皇太后の叱責に王族の娘達は静まり返った
『三次選考会の時・・・確か私は言った筈だな?他の候補者の足を引っ張るような真似はするでないと・・・。
なのにどうだ?今のそな達の姿は王族の娘としての品格も、この国の国母になれる資格もない。
今だから打ち明けるが、元々このシン・チェギョンが皇太子妃になることは決定しておった。』
皇太后の暴露は王族の娘ばかりでなく、当のシンとチェギョンも相当驚いたようで目を見開いた
(こ・・・皇太后様ぁ~そんなこと暴露しちゃっていいんですかぁ~?)
チェギョンの心の絶叫に構うことなく、皇太后は話を続けた
『今回のお妃選考会の本来の目的は、このシン・チェギョンを盛り立ててくれる
王族の娘を選ぶためのテストだったのだ。
残念なことにどの娘も失格だったな。
シン・チェギョンの命を狙ってまでも、皇室と縁を繋ごうと考えるような家は
王族には要らぬ。娘達よ…残念だがそなた達の過ちは、一族で償って貰う。』
そんな皇太后の言葉に王族の娘達は震え上がり、シンは異存がないとばかりに頷いた
だが・・・その時チェギョンが皇太后に告げた
『皇太后様・・・今回の件で被害に遭ったのは私です。
私がこの人達と話をさせていただいても構いませんか?』
『おぉチェギョン・・・構わぬ。そなたの思いの丈を存分にぶつけたらよい。』
<しゅぴーん!>
皇太后の許可を得てチェギョンの棘が久々に起き上がる
『この中でお話をしたことがあるのはチョ・ユラさんだけなので・・・あなたに代表で答えていただきます。
以前あなたは私に≪王族の娘は幼い頃からいつ皇族に望まれてもいいようにと教育を受けてきた≫と
仰いましたよね?』
『ええ。確かにそういいました。』
『私の自転車のブレーキに細工をさせて私がもし死んだら・・・あなたは殺人の罪に問われるんですよ。
それが分かっていてやったんですか?それが王族の教育ですか?』
『ブレーキに細工しろなんて・・・指示はしませんでした。』
『なんて指示したんです?』
『脅し程度に壊してほしいと・・・』
『でもその依頼を受けた人達は本気だったみたいですね。私に自転車の安全確認ができない状況を作り出し、
その壊れた自転車に乗るよう仕向けた。』
『こんなことになるとは・・・思いもしませんでした。』
『その実行犯の人達は、私の父が事故に遭ったと母の名を語って偽りの電話を掛けた・・・』
『そんなことまで・・・ごめんなさい!内容については一切関与していなかったんです。
『知らなかった?それが本当だったとしたら、とんでもない人達を動かしてしまったものですね。
王族のお嬢さんが・・・犯罪歴のある人と知り合いだなんて・・・。』
『それも知りませんでした!私は人伝にその人達を紹介して貰っただけで・・・
まさか犯罪歴のある人だなんて・・・』
『犯罪歴のある人しか、こんな仕事は引き受けません。幼い頃から上流階級の教育を受けて
そんなことにも気が付かないなんて…愚かですね。』
チョ・ユラはチェギョンの言葉に項垂れるしかなかった
『まさにその通りです・・・』
『私が皇太子妃になることを承諾した理由は、王族の皆さんがこのような愚かな人ばかりだったからです。
この国の母となる人間が・・・平気で人を殺めることができる人では困るからです。
そんなことになったら・・・この国はおしまいです。そうは思いませんか?』
『ええ・・・その通りです。』
『皆さんにとって皇太子妃の地位はそれほど魅力的だったのかもしれません。
一族の繁栄にも関係してきますから・・・。
でもここにいらっしゃる皇太子殿下と皇后様は、そうではない民間人の私を選んだ。
この意味がお分かりになりますか?私には地位も名誉も・・・関心がないからです。』
俯いたまま頷くチョ・ユラ・・・並んだ他の娘達も、自分の事として神妙に話を聞いているのが感じられた
『でも・・・私は皆さんと違って、人を蹴落としてこの場にいようとは思いません。
元々民間出身者ですから、王族に味方がいないんです。
三次選考会の時、人の生死に関わった方はもう取り返しがつきませんが・・・
私自身は、あなた方にそこまでの罰は望みません。』
三次選考会の時チェギョンを狙った娘の一家は、王族の地位をはく奪され一家諸共収監されている
シンはもちろんの事、皇太后も・・・今回の件を重く受け止め同等の罰を受けさせるつもりでいた
シンや皇太后・・・そして娘達も、驚愕の面持ちでチェギョンの次の言葉を待った
『幸い私は無傷でおります。だから私は刑罰は望みませんが・・・
皇太子殿下と皇太后様は、王族に対しての何らかの処分を下すことでしょう。
私はあくまでも穏便に済ませたいと考えています。
ただ・・・これだけは申し上げておきますが、このことは皆さんへの貸しにしておきます。
皆さんの命綱は私が握っていると、常に肝に銘じてください。
皇太子殿下・皇太后様・・・私はこう考えていますが、いかがでしょうか。』
皇太后とシンは、その人の良すぎる発言に少し驚いたようだが・・・皇室に嫁いでも味方のいないチェギョンに
半ば脅し的にでも取り巻きができるのは良いことだとチェギョンの考えに理解を示した
『そうだなチェギョン。そなたの言うことも尤もだ。王族としての罰を与え刑事罰に処するのは時期を見送ろう。』
『あぁチェギョン・・・お前の考え方は私達には考えもつかないことだが・・・
お前がしっかりこの者達の命綱を握れるのなら、それもいいだろう。
お前の言った通り・・・穏便に済ませるよう皇室警察に言おう。』
『ただ・・・今回の件でユル君が怪我を負っています。ユル君に対する償いを、
ここにいる王族にどうかお命じください。』
『わかった。聞いたか?お前達・・・今回皇位継承者第二位のイ・ユルが怪我をしている。
皇族に怪我を負わせたということが、どれほどの罪になるのか・・・お前達の家でも知っているだろう。
其々にユルに対する償いの気持ちを示すのだ。良いな!』
娘達は恐縮しきった顔で答えた
『『はっ・・・はい!』』
そしてその後チョ・ユラがチェギョンに向かって話しかけた
『あのっ・・・シン・チェギョン様に対する償いは・・・どうしたらよいのでしょうか。』
『それなら・・・』
チェギョンは自分の想いが皇太子であるシンと皇太后に理解してもらえて安堵しきった表情を浮かべた
<しゅるしゅるしゅる~>
思いの丈を吐き出せたチェギョンの棘は、静かに影を潜めた
『フワフワのパンケーキを❤』
『えっ?・・・それでよろしいのですか?』
『ええ。』
迎賓館の周りに集まっていた皇室警察署員達は、この事件を穏便に済ますことにした
皇太子殿下の命令で帰って行った
娘達は其々の親と共に家路に急ぎ・・・すぐにイ・ユルの元に償いにふさわしいだけのものを持参し
お詫びに向かったそうだ
チェギョンに対する償いは・・・また後日ということになった
ハリネズミのチェギョンが出した償いがフワフワのパンケーキとは、やはり甘い物には目がないのを証明している
なんにしても主要王族達の命綱を握ったチェギョンは、今後時折棘を出しながら大活躍するに違いない
あはは~シン君が采配を振るうと思ったでしょう?
実は采配を振るうのはチェギョンの方なんだよ~♪
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
お天気もこんなだし・・・
途中おふぅ様の誘惑に負けて
こんな時間までかかっちゃった~(爆)
おふぅ様を触ってると・・・眠くなるんだよ~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!