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Channel: ~星の欠片~
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パウダースノーの降る夜に 10 (イブの夜・・・皇后ミンの祈り)

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クリスマスイブの辺りがすっかり暗くなった頃・・・各宮殿には続々と皇子がシン家の娘を連れ戻って来る

本日は各宮殿にて特別なディナーが用意されており、これは恋人達にロマンチックな夜を演出しようと言う

皇后の計らいであった



まず第一皇子のファンが中宮殿に到着すると、女官達は打ち合わせ通りに装飾したイルミネーションに点灯し

それから庭に続くキャンドルに火を灯した

古式麗しい造りの中宮殿には少し似つかわしくないイルミネーション・・・だが、それを目にしたスニョンは

年頃の娘らしく目を輝かせた

『ファン皇子・・・宮殿がデコレーションされております。
物すごく綺麗ですね♪』
『ふふふ・・・きっと皇后様の計らいだろう。皇后様は昔からこう言ったことがお好きなんだ。
おや?庭に向かってキャンドルが灯されている。スニョン・・・寒くないかい?もし良かったら折角の御好意だ。
少し散歩でもどうかな?』
『寒くなんかありません。お供します。』

中宮殿から庭に続く遊歩道に道しるべの様に灯されたキャンドル

二人は微笑み合いながらキャンドルの灯された道を歩く

『ファン皇子!!何やら椅子が用意されています。』
『本当だ。ふふふ・・・腰掛けよう。』
『はい。』

スニョンは二人掛けの椅子の隅に腰掛け、ファン皇子が腰掛けるのを待った

ファン皇子は椅子に腰掛けながらスニョンの手を握り締め、その目をじっと見つめる

『スニョン・・・』
『はい。』
『明日は皇帝陛下の元に共に行く。その前に最終確認をさせて欲しい。
僕の后に・・・なって貰えるかい?』

スニョンはその頬を赤らめながら、しっかり見つめ返すと答えた

『はい。ファン皇子とだったらずっと仲良く暮らせると信じています。』
『ありがとうスニョン・・・』

ファン皇子はスニョンのその体を抱き寄せ、将来の覚悟をする様にきつく抱き締めた。。。





北宮殿には第二皇子のインとヒョリンが戻って来る

やはりそのキャンドルに彩られた道を二人は歩き、二人は共に椅子に腰掛けた

『こんな素敵な飾り付け・・・どなたがなさったんですか?』
『ふふふ・・・皇后様しか考えられない。』
『すごく素敵・・・』
『じゃあ・・・この素敵なロケーションで、俺からのクリスマスプレゼントだ。』

イン皇子はこっそり胸元に隠し持っていたクリスマスプレゼントを出すと、ヒョリンに手渡した

『イン皇子・・・今日はなんだか少し太られたように感じられると思ったら、こんなものが隠されていたんですか?
ふふふ・・・なんだろう。開けてみてもいいですか?』
『ああ。気に入って貰えると良いが・・・』

かさかさと包まれたラッピンフを開け、ヒョリンの目に飛び込んできた物は、真珠色に輝くトウシューズだった

『こっ・・・これ・・・』

目を見張るヒョリンにイン皇子はしたり顔で答えた

『君のサイズぴったりに作らせた。世界で一つだけの特注品だ。気に入って貰えた?』
『はい。物すごく・・・気に入りました。イン皇子、ありがとうございます。』
『ヒョリン・・・君が君らしく暮らせるように、結婚したら俺は君のレッスン室を作ってあげる。』
『本当に?本当ですか?』
『ああ約束しよう。』
『嬉しいです。』

嬉しさのあまり思わずイン皇子に抱きついたヒョリン・・・イン皇子もその体をしっかり受け止めた





西宮殿にも・・・ユル皇子とヒスンの乗った車は到着する

そしてやはり、キャンドルに導かれ庭の一角に作られた二人掛けの椅子に腰を降ろした

『ヒスン・・・本当に僕でいいの?僕と結婚して構わない?』
『ユル皇子・・・ユル皇子も最初はチェギョンがいいと思ったでしょう?
それと同じ様に私も確かに、シン皇子に目を奪われたけど・・・今は・・・ユル皇子しか見ていないんです。
逆にユル皇子は、私で本当に後悔しませんか?』
『後悔なんかしない。ヒスンと一緒に生きて行くって決めたから。』
『よかった。』

ユル皇子の肩に凭れかかるヒスン・・・ユル皇子はその肩を抱き寄せヒスンの頭に頬を寄せた

『僕は高校を卒業したら二年間留学する事になっている。一緒に行くかい?』
『はい。もちろん一緒に行きます。』

冷たくなってきた風を体に受けても、二人の心は温かいままだった




南宮殿にもギョン皇子とガンヒョンが戻って来る

そして宮殿入口のイルミネーションに驚き・・・キャンドルの道に唖然とした様子である

ガンヒョンはそのキャンドルの道の先に何があるのだろうと、すたすたと先に歩いて行ってしまう

ギョン皇子は慌ててそのあとを追う

『ちょっと待ってよ~~ガンヒョン!!』

ガンヒョンは振り返りギョン皇子に問い掛ける

『ねえ?これ・・・アンタが飾り付けやったの?』
『まさか~~俺じゃないよ。皇后様の仕業だと思うけど~~♪』
『そうよね。アンタがやったとは思えない。』
えっ?それどういう意味だよガンヒョン。』

ガンヒョンは再び前を向くと歩いて行く・・・ギョン皇子もガンヒョンに追いつき、並んで歩く

『ほぉ~~ラブチェアーってわけ?ガンヒョン…座ろうよ。』
『いいわよ。折角皇后様がお膳立てしてくださったんだし、座らなきゃ申し訳ないわね。ふふふ・・・』

共にその椅子に腰掛けた二人・・・ギョンはガンヒョンを見つめ、甘えた口調で話しかけた

『ねえ~ガンヒョン・・・俺が18歳になったらすぐ結婚して!!』
『えっ?ダメよ!!せめて高校卒業するまではダメ!』
『え~~~っ…どうして?』
『どうしてって・・・アンタ、皇子の中で一番若いのよ。結婚は一番最後じゃなきゃ。』
『そんなの無いよ!順番なんか関係ないじゃん。ねっ♪18歳になったらすぐ結婚しよう。』
『う~~ん。考えておくわ。』
『じゃあさ・・・手始めに、今日ここに泊まってい行かない?』
『ばっ!!何を馬鹿なこと言っているのよ!!』
『いいじゃん泊まって行ってよ~~♪』
『それはダメ!!だって・・・今夜シン家で姉妹が集まるのは、最後になるかもしれないのよ。
そんな時に外泊なんて・・・』
『そっか~。そうだったね。じゃあ…また機会を作るから、その時は是非♪』

皇子の中で一番年若くありながら、実は一番積極的なギョン・・・

≪泊まって行け≫攻勢にガンヒョンは今後も悩まされそうである


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そしていよいよ東宮殿に。シン皇子とチェギョンが戻って来る

『わぁ~。。。』

チェギョンはその入り口に施されたイルミネーションに、目は釘づけの様子だ

シン皇子はチェギョンの手を捉えると、ゆらゆらと揺れるキャンドルの道へと誘う

『すごくロマンチック♪って・・・シン皇子がデコレーションした…ってことはないよね?』
『ない!俺がこんなことする筈ないだろう?くくっ・・・
まぁ察するに皇后様の差し金だろう。くくっ・・・』
『皇后様自ら…こんな事までなさるの?』
『あぁ。皇后様はああ見えてお祭り騒ぎが大好きなんだ。ほら・・・見てみな。あんな仕掛けが・・・』

キャンドルの道の奥まった場所には、二人掛けの椅子とテーブルが用意されており

そのテーブルの上には色とりどりの花が、キャンドルの灯りに照らされている

『綺麗・・・』
『チェギョン・・・座れよ。』
『はい。』

チェギョンは満面の笑みでその椅子の半分を空け腰掛けた・・・そしててっきりシン皇子も座るものだと思っていた

ところがシン皇子は、隣には座らずチェギョンの両手を握り締めその場に跪いた

驚いたチェギョンはシン皇子の顔をじっと見つめた

『皇子?』
『正式に言っておきたくて・・・二年の留学から戻ったら、俺と結婚してくれるか?』

物音一つしないその場所に何かの気配が降りてくる

白く細やかな雪が、二人の頭上から舞い降りてきたのである

まさに女性だったら感動的な場面だろう・・・だがその時チェギョンは、ずっと気になっていた≪留学≫の文字が

どうしても頭から離れないでいる

『いやだ・・・嫌ですっ!』

チェギョンから返されたその言葉に、動揺を隠しきれないのはシンである

まさかこの期に及んで拒否の言葉が放たれるとは。思ってもみなかったシン皇子

『嫌って・・・結婚しないってことなのか?』
『しません!!結婚なんかしないっ!!私を置いて留学しちゃうなら・・・結婚なんてしない!!
皇子が留学している二年の間に、皇子の知らない人と結婚しちゃうからっ!』
『待てチェギョン!!ちょっと待ってくれ・・・』

困惑しチェギョンの顔を見上げたシンの瞳には、悲しそうに頬を伝って行くチェギョンの涙が映った

『俺は・・・お前が本当の家族と、二年間でも一緒に暮らせればと思ってそう言ったんだ。
どうしたらいい?俺はどうしたらいいんだ?』
『置いて行かないで・・・。私を置いて行かないで!シン皇子は私と離れても平気かもしれないけど
私はきっと…・離れたら・・・。』

零れ落ちる涙に舞い降りてきた雪が溶けてチェギョンの頬を濡らす

シン皇子はその頬に伝う涙を両指先でそっと拭い、それからチェギョンの髪を撫でた

『置いて行かない。どこにでも一緒に連れて行く。明日陛下の前ではっきりそう断言する。
だから・・・結婚しないなんて言うな!』

シン皇子はチェギョンの首を引き寄せるとその唇に、そっと唇を重ねた

成り行きでも偶然でもない・・・心から望んでのキス

『チェギョン・・・返事は?』
『はい。』

そう言ったと同時にチェギョンの両腕はシン皇子の首に回され、自分の唇をシン皇子の唇に押し当てた

パウダースノーの降り注ぐクリスマスイブ・・・漸く本当の想いが口にできたチェギョン

そしてその想いを受け止め、改めて自分自身の気持ちの確認もできたシン皇子

そのあと二人は静かに降り積もる雪を解かさんばかりの甘いキスを何度も繰り返した



各宮殿のクリスマスイブの様子は、その宮殿に仕える尚宮により逐一皇后に報告され

皇后はその都度、満面の笑みを浮かべ楽しそうに高笑いしていたそうである

そしていよいよ・・・運命のクリスマスがやって来る


≪使用しているイルミネーション画像は、猫仲間のKEIさんが撮影されたものです。
お持ち帰りはご遠慮ください。≫

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いや~~なんか思いっきりロマンチックとは掛け離れたラブコメなお話に(爆)
さて明日クリスマスに、シン家の娘が発表されます~~★
いや…皆さんご存知だとは思うけど・・・
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!


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