んもぉっ!シンとピョルが進路を巡って口論になってから、なんだか我が家の雰囲気がとっても悪いの
それというのも、シンったらピョルを進学させたい大学のパンフレットなどをこれ見よがしに持ち帰るせいね
チェギョンさんも私も、怒り半分呆れ半分の気持ちで食事の後片付けをしながら愚痴り合う
『まったく・・・シンは一体何を考えているのかしら。』
『本当に・・・最近ピョルはシン君と目も合わせないんです。』
『私だって目を合わせたくないほどよ。ピョルの気持ちよ~く解るわ。』
『ピョルの想いは揺らぎそうにないし、お義母様一体どうしたらいいんでしょう。』
『そうね。一体どうしたら・・・』
そういいながらも私は、この問題を一瞬で解決する方法を知っていた
ある日とうとうその方法を、選ばざるを得ない由々しき事態が起こってしまったの
その日帰宅したピョルは、意気消沈した面持ちでキッチンにいる私とチェギョンさんの元にやってきた
『グランマ・・・ママ・・・』
その元気のない声に驚き、即座に売り向いた私達は項垂れたピョルの姿を目にしてしまった
『一体どうしたのピョル・・・』
『なにがあったの?ピョル・・・』
ピョルを椅子に座らせ、私達はピョルの言葉を待った
『今日・・・担任の先生に呼ばれて・・・≪ピョルは他の大学を受験するんだってな?
お父様から電話を頂いて、くれぐれもよろしく頼むとお願いされたよ。≫っていうんです・・・。
パパ・・・担任の先生に電話しちゃったんだ・・・』
『えっ?まさかシン君がそんなことを?』
『あの子ったら・・・いくら何でもやり過ぎよ!』
シンを信じたい気持ちと今のシンならやりかねないと思う相反する気持ちが、私とチェギョンさんの心の中で
入り混じる
でも段々・・・その想いは怒りに変わってきたの
隣りを見るとチェギョンさんも、怒りで顔を赤らめ唇を噛みしめているわ
『お義母様・・・』
『チェギョンさん・・・荷物を纏めましょう。』
『えっ?』
『シン家に家出するのよ。この広い家に取り残されてみなさい。あのシンだってすぐに音を上げるはずよ。』
本当は私の夫など・・・一言電話したら私に着いてきそうだけど・・・だからこそ夫も置いていくわ
そのくらいの強硬手段に出なきゃ、シンにはわかって貰えないわ
『そうですねお義母様。そう致しましょう。』
あぁ・・・今夜は私の好物だったのに・・・そうよ!私達の分はタッパーに詰めて持ってっちゃいましょう
シン家に着いてから、またお夕飯の支度するのも面倒だし
『じゃあ善は急げね。すぐに支度に取り掛かりましょう。ピョル・・・当面の着替えと学校の勉強道具を
鞄に詰めてね。』
『はいグランマ。でも・・・そんなことしてパパ怒らないかな・・・』
『怒るより困る筈よ。今はピョルの希望が叶うことが一番大事よ。』
『ありがとう。グランマ・・・』
『さぁ急ぎましょう。』
チェギョンさんはハヌルに自分の荷物を準備させ、ウォルと自分の荷物を詰め込んだ鞄を持って
玄関に待機している
『あら・・・意外と荷物が多くて一杯になっちゃったわね。』
持ち出す荷物の量を見て思わず私は呟いた
『お義母様、二台で行った方がよいでしょうか。』
『いいえ。チェギョンさんの車に全部詰め込みましょう。人も荷物も・・・』
『そうですね。なんとか乗れると思います。』
トランクとそれぞれの膝の上に荷物を置いた私達は、メイドさんに≪家出する≫旨を伝えると
イ家を出発した
メイドさん達もこのところの家族騒動を知っているからか
≪はい。かしこまりました。気を付けて行ってらっしゃいませ。≫と笑顔で見送ってくれたわ
シン家に到着した私達は、店の責任者をしてくれているチェさんに挨拶をし住居に入って行ったわ
あら・・・よく考えたら店舗の方はお邪魔したことがあるけど、お家は初めてじゃないかしら~♪
なんだかワクワクするわ~♪
チェギョンさんが店に顔を出した時など、きっと風を通していたのでしょう・・・部屋の中はきちんと整頓され
暫く住むには全然困らない状況よ
嬉しくなった私はまずピョルの部屋を訪れた
あら・・・今のピョルにはベッドが小さいかしら・・・
でもこんなお部屋に暮らしていたのねって感無量になっちゃった私よ♪
チェギョンさんは客間に私の荷物を運び入れ、お布団を二組敷いてくれたわ
きっとピョルは自分が使っていた部屋を使い、チェギョンさんの部屋はハヌルが使うのね
つまりこの部屋は私とチェギョンさん・・・そしてウォルの部屋となるのね
ひとまず荷物を片付けてから私はキッチンに入り持参した夕食を温め直し、それからお皿に盛りつけた
『さぁ~みんな夕食にしましょう~♪』
私が呼ぶとみんなは部屋から出てきて、キッチンの椅子に腰かけた
でもねえ・・・事情をよく知っている私やチェギョンさん・・・また当人のピョルはともかくとして
ハヌルとウォルは不思議そうな顔をしているわ
『ママ~どうして今日はこんな狭いおうちにお泊りなの~?』
『ウォル・・・ここはママが生まれたおうちなの。ピョルも小さい頃はここに住んでいたのよ。』
『ふ~~ん。じゃあパパもここ位帰ってくる?』
『パパ?どうかしらね・・・』
『パパやグランパはこのおうちに来ないの~?』
『そうね。ここには来ないかもね。』
言葉を詰まらせるチェギョンさん
ピョルはハヌルに向かってすまなそうに声を掛けた
『ハヌル~学校が遠くなっちゃってごめんね。きっとママが学校まで送ってくれると思うからね。』
『ピョルの・・・大学の事だよね?家出したのは・・・』
『あ・・・うん、そうなんだよハヌル。』
『パパ・・・機嫌悪そうだったもんね。でもさ~ピョルが行きたいところが一番じゃん!』
『そうだよね。ありがとうハヌル。』
幼い弟から思わぬ激励を受け、ピョルは目に涙を溜めた
全くこんな可愛い孫娘を泣かせているのが、私の産んだ息子だなんて信じられないわ
少ししんみりした雰囲気になって食事に手を付け始めた時・・・チェギョンさんの携帯が鳴り響いた
相手はきっと・・・
今日もちょっとバタバタしてまして
更新時間は遅いし…短いけど
どうぞ許してくださいな。