テヤン君とお付き合いするようになってから、ピョルは目に見えて綺麗になっていった
これが恋の力というものかしら~♪
学年で一位二位を争う優秀なテヤン君とピョルは、とてもいい恋愛をしているみたい
互いを高め合い学年順位を死守し続けているんですもの~大したものだわ
そんなピョルの高校二年生が終わろうという頃のことだった
ある日帰宅したピョルは顔色を真っ青に染め、食事の支度をしているチェギョンさんと私の元にやってきたの
『グランマ・・・ママ・・・忙しい時にごめんなさい。ちょっと話を聞いて貰ってもいいかな?』
『ええ。もうお食事の支度はほぼ完了よ。どうしたの?ピョル・・・そんなに青い顔をして・・・』
そう答えたチェギョンさんとピョルを、私は椅子を座るよう促した
『とにかくそこに座って。ピョル・・・これをお飲みなさい。』
私はピョルの前に温かいお茶を置いた
『グランマありがとうございます。』
ピョルは両手を温めるように茶碗を持って、一口だけお茶を飲んだ
私もチェギョンさんの隣に座り、ピョルに視線を向けた
『それで・・・一体どうしたの?ピョル・・・』
『あ・・・あのっ・・・あの人に逢ったんです。』
あの人とは?一体誰の事かしら・・・私のそんな想いをチェギョンさんが代弁してくれたわ
『あの人って?誰の事?』
『ママ・・・ほら・・・ママとパパが結婚して初めての創立記念パーティーの時・・・逢ったじゃない。
パパの前の奥さん・・・』
『えっ?もしかしてヒョリンさん?』
『そうだよ。』
ハン家の奥様からミン・ヒョリンが同じソウル市内に住んでいると聞いていた私は、そんな事もあるんじゃないかと
内心思っていた
現にチェギョンさんだって、かかりつけの産婦人科で顏を合せたくらいですもの・・・
でもピョルには相当ショックだったことでしょうね
『一体どこで逢ったの?』
『テヤン君の家・・・』
『まぁ・・・』
あら・・・ハン家のお嫁さんとは親しいと思っていたけど、まさか家を行き来する仲だったとは思わなかったわ
私はピョルに問い掛けた
『それで・・・声を掛けられたの?』
『そうなんですグランマ・・・≪あなた・・・確かピョルちゃんだったわよね?≫って・・・
私、どうしようかと思ったんですけど、テヤン君やテヤン君のご家族もいらっしゃって・・・
誤魔化すことなんかできなくて≪はい。そうです。≫って答えたんです。そうしたら・・・
≪チェギョンさんに益々似てきたわ。チェギョンさんはお元気?≫って聞いて来るんですよぉ。
だから・・・≪はい。≫とだけ答えたら・・・
≪あ~でも手足の長さや顔の輪郭は、お父様似かしら・・・≫っていうんですよ。
お父さまって・・・パパの事ですよね?だから私・・・必死に誤魔化そうとしたんだけど・・・
上手い言葉が見つからなくって・・・困って下を向いていたんです。
そうしたら・・・≪私・・・チェギョンさんとお友達になったのよ。知らなかった?≫っていうんですよぉ・・・
ビックリして≪知りませんでした。≫って答えたら・・・
≪ピョルちゃん、あなたには本当に申し訳ないことをしたわ。私がいなければ、あなたは両親の元で
最初から幸せに暮らせたのに・・・。今更だけど本当にごめんなさいね。≫って・・・
もう頭の中がパニック起こしちゃって、何も答えられずにいたら、テヤン君のお母さんが
≪ピョルちゃん・・・大人がこうして頭を下げているのよ。何か言うことはないの?≫って言われて・・・
もう何が何だか分からなくなっちゃって、私・・・何も答えずに帰って来ちゃったんです。
ママ・・・どうしてパパの前の奥さんが私のパパの事を知っているの?
それにママは本当にあの人とお友達になったの?』
あらららら・・・テヤン君の家で大変なことが起きちゃったわね
チェギョンさんはピョルの手を握り締め、静かに話し出した
『お友達・・・というのとはちょっと違うと思うのよ。ヒョリンさんとはウォルがお腹にできた時に
産婦人科でお逢いしたの。お店の近くのあの病院よ。』
『えっ?そんなところで逢ったの?』
『ええ。ヒョリンさんはその当時ハヌルよりも小さい女の子を連れていたわ。
女性の身体ってデリケートでね・・・当時お姑さんとあまり上手くいってなかったヒョリンさんは
女の子を産んだ後、何度も流産を経験してとても疲れているようだった。
私に少しばかり愚痴を零したのよ。』
『あのおばさんじゃあ言いそうだね。』
『ママはその話を黙って聞いて、自分の思うままのアドバイスをしたの。家族に心を開いて
甘えるようにしたらいいって・・・それだけなの。
ほら・・・ママなんかはお義母様に甘えっぱなしでしょう?』
いいのよ~チェギョンさん、私は好きでやっているんですから~おほほほ~♪
『そっか・・・だからグランマとママは仲良しなんだね。』
『そうよ。ママには他に甘えられる人がいないからね。その後・・・ウォルの出産間際に、また産婦人科で
ばったりお逢いしたの。そうしたらヒョリンさんは、今度ご主人と一緒だったわ。
以前お逢いした時に連れてきていたお嬢さんは、お姑さんに預けてきたと言っていたわ。
無事子供が授かったとも言っていた。そうそう!その時ご主人に、私の事を≪お友達≫だと紹介したのよ。
その言葉にはママも相当驚いたけど、ヒョリンさんの中ではママがお友達になってしまったのね。
ピョルのパパがシン君だというのは、ママも言っていないわ。言う筈が無いわ。
恐らくいろんなことを考えた時に、ピョルの父親はシン君だと確信したんだと思うの。
だからピョルは・・・何も心配しなくていいのよ。』
青ざめたピョルの顔色が段々普段通りに戻っていき、漸く落ち着きを取り戻したようね
良かったわ。この秘密が可愛いピョルをいつまでも苦しめているなんて、私も堪らないもの・・・
ほっとしで胸を撫で下ろした時・・・キッチンに思わぬ人物の声がピョルを呼んだのよ
『ピョル・・・今の話は?』
『えっ?』
驚いて一斉にキッチンのドアに視線を向けた私達・・・そこにはあろうことかシンが立っていたの
一体どこから話を聞いていたのかしら・・・
ミン・ヒョリンの件はどうでもいいとして・・・問題はミン。ヒョリンに逢った場所がテヤン君の家って事よね
『ピョル・・・まさかと思うが、ハン・テヤンと特別な付き合いを・・・』
あらやだわ。またピョルの顔色が悪くなっているじゃないの~~!
ピョルは意を決して顔を上げるとシンに言ったわ
『うん。パパ・・・付き合ってます。』
『なんだと?すぐにハン・テヤンをここに呼びなさい。』
えっ?シン・・・テヤン君を呼び出して何を言うつもり?
困り果てたピョルは、キッチンを出ていきどうやらテヤン君に電話を掛けたみたい
キッチンに戻ってきたピョルは、動揺しながら答えたわ
『パパ・・・テヤン君が今家に向かっているそうです。』
あら・・・夕食が遅くなってしまうわね。ってそれどころじゃないわ!
さぁ~シンがとんでもないことを言い出したら、私とチェギョンさんでシンを牽制しなくっちゃ
自ずと気合の入る私・・・そしてチェギョンさん
一体どんなことを話すのか、今から頭が痛いわ~~!
一難去ったと思ったらまた一難
今度の敵は強敵よ~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!