婚約発表の日・・・チェギョンは両親と共に食事をしながら、皇室広報部の会見を見ていた
どこか他人事のように思える皇太子殿下の婚約発表だったが≪シン・チェギョン≫と名前が告げられた時
その途端に身の引き締まる思いをするシン家一同だった
その会見の直後からシン家の周辺には人が集まり始め、家の中までその騒動が聞こえてくるようだった
『あ・・・早く支度しなくちゃ・・・・』
『そうねチェギョン。』
いつも通り髪にお団子に結ったチェギョンに母が言った
『そうだわチェギョン・・・このリボンを付けて行ったら?』
『お母さ~ん、それ・・・校則違反だって~~!』
『でも・・・皇太子の婚約者でしょう?少しくらいお洒落しなくちゃ・・・』
『お母さん特別なのはダメなんだって!普通でいいの。ありのままの私で・・・
あっ!しまった。自転車、皇室警察に持って行かれちゃったんだよね。
どうやって学校に行こう~~!』
たとえ自転車があったとしてもブレーキの壊されている自転車など乗れる筈も無いのに、
チェギョンは思わず自転車がないことを嘆いていた
父ナムギルはそんな困惑している娘に教えてあげた
『それなら・・・昨日いらした内官様が、迎えの車をよこすと言っていたから心配ないよ。
それより・・・私達の出勤が不安だなぁ・・・母さん。』
『確かにね・・・質問攻めにあうに決まっているわ。いつもより早く家を出ることにしましょう。』
『そうしよう。』
程なくしてシン家のインターホンが鳴り・・・迎えの車が到着したことを知らせた
チェギョンは大きく深呼吸をすると、玄関を出て敷地入り口の扉を開けた
するとそこはかつて見たこともないほどの人で溢れ、想像はしていたもののその創造など簡単にしのぐ状態に
驚きすぎて立ち尽くしてしまった
その時・・・家の前に停まった車のドアが開き、シンの声がする
『チェギョン・・・おはよう。』
『えっ?・・・シン君!』
『さぁ早く乗ってくれ。』
『う・・・うん。』
詰めかけたギャラリーたちが、二人が言葉を交わす度に悲鳴を上げる
チェギョンは慌ててシンの隣に乗り込んだ
イギサや皇室警察署員に誘導されながら、無事シン家を出発することができた公用車
公用車の後部座席では無事婚約が整ったシンとチェギョンが、少しはにかみながら話をしている
『すごい混雑だったな。』
『うん。会見が終わるか終わらないかの頃からご近所さんが続々と・・・』
『恐らく学校の周辺も同じ状態だろう。』
『私はどう振る舞ったらいいのかな?』
『群衆に向かってにこやかに手を振ればいい。』
『頭を下げなくていいの?』
『皇太子の婚約者がそう易々と頭を下げるな。』
『あ・・・そっか。わかったよ。ところで・・・昨日の事、なにか進展があった?』
『まだ捜査中だ。詳しい連絡は入っていない。』
『そうかぁ。お蔵入りになっちゃうかも・・・』
『それは俺が許さない!』
『私も許さない!』
『その意気だ。くくくっ・・・』
シン家の前と同じような状態の学校正門前・・・イギサの誘導で二人を乗せた車は無事校内に入って行った
時は遡り・・・皇室から発表された皇太子の婚約に、関わった王族の其々は肝を冷やしていた
三次選考会の件然り・・・他の候補者に疑いが向くのは必至・・・
既に皇太子の婚約者は民間人のシン・チェギョンであると発表され、選に漏れた王族達は
証拠を隠滅しなければと躍起になっていた
だが・・・その頃にはもう皇室警察があらゆる証拠や事件に関与した人間を拘留していた
皇太子と婚約者が登校したことで、校内も恐ろしいほどの騒ぎになっていた
イギサや女官がチェギョンの周りを護衛しながら教室に向かう
途中…美術科のミン・ヒョリンがチェギョンを待ち構えていた
『まさかあなたが皇太子妃になるなんて・・・』
『うん。私もびっくり。』
『民間から選ばれた以上・・・民間人の意地を見せて頂戴。』
『もちろんだよ。』
一次選考で資格なしと判断され選から漏れたヒョリンは、むしろ清々しい表情をしていた
傲慢に振る舞う王族の娘よりも、民間人のチェギョンの方がよほど親しみやすい・・・そう心に言い聞かせた
シンに対する思慕の想いはまだ残っていたが、元々縁のない人だと心の整理がついたようだ
廊下でチェギョンに向けて祝いの言葉を掛ける生徒たちも、とても温かい目でチェギョンを見守っていた
チェギョンが教室に入って行くと、更にそこは大騒ぎとなった
囃し立てる者もいたが、クラスの中から皇太子妃になる生徒が出たことは皆誇りに感じているようだった
祝いの言葉を其々から浴び漸く自分の席に着くことができたチェギョンは、隣の席のユルに声を掛けた
『ユル君・・・怪我の具合は大丈夫?昨日は本当にありがとう。』
『そんなこと気にしなくていいよ。僕が勝手にしたことだからね。
でも…僕は皇太子妃の命の恩人になるわけだね。』
『うん。すごく感謝してる。』
『シンもあれほど僕が助言したのに、いきなり婚約発表だなんて・・・余程チェギョンが気に入っているんだね。』
『うん。そうかもしれない。あはは・・・』
『これからはもっと気を付けなくちゃだめだよ。婚姻したら特にさ・・・足元を掬われないように。』
『肝に銘じておくよ。』
婚約が発表された以上、もう二人の件に水を差すような発言はやめようと考えたユル
だが・・・母から聞いた民間から皇室に嫁ぐ厳しさを知っているだけに、これからも陰ながらチェギョンが
心身共に傷つくことが無いよう見守っていく覚悟だった
少し離れた席ではガンヒョンがチェギョンに向かって振り向き、ピースサインを送った
チェギョンも同じようにピースサインを返した
いよいよ皇太子の婚約者としての毎日が始まろうとしていた
犯人探しについては次回ね~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
あのね・・・
驚いたことに昨日・・・
マジカルキューティーが一輪咲いていたんですよぉ。
気が付いたのが夕方だったから
残念ながら写真は撮れなかったけど
5月に咲くなんて・・・超ビックリですぅ。