チェギョンとハヌルが退院する日・・・ヒョンとシンばかりかピョルさえも、二人を迎えに行きたいという
ミンはそんな三人に呆れ果て言い放った
『今日あの二人は退院してくるんです。これからは家にいるのよ。あなたとシンは
安心して会社に行ってちょうだい。
ピョルもよ。お姉ちゃんがこんなことでずる休みなんかしたら・・・ハヌルが悲しむわ。』
『『『は~~い・・・』』』
明らかに不服そうな顔で三人は出掛けて行った
その後ミンは使用人にチェギョンとハヌルが過ごす部屋を念入りに掃除するよう命じ、買い物リストを手渡すと
意気揚々と病院に向かった
『チェギョンさ~ん♪まぁ・・・もう準備万端ね。』
チェギョンの病室に入って行くとチェギョンは既に着替えを済ませていた
傍らのベビーベッドにはハヌルが健やかに眠っている
『はい。もう退院手続きも済ませました。お義母様・・・わざわざ迎えに来ていただいてすみません。』
『やだわ~!何を言っているの?私がここに連れてきたんですもの、迎えに来るのは当然でしょう。
尤も・・・シンやお父さんも一緒に来たいと言ったんだけどね、叱り飛ばして会社に行かせたわ。
おほほほほ~~♪さぁ~いきましょう。』
『はい。』
ミンはチェギョンの荷物を持ってくれ、チェギョンはそれに甘えてハヌルを横抱きにすると病室から出て行った
看護師達に見送られ退院したチェギョンとハヌル・・・
イ家に戻る車の中、ミンはチェギョンに問い掛けた
『さっき看護師さんが言った≪一カ月検診には是非ご主人も・・・≫って言うのは一体どういう意味?』
『あっ・・・くすっ・・・それはですね~シン君、看護師さんの目の保養になっていたみたいなんです。
だから私が退院するのが残念でならないみたいで・・・』
『まぁ~そうだったの?それで迎えに来たのが私てがっかりした顔をしていたのね。ほほほ・・・
シンったら昔から女性の受けがいいから・・・子供からお年寄りまで、シンには一目置くのよね~。』
『そうでしょうね。私もそう思います。だから不思議でならないんです。』
『えっ?何が不思議なの?』
『彼の別れた奥様です。なぜ10年も一緒に暮らしていて、彼を好きにならなかったのかって・・・』
『元々政略結婚だったでしょう。あの当時ミン・ヒョリンの父親の会社の方がうちより大きかったの。
うちはシンが結婚しなかったらきっと窮地に追い込まれていたと思うわ。
だから・・・きっと見下していたのね。でも私はミン・ヒョリンがシンを愛さなくて本当に良かったと思っているわ。
あの時あの娘が離婚を言い出さなかったら、シンの牢獄のような結婚生活は一生続いたかもしれないもの。
あの娘と正式に離婚したからこそ、あなたに逢いたいと思い逢いに行けた。
でなければピョルのことを知ることはなかったし、ハヌルはこの世に生を受けなかった。
だからミン・ヒョリンには感謝の気持ちもどこかにあるの。
まぁ欲を言えば、もっと早くシンと別れてくれていたらよかったのにね。ほほほほ~~♪』
『お義母様・・・ミン・ヒョリンさんはその後どうしているのかご存知ですか?』
『もちろんよ~♪聞きたくなくてもそういう噂は耳に入ってくるものなのよ。』
ミンはハンドル操作しながら含み笑いをする
『彼女ね・・・見合いで結婚したらしいの。』
『えっ?それはずいぶん急ですね。』
『ええ。うちの創立記念パーティーでの醜態が広まる前に手を打ったみたいよ。』
『そうだったんですか。』
『ひとまず籍だけ入れて挙式はこれかららしいんだけど・・・先方のご両親に、
あのパーティーの噂が届いてしまったみたいで、大騒ぎになっているそうよ。』
『それは・・・お気の毒に・・・』
『チェギョンさん、どっちが気の毒なの?ミン・ヒョリン?それとも結婚相手?』
『どちらもです。』
『まぁミン・ヒョリンは自業自得だけど一度結婚してしまった以上、簡単に離婚なんてできないわ。
きっとミン家は食い下がることでしょう。まぁ罰が当たったのね。』
『あの人ももう行動を悔い改めて、本当に幸せになってくれるとよいのですが・・・』
『そうね。過去に結婚していたからといって、今更変な騒ぎに巻き込まれるのは御免だわ。
願わくば・・・幸せになってほしいものよね~~おほほほほ~~♪』
ひとしきりミン・ヒョリンの事で話が盛り上がっている間に、車はイ家に到着した
『ふぎゃーーーー!』
到着したのが分かったのかハヌルは大きな声で泣き始めた
『はいはい。すぐですからね~♪』
元気な泣き声を上げるハヌルを抱いて、ミンとチェギョンは家の中に入って行く
使用人たちは皆一列に並び、ハヌルの顔を拝もうと必死な様子だ
『ご出産おめでとうございます。』
『退院を心よりお待ちしておりました。』
頭を下げそれから一斉にハヌルの顔を覗き込む使用人達に、チェギョンは微笑むと会釈をした
『どうもありがとうございます。暫くお世話になります。』
『さぁさぁチェギョンさん・・・こちらにいらっしゃい。』
ミンに導かれ向かった先は、新しく増築した部屋の一つだった
『ここを使ってね~♪』
『ありがとうございます。』
部屋に入るとセミダブルのベッドとベビーベッド・・・そしてソファーが置かれている
早速チェギョンはそのベッドの上にハヌルを寝かせ世話をし始めた
『じゃあチェギョンさん・・・お食事になったら呼びに来ますからね。それまで少し眠りなさい。
今夜から何度も起こされるのよ。今のうちに寝ておいて♪』
『はい。ありがとうございます。お義母様・・・』
ハヌルに母乳を与え寝かしつけた後、ミンの言いつけ通りにチェギョンは横になった
夕方になってミンはチェギョンの部屋を訪れた
『チェギョンさん・・・ピョルのお迎えに行ってくるわ。』
『お義母様・・・そんなことまですみません。』
『何を言っているの。ピョルを迎えに行くのは私の使命よ。おほほほほ~~♪
じゃあ・・・ゆっくり休んでいてね。』
ミンが出かけた後、チェギョンは姑のありがたみをしみじみと感じていた
もしミンがいなければ、マンションでピョルの帰宅を待ち・・・すぐに食事の支度に取かからなければならないのだ
あまりの待遇の良さに申し訳なささえ感じているチェギョンだった
だがミンは同じように、ピョルの時になにも手伝えなかった申し訳なさをひしひしと感じていた
(ピョルの時チェギョンさんは、産後一カ月で仕事に戻ったのよね。
店舗と自宅が一緒だったから、きっとあまり休めなかったでしょう。
その時の分は取り戻せないけど、今は私がいるんだから存分に甘えて頂戴ね~おほほほほ~♪)
ミンにとっては一卵性祖母孫のピョルと二人だけの時間は実に楽しいものだった
あの・・・親子鑑定以来、二人の間には血の繋がりだけじゃない決定的な何かが生じていた
マンションで待っていると玄関の鍵を開けピョルが入って来る
『ピョル~~お帰りなさい♪』
『グランマ~ただいま~♪ママとハヌルは?』
『おうちにいるわよ。さぁ~今夜はご馳走よ。ピョルのおやつも作ってありますからね。』
『わ~~い♪グランマ・・・早くおうちに帰りましょう~♪』
『そうしましょう~♪』
ピョルを助手席に乗せミンはイ家に車を走らせた
今日は夫やシンも必ず早く帰宅するはずだ
(早く夕飯の支度を終わらせないとね~♪)
イ家に到着したピョルはすぐにチェギョンとハヌルがいる部屋に向かおうとする
だがミンはピョルを制した
『ピョル!さぁ~手洗いとうがいをしなくっちゃ。ハヌルに触れないわよ~♪』
『あっそうでした~♪』
ミンに言われた通りピョルは洗面所で手洗いとうがいを済ませ、それから部屋に向かった
そして誰から教わったわけでもないのに、静かに扉を開け小さな声で話しかけた
『ママ~♪ただいま~~♪』
チェギョンはソファーに腰掛けハヌルの授乳中だった
『ピョルお帰りなさい。』
『入ってもいい?』
『どうぞ♪』
小走りにソファーに近寄り隣の空いているスペースに腰掛けたピョルは、無心で乳を飲んでいるハヌルを
うっとりと見つめた
『そんなに美味しいの?ハヌル~~♪』
ピョルの声に反応したのかハヌルは乳から口を離しピョルの方向に顔を向けた
『あ・・・わかるのかな?お姉ちゃんだよ~♪ほらほら・・・もっとたくさん飲まないとぉ~
ピョルみたいに大きくなれないぞぉ~!』
ピョルの言葉の意味が分かる筈はない
だがハヌルは再び乳に吸い付くと、必死に飲み始めた
『あはは~ハヌルは天才かも♪』
『そうねパパに似て天才かも♪』
『え~~っ?パパが天才?だったら・・・どうして最初から、ママと結婚しなかったのかな。
その方が絶対に良かったのにぃ・・・』
『ピョル・・・大人には考えてもどうにもならない時があるの。だからパパにそんなことは言っちゃあダメよ。』
『うん。もちろん言わないよぉ・・・』
『グランパとグランマにもよ。』
『うん。わかったよ。』
子供心に言ってはいけないことはわかっていたが、久し振りにチェギョンと二人で話せた嬉しさで
つい本音を言ってしまったピョル
ピョルの出来過ぎた性格は、チェギョンがそう育てたからなのかもしれない
ミンが予想した通りにその日シンとヒョンは退社時間と同時に会社を飛び出してきたようだ
家族全員で囲む食卓は、まさに幸せそのものの風景だった
う~~んパソコン買い替えないとダメかも・・・
今日なんか三回もシャットダウンして
クールダウンしたんですよぉ・・・
明日からお天気が下り坂みたい。
日曜に・・・曇りでいいから
雨だけは降らないで~~!