒に歩きたいのです。どうかお願いいたします。』
『だが太子・・・泊りの公務だ。今からもう一部屋用意するのは・・・』
『陛下、わざわざ別の部屋を用意するほうがおかしいのです。そんなことが世間に知れたら
皇太子夫妻の不仲説が流れてしまいます。一緒の部屋で構いません。』
『しかし・・・合房も済んでおらぬのに同室は・・・』
『陛下は私を信じてくださらないのですか?私は陛下の命令に背いたりいたしません。
どうか私を信用していただき、妃宮が同行することをお許しください。』
『太子を信じていないわけではない。そうか…わかった。
一生懸命頑張ってきた妃宮にも、休息は必要だな。』
『はい。私はそう考えております。』
『妃宮が地方公務に同行することを許そう。』
『ありがとうございます。公務もしっかりこなし楽しんで参ります。』
シンの願いは陛下に許され、二人は地方公務に出かけることとなった
だが・・・陛下に信用されてしまった以上、チェギョンと同室に宿泊するのはシンにとって
とても嬉しくて辛い時間になりそうな予感がする
昨日も今日も
規模の大きな地震が各地で起こっています。
地震のあった地域の皆様
不安で仕方がないでしょう。
心よりお見舞い申し上げます。
どうか被害がありませんように・・・