本殿の皇帝陛下の元を訪ねたシンは、両陛下の前で宣言をした
『陛下・皇后様・・・チェギョンが婚姻を決意いたしました。』
『なんと・・・そうか。太子・・・長年の想いが報われたな。』
『はい。つきましては直ちに婚約発表をしたいと思うのですが・・・』
『なにっ?いくら何でもそれは性急すぎる。婚約発表にも準備が必要だ。
それに婚約発表より先にシン家に結納品を届けるのが仕来りだ。』
『それも重々承知の上で申し上げております。今日チェギョンに何が起こったか、
既に報告を受けておられるはずです。
婚約者でなければ堂々とチェギョンを守れません。
チェギョンは既に二度・・・危険な目に遭っているのです。どうか明日の婚約発表をお認め下さい。』
『確かに・・・太子の言うことも一理ある。だがシン家に・・・』
『結納の品は既に準備ができていると伺っております。チェギョンのお父さんが御帰宅なさる時間に
それを届けていただけませんか?』
『ふぅ・・・そうだな。太子がそこまで言うのであれば、すぐにシン家に向かう準備を始めよう。』
『ありがとうございます陛下。それともうひとつお願いがございます。』
『申してみるがよい。』
『私達の通う学校の職員室に、犯人の一人が電話を掛けてきたそうです。
電話を掛けた者は≪チェギョンの母≫を名乗ったそうです。
あと・・・チェギョンの自転車のブレーキが壊されていました。その犯人を突き止めるため、皇室警察に
出動要請をお願いします。』
『うむわかった。すぐに手配しよう。』
『陛下・・・事と次第によっては王族を多数失う結果になるかもしれません。』
『そのようなことを恐れていては国の長は務まらない。気にせずとも良い。』
『ありがとうございます。では私はチェギョンを部屋に待たせているので東宮に戻ります。』
『ああそうしなさい。』
両陛下に向かって頭を下げたシンに、皇后は微笑みながら告げた
『太子や・・・本音を言えば婚約を急ぐ理由は、チェギョンを逃がしたくないからであろう?』
『くくっ・・・皇后様、確かにそれも理由のひとつです。』
微笑みながらシンが本殿を去った後、皇帝陛下はキム内官に結納品を車に積むよう指示し
その後皇室警察に自ら連絡を入れた
皇太子の妃になる者を抹殺しようとした罪は、陛下にとっても許し難いものだった
東宮の自室に戻っていったシンは、扉を開けチェギョンの姿が見えないことに驚いた
『チェギョン?』
慌てたシンはソファーに駆け寄った
するとチェギョンはソファーに横になり、静かな寝息を立てていた
『くっ・・・疲れて眠ってしまったのか。』
チェギョンを起こさないようにそっとチェギョンの隣に腰掛け、シンはその可愛い姫の寝顔を眺めていた
屈託なく小さな寝息を立てる姫・・・これが時にはシンを貫くほどの棘を出す
だがその棘のおかげで、シンはチェギョンの本音を知ることができたのだ
飽きることなくその寝顔を覗き込んでいるシン・・・不意にその眠り姫の瞼が開いた
『うぉっ!』
驚いて起き上がったチェギョンは、シンにバツの悪そうな視線を向けた
『戻ってるなら起こしてくれればよかったのに・・・』
『くっ・・・よく眠っていたから起こさずにいたんだ。』
『陛下と・・・お話してきた?』
『あぁ。夕方にでも皇帝陛下付きの内官が、シン家に結納の品を届ける手配をした。』
『えっ?もう?』
『あぁ。善は急げだ。』
『お父さんとお母さん・・・びっくりするだろうなぁ・・・』
『いや・・・恐らく予想していることだろう。』
『そうかなぁ。』
『きっとそうだ。明日・・・婚約発表の会見を開く。』
『えっ?明日?』
『あぁ。もうこれ以上時間をかける必要はない。今回の事件の犯人も捕まえないとならないしな。』
『うん、そうだね。』
『チェギョン・・・お前、思い当たる人物はいないか?』
『私に接触してきたのはチョ・ユラさんだけだったけど、みんなが疑わしい・・・』
『そうだな。誰が加害者だとしてもおかしくない。とにかく・・・明日からのスケジュールの打ち合わせをしよう。』
『明日からのスケジュール?』
『あぁ。早速訓育が始まる。お前は学校帰りに宮に来て訓育を受け、帰宅は夜だ。』
『えっ?マジ?』
『あぁ。』
『ひぃ~~ちょっと早まったかも~~!』
『今更撤回はできない。皇帝陛下付きの内官はもうシン家に向かった頃だろうからな。』
『ひ~~~ん・・・・』
訓育が始まると聞いて嘆くチェygフォンを、シンは嬉しそうに見つめていた
その夜…公用車に送られて自宅に戻ったチェギョンは、既に自宅の周辺をイギサが警護している事を知り
覚悟を決めて家の中に入っていった
『お父さんお母さんただいま~・・・』
『『チェギョン!!』』
両親は大慌てで玄関に駆け付けチェギョンを出迎えた
『あ・・・あの、ちゃんとした話もしていなかったのに、勝手にお返事しちゃってごめんね。』
『いいのよチェギョン・・・』
『いつかこんな日が来ることは、予想していたよ。』
『あ!!しまった。私の自転車・・・』
チェギョンは道に置き去りにしたままの自転車の事を思い出した
『それならもう皇室警察が持って行ったそうだよ。』
『えっ?皇室警察?』
『ああ。なんでも指紋を採取するとか言っていたけど。チェギョン・・・危険な目に遭ったそうじゃないか。』
『うん。お父さんが事故に遭ったって、偽りの電話が学校に来たんだよ。』
スンレはチェギョンの背中を撫でながら、心配そうに告げた
『そういう時にはまずお母さんに確認しなきゃダメでしょう?』
『咄嗟の事で頭が回らなかったんだよ~~!とにかくシン君・・・嫌皇太子殿下は、もう二度と
こんな事が起こらないように明日婚約発表をするって。』
『近所が大騒ぎになるわね。』
『職場も大変なことになりそうだな。』
『ごめんね~お父さんお母さん。』
『いいさチェギョン・・・お前がそう決心したなら、お父さんとお母さんは何も言わないよ。』
『そうね。それに亡くなったお義父さんもきっとお喜びだと思うし・・・』
実に複雑な心境ではあるが、こうなることは娘が幼い頃から決まっていた気がする両親
一人娘がこんなに若くして皇族に嫁ぐことに、半ば諦めの気持ちを抱くしかなかった
そうしてその翌日・・・朝早い時間に皇室広報部から皇太子殿下の婚約が発表された
ファイティン記事は、これから書かせていただきます。
雨だね~眠い・・・(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!