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Channel: ~星の欠片~
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可愛い姫は棘だらけ 6

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『入りなさい。』
『はい。皇太后様。失礼いたします。』

皇太后の部屋に入ったチェギョンは、促されソファーに腰を下ろした

チェギョンやガンヒョンが与えられた部屋よりも随分広い部屋である

チェギョンは物珍しそうに部屋の中を見渡した

『お茶でもどうだ?』
『いえ!皇太后様・・・今頂いてきたばかりですので・・・』
『そうか。では話を始めようかの。シン・チェギョンさんは・・・どうも私から見ると、
太子との婚姻を望んでいないようだが?』
『皇太后様・・・それは当然のことだと思います。なぜなら・・・今この場所に私がいること自体に、
納得していないからです。』
『太子が・・・嫌いなのか?』
『へっ?いえ・・・好きとか嫌いの問題以前に、皇太子殿下とはまともに話をしたこともありません。
その上二次選考の時無礼を働いた私が、なぜ三次選考に進んだのか理解ができないんです。』
『そうか。別に太子が嫌いというわけではないのだな?』
『ですから皇太后様・・・お話もろくにしたことがないんです。好きとか嫌いの問題ではありません。』
『昔逢ったことがあるのにか?』
『えっ・・・?』
『太子はチェギョンが覚えていないと悲しんでいたが?』
『えっ?あのっ・・・一体・・・それはどういう・・・』
『夕食まではフリータイムだ。太子に聞いてみるとよい。』
『は・・・はぁ・・・』
『おぉそうだ!夕食時は正装でな。』
『えっ?そんなこと…案内状のどこにも・・・』
『そなたに前以て言っても、従わないだろうと思って・・・部屋にドレスを運ばせておいた。
あれは私が選んだものなのだ。一度くらい袖を通して、着ている姿を見せておくれ。』
『・・・・はい・・・・』

どうやらさすがのチェギョンも、皇太后の前では棘さえ出せないようだ

その後皇太后の部屋を出たチェギョンは、一緒にゲームでもしようというガンヒョンの誘いを断って

一人部屋に籠った

(え~~っ一体いつ、私が皇太子と逢ってるの?え~~っ?記憶にないけど・・・はぁ・・・)

一生懸命記憶の底を覗いてみるチェギョンだが、結局何も分からずじまいで辺りは徐々に日が傾いていく

(まぁいいか。後で皇太子に聞いてみよう。
そだそだ!皇太后様から言われちゃったし・・・仕方がないからドレスを着るか。)

一度目にしただけでしまい込んだドレスの箱を開け、そのドレスを着てみる

(あれっ?意外と似合うじゃ~~ん♪)

すっかり気を良くしたチェギョンは、一緒に入っていたヒールを履くと部屋から出て行った



一方・・・フリータイムを有意義に過ごしている王族の娘達は、面接が終わるや否や

皇太子であるシンに群がり自己アピールを繰り返す

『皇太子殿下・・・一緒にチェスでもしませんか?』
『いえ・・・私がピアノの腕前を披露いたしましょう。』

面倒だと思いながらも、すでに正装してきた娘達の相手に追われる

(しかし・・・なぜ俺はこんな不毛な時間を過ごさなきゃならないんだ?)

シン・チェギョンさえ昔交わした約束を覚えていてくれたら、こんな面倒なことをしなくても済んだものを・・・と

少しチェギョンの事が憎らしく思える

(しかもあいつは、ホールに来もしない。)

チェギョンの姿を探しながら、仕方がなく王族の娘の相手をしているシン

そんな様子を客観的に観察しているギョンとガンヒョン

『なんだかチェギョンは面接が終わったら引き籠っちゃうし、皇太子はお嬢さんの相手で疲れているし・・・』
『一体なんだろうな。この状況は・・・見てみろよガンヒョン。あの王族の娘達、少しでもシンと話そうと必死だぜ。
なんか見苦しいよな・・・』
『そうね。みんな自分が見初められるために必死な感じがするわ。あ・・・ギョン・・・そろそろ着替えてこなくちゃ。』
『ああそうだな。着替えに行こう。』

ギョンとガンヒョンがホールから出て部屋に向かって歩いていた時のことだった

チェギョンがドレスアップした姿で部屋から出てきたのだ

『あ・・・あれ?チェギョン・・・ドレス着てる。』
『あ~うん。行きがかり上仕方なくね。ガンヒョンも早く着替えておいでよ~。私は先に行って
ちょっと遊んでる~♪』

ウキウキした表情でデッキを歩いていくチェギョン・・・

不思議に思ったギョンとガンヒョンはその後を追いかけた

するとチェギョンは船頭に立ちそして大きく両手を広げたのだ

『これ・・・一度やってみたかったんだよね~♪

♪よ~ひ~ぜぁなっすぃんぐぁ~ぃふぃ~♪』

いくら波の穏やかな海とはいえヒールを履いたチェギョンは、非常に危なっかしく見えた

すぐにその場にシンは駆け付け、チェギョンの至福のひと時の邪魔をする

『おいシン・チェギョンやめろ!』
『もぉ~折角映画のヒロインになり切ってるんだから、邪魔しないでよぉ~~!』

するとシンはチェギョンの背後に立つと、その身体を支えるように両腕で腰を抱いた

『ひっ!なにすんのよぉ~~!』
『映画のヒロインになりたかったんだろう?』
『いや別に・・・そこまで望んでないから。あ~あ折角気持ちよく歌ってたのにぃ~~!』
『それ以上やめておけ。深海魚が海に浮かんできたらどうするんだ?』
『へっ?』
『空を飛んでいる鳥だって落下するかもな。』
『それ・・・どういう意味?』
『お前の歌はそれだけの破壊力があるってことだ!』
『ひど~~い!』

振り向いて文句のひとつも言ってやりたいのだが、シンに腰を抱かれているのでチェギョンは身動きが取れない

水平線に沈んでいく夕陽が、二人の顔を赤々と照らす

チェギョンはなんだか言いようのない動揺に包まれ、そのまま身動きができずにいた

『あの・・・この腕・・・離してよ。』
『嫌だ。』
『えっ・・・?あ・・・・あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだって!』
『そのまま聞けばいい。』
『っつ・・・あの・・・私と昔、逢ったことがあるってホント?』
『あぁ本当だ。皇太后様から聞いたのか?』
『うん。それは一体いつ?』
『三歳の頃だ・・・』
『三歳~~?あのさ・・・そんな事覚えていないよ。宮殿にだって二次選考会の時に初めて行ったんだよ。』
『場所は宮殿じゃない。その当時俺が住んでいた家だ。その頃俺は外孫だったからな。
≪チェギョンは笑った顔が可愛いんだ。いつも笑ってるんだよ。≫覚えていないか?』
『笑っている顔が可愛い?・・・・きぃ~~!あんたか!あんたがそんなこと言ったのか~~!
あんたのおかげで私は幼稚園の時、自分の笑った顔は可愛いんだと思い込んでずっと笑ってて
幼稚園のボスに散々意地悪されたんだからね~~!
私の人格形成に影響を与えたのは、あんたなんだから~~!』
『可愛いものを可愛いといって何が悪い?』
『まだ言うか・・・私は可愛くなんかない!』
『あぁ何度だって言ってやるさ。お前の笑った顔は可愛い。だけど俺には笑顔を見せてくれないんだな。』
『絶対に見せない!』

とりあえずアプローチはした・・・だがその先の結婚の約束をしたことまで話したら、

チェギョンはこのまま海に飛び込んで泳いで帰りそうな剣幕だった

だからシンはその先の約束の話は、まだ伏せておこうと考えた

逞しいチェギョンの事だからハリネズミからハリセンボンに変身しても泳いで帰るというだろう

これ以上嫌われたくない

しかしこれが最終選考である以上、早急に皇太子妃の内定を出さねばならない

シンはチェギョンの腰に回した腕を解けないまま、小さく溜息を吐いた


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ふえ~~んお天気が下り坂です。
また頭痛になるのは嫌だなぁ・・・

そうそう・・・衣装用にスカートを買ったんです。
開けてみて思った色と違ってビックリ
マジピンク・・・ひぃ~~~!
『母ちゃん、その歳でこの色はないわ~』
次男君のきつい一言を喰らい
黒に染めてやると心に決めた管理人です。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!






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