『じゃあ行こうか。』
茶を飲み終えた時、シンはソファーぁら立ち上がるとチェギョンに微笑みかけた
『えっ・・・どこへ?』
『今日は東宮を案内するといったはずだ。』
『あ・・・そっか。うん。』
チェギョンはすぐに立ち上がるとシンの後に続く
シンは応接室のドアを開けてチェギョンが出て来るのを待っていた
『まずは・・・どこから案内しようか。そうだ。執務室がいいかな・・・』
チェギョンは並んで歩くシンを、驚愕の眼差しで見上げた
『あのさ・・・皇太子、執務って?皇太子はまだ高校生でしょう?』
『くっ普通の高校生とは違うんだ。公式行事に陛下の代わりに出席することもある。
執務室は・・・そんなあらゆる仕事をこなしている事務所みたいないものだ。』
『そうなんだ~。大変なんだね。』
部屋の真ん中に大きなデスクが置かれている執務室は、その部屋の三方が書物で囲まれ
残りの一面は窓に面している
『この窓は裏庭に面しているから、東宮の人間以外が外を通ることはない。安心してくれ。』
別に不安に思ったわけではないが、つい外を覗き込んだチェギョンにシンはそう告げた
『しかし難しそうな本が一杯・・・』
『あぁ。チェギョン・・・お前漢文は読めるのか?』
『いんや・・・』
『そうか。これから覚えることが一杯だな。』
『えっ・・・』
どう見ても自分が嫁いでくると確信して疑わないシンを前に、チェギョンは自分の肩に責任が重くのしかかるのを
ひしひしと感じていた
執務室を出たシンは廊下を歩きながら、あらゆる設備を説明した
『あぁチェギョンここは浴室だ。各部屋にシャワールームは完備されているが
手足を伸ばして風呂に入りたいときにはここを使うといい。隣は洗面所だ。』
『はぁ・・・』
シンのそんな口ぶりにまだ戸惑うばかりのチェギョンである
そして東宮の奥まった場所に到着した時・・・シンは言った
『この右手にあるのは俺の部屋・・・向かいはお前の部屋だ。』
『えっ?私の?』
シンは何の躊躇いもなく廊下の左手側にある部屋の扉を開けた
『中を見てみるがいい・・・』
『えっ?ああ・・・うん・・・』
部屋に足を踏み入れて、思わずチェギョンは息をのんだ
(なにこれ・・・もう今日からでも住めそうな部屋。この部屋を皇太子は私の部屋だという。
つまり・・・随分前から準備していたって事?)
呆然と入り口で立ち尽くすチェギョンの手をシンは取り、部屋の中に誘った
『こっちに来てみろ。もう何もかも準備は整っている。
そうだ!クローゼットルームに入ってみたらいい。』
『クローゼットルーム?』
『あぁこっちだ。』
クローゼットルームなどという物は、ドラマの中でしか見たことのないチェギョンはその中にぎっしり収納された
洋服の数々に愕然とする
『どうだ?チェギョン・・・気に入って貰えたか?』
『う~~ん・・・ちょっと実感が湧かない。しかしヒラヒラの多いクローゼットルームだね。』
『あぁ。俺と皇太后様の趣味だからな。』
『ヒラヒラがお好きだと?』
『違う!お前のイメージに合わせて集めたんだ。』
『私のイメージねえ・・・でも私に似合うとは思えない。』
『そんなことはない!お前は可愛いからとても似合うはずだ。何なら当ててみろ!』
シンは並んだ洋服の中から一着取り出し、チェギョンを姿見の前に立たせると洋服をあてがった
『ほら・・・とてもよく似合う。』
『あ~うん。似合うかもしれない。』
『どうだ?この中から数着持ち帰って、ヒラヒラのリハビリしてみるってのは・・・』
『え~~っ!いいよぉ・・・』
『いや。またすぐに俺の呼び出しがあるから、その時に着てきたらいい。なっ♪』
『う~~ん・・・』
本音を言って今まで見向きもしなかったヒラヒラのお洋服を家に持ち帰ったら、両親から勘繰られてしまうという
不安があった
(でも・・・まぁリハビリしてみるかな。昔は大好きだったような気もするし・・・)
チェギョンはたくさんの洋服の中から、あまり畏まっていないひざ丈のヒラヒラワンピースを数点選んだ
クローゼットルームから出て部屋の中を一通り見て回る
ベッドの配置や机・・・カーテンなども、まるでチェギョンを待っているかのように思えた
『ねえ・・・一体いつからこの部屋を準備したの?』
『あぁ?くっ・・・お妃選考会が始まってすぐだ。お前の書類が到着した時だな。』
『そんなに・・・私を待っていたの?』
『あぁ。俺も・・・そして皇太后様や亡き先帝もな・・・』
『でも皇帝陛下や皇后様は?いい顔なさらbないんじゃない?』
『っつ・・・何を言う。今日もお前を本殿に連れてきてほしいとお二人は言われた。
だが婚約発表が済むまでは・・・とお断りしたんだ。
お前の顔が見たいとお二人とも仰っていた。』
『皇帝陛下や皇后様にも・・・私、お逢いしたの?』
『あぁもちろんだ。だから言っただろう?あの時逢ったのは、俺の幼い頃住んでいた家だって・・・』
『そっか・・・』
『じゃあ次は・・・俺の部屋に行こう。』
『えっ?いや・・・あのさ・・・皇太子の部屋は別にいいよぉ。』
『なぜだ?俺がお前の部屋の次に見せたかった場所なのに・・・』
『だって・・・年頃の娘が男の部屋に入るなんて・・・』
『ぷっ!くくっ・・・くくくっ・・・おい!何を勘繰っているんだ。まさかと思うが俺がお前を襲うとでも?』
『いや・・・そうはいってないけど・・・』
『話したいこともあるんだ。すぐに食事だしチェ尚宮も呼びに来るだろう。心配しないで行こう。』
『うん。』
二人は妃殿下用に準備された部屋を出ると、向かいにあるシンの部屋に入って行った
『座れよ。』
『うん。』
締め切られたドアに意識してしまったのか、チェギョンは少し視線を泳がせた
そして部屋の真ん中に置かれたソファーに腰を下ろす
するとシンはその向かいに座らず、チェギョンの隣に腰を下ろした
『なっ…なんでこっちに座る~~!』
『俺達は交際をしているのだろう?離れていては少しも交際している気分にならない。』
『だからって・・・距離が近すぎる~~!』
チェギョンがソファーの端っこに移動すると、シンもチェギョンから離れまいと移動する
『もぉ~~~っ!』
『くっ・・・なんだよ。照れてるのか?』
『あ・・・いや、男子と二人っきりの部屋に慣れていないだけ・・・』
『くっ・・・慣れていなくてよかった。それでチェギョン・・・ひとつ相談したいことがあるんだが・・・』
『なに?』
『俺の呼び方・・・皇太子はやめてくれないか?』
『え~~っ?どうして?』
『他の生徒に呼ばれているのと何ら変わらないからだ。』
『そうなの?』
『あぁ・・・』
『じゃあ何て呼んでほしいの?』
『シンって名前で呼んでほしい。』
『え~~~っ呼び捨てはちょっとな・・・抵抗ある。』
『お前!皇太子だって呼び捨てだろう?』
『まぁそっかな・・・じゃあ・・・シン君でどう?』
『シン君?・・・///あぁ///特別な感じがするな。今後はそう呼んでくれ。』
『はぁ~~い・・・シン君・・・』
『////』
自分の名前を呼ばれて仄かに顔を赤らめるシンが、チェギョンにはとても可愛く思えた
可愛いという言葉が人に対しても許容できるようになったのだ
チェギョンがシンに対する呼び方を改めた時、チェ尚宮が部屋をノックする
<トントン>
『殿下・・・食事の用意が整いました。チェギョン様と食堂にお越しください。』
『あぁわかった。』
シンはソファーから立ち上がるとチェギョンに左手を差し出した
不思議に思いながらもチェギョンは左手をシンに向けた
シンはその手を掴むとチェギョンを立ち上がらせ、その後チェギョンの右手を掴むと歩きだした
『ちょ・・・ちょっと待って・・・なに?』
『食堂までエスコー^としようと思ってな。』
『えっ・・・エスコート?///』
顔を赤く染めたチェギョンに構うことなく、シンはチェギョンの歩幅に合わせて歩く
シン待望の東宮で二人きりのランチがいよいよ叶う時がやってきた
ふぅちゃんの添い寝で・・・ずっと布団で寝ていなかった私
昨日は疲れが溜まったのか
歯茎が腫れちゃって・・・
死ぬ思いでした。
鎮痛剤の乱用は・・・いけませんな。
今日はずいぶん楽になりました~❤
もちろんふぅちゃんも元気です❤
明日はライブ告知させていただきます❤