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Channel: ~星の欠片~
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陽の当たる場所 19

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翌日チェギョンが店に出勤しスタッフと共に店を開けた後・・・前日行われたパーティーの余波が

チェギョンに及んだ

ドアベルを鳴らし入ってきたその日最初の客を見て、チェギョンは満面の笑みを向け頭を下げた

『まぁ・・・チョン夫人。昨日はご一緒できて光栄でした。態々お越しいただきありがとうございます。』
『あら!私の名前を覚えてくださったなんて感激だわ。昨日はどうも♪
イ家の奥様からお店の事をうかがってね、つい訪ねてしまいましたの。
まぁ~♪素敵な雑貨がたくさんあるのね♪』
『どうぞごゆっくりご覧になってください。』

長く店のオーナーをしているチェギョンにとって、一度紹介された人の名と顔を覚えるのはお手の物だった

どこでその人脈が広が宇かわからないのだ

根っからの商売人といえた

チェギョンは接客を代わろうとするスタッフに、自分が接客すると告げその女性に商品の説明をしながら話をする

『しかし昨日は爽快だったわ。お嬢さん…ピョルちゃんといったかしら?』
『はい。ピョルです。』
『どう育てたらあんなにいい子になるのかって、主人も感心していましたのよ。』
『ありがとうございます。ごく普通です。』
『そんなことないわ。随分ご苦労さなったでしょう?』
『えっ?いいえそんな・・・』
『イ家の奥様がね・・・もう目に入れても痛くないって自慢していた理由がよくわかったわ。』
『義母が・・・そんなことを?』
『ええ。可愛くて仕方がないんですって。』
『ふふふ・・・ありがたいことです。』
『チェギョンさんお聞きになった?イ家が改築するそうよ。』
『えっ?いいえ…初耳です。』
『なんでもね~ピョルちゃんと生まれてくる赤ちゃんのお部屋を作るんですって。』
『えっ?・・・』
『あなた達家族と一緒に暮らすのが夢みたい。』
『・・・義母がそんなことを。』
『まだ新婚さんだから考えたくないだろうけど、いつかイ家の奥様の願いを叶えてあげてね。』
『は・・・はぁ~~・・・』

まるで判で押したようなセリフを来る客来る客から言われ、売り上げはとてつもないほど伸びたのだが

他人からお願いされてしまった同居に戸惑いを隠せないチェギョン

その日チェギョンはピョルが眠った後シンに問い掛けた

『シン君・・・あのね、今日・・・昨日のパーティーにいらした御婦人方が、何人も店にいらしたんだけど・・・
その時妙な話を聞いちゃったのよね。』
『妙な話・・・とは?』
『イ家が改築するって話・・・』
『あぁ。なんでも部屋を増やすとか言っていたが?』
『それって…ピョルとお腹の赤ちゃんの部屋らしいの。聞いてる?』
『いや、ただ部屋を増やすと言っていただけだが、母さんなら・・・あり得る。』
『確かにあり得るわ。お義母様もお義父様もピョルを可愛がってくれているし、お腹の赤ちゃんも
楽しみにしているに違いないもの。同居・・・考えないとダメね。』
『くっ・・・大丈夫だまだ心配するな。今のマンションがピョルの学校にも店にも一番いい場所だ。
母さんもすぐにとは言わないさ。』
『でもいつかは考えないとならないわ。』
『それは当分先の話でいいだろう。』

そうシンは高を括っていた

だがミンの本音が≪今すぐにでも同居≫だと気づきもしなかった



チェギョンが臨月を迎えたある晩・・・仕事から帰宅したチェギョンをマンションで待っていたのはミンとピョルだった

『た・・・だいま・・・』
『お帰りなさ~~い♪チェギョンさん。』
『ママ~~お帰りなさ~~い♪』

臨月を迎えた頃にはもう初秋に入っていた

確かに涼しくはなっているが、日中はまだ汗ばむほどの陽気が続いていた

だがチェギョンが帰宅したのは閉店後の事・・・すっかり日も暮れ涼しい時間帯だった

なのにチェギョンは額い汗を浮かべていた

『あら?チェギョンさん随分汗をかいているのね。外は暑かった?』
『あ・・・はい。』
『えっ?ちっ・・・違うわねそれは・・・ひょっとして…とうとう来たの?』
『どっ・・・どうやらそのようです・・・つっ・・・』

顔を歪めるチェギョンにミンは両手をバタバタさせ慌てふためく・・・

そんなミンの様子を見たピョルは、不思議そうに問いかけた

『グランマ~どうしたんですかぁ?』
『あ・・・あ・・・ピョルちゃん大変。生まれるわ~~!』
『えっ?あかちゃん?』
『そ・・・そうよ。あぁ私がこんなことではダメだわ。しっかりしなくっちゃ・・・』

ミンは両手で自分の両頬をピタピタと叩き、気合を入れてからチェギョンを抱きかかえた

『チェギョンさん…行くわよ。』
『あ・・・はい。』
『私が運転していきますからね。ピョルちゃん・・・車の中でパパとグランパに連絡して!』
『は・・・はいぃ~~~!!』

予定日よりも早く訪れた出産の兆候

ミンとピョルが慌てながらも必死に毅然とした態度を取り繕い、自分にに接する様子を見て、

チェギョンは陣痛に耐えながら≪頼る人がいるということは、なんて幸せなんだろう。≫としみじみ感じていた

そう・・・ピョルの時には自ら運転し、かかりつけの病院に入院したのだ

入院用バッグはミンがっ持てくれる

娘のピョルは必死に励ましてくれる

痛みと戦っているのに、チェギョンの顔には笑みが零れていた

『な・・・何を笑っているの?』
『あ・・・お義母様・・・幸せだなって・・・おもって・・・』
『笑っている場合じゃないのよ。さぁ頑張って・・・』

駐車場で車に乗り込んだ三人・・・ピョルは後部座席に乗り込むとすぐに自分の携帯を取り出し、

まずシンに電話を掛けた

『パパ?』
『あぁピョル♪もうすぐ会社を出るところだよ。』
『ママが大変なの。あかちゃんが生まれるんだって!』
『なっなにっ?』
『今病院に向かってる。すぐに木て!』
『あぁ。すぐに行く。』

電話を切ったピョルは、その次にヒョンに電話を掛けた

『ピョルちゃんかい?』
『グランパ~~あかちゃんが生まれそうですぅ~~!』
『なっなんだって?』
『今グランマの運転で病院に向かっています。』
『すぐに駆けつけるよ。待ってておくれ。』
『はいぃ~~~!!』

かかりつけの総合病院に到着し、診察を受けたチェギョンはそのまま分娩室に運ばれていった

『グランマ・・・ママ・・・大丈夫ですか・・・』

心細くなってミンにそう問い掛けるピョルを、ミンはしっかり抱き締めた

『大丈夫よ。あなたのお母さんはすごく強い人だもの。何も心配いらないわ。』
『本当に?』
『本当よ。グランマが嘘を吐くと思う~?』
『思わないですぅ♪』

分娩室の前・・・ミンはピョルと二人で椅子に腰掛け、先程のチェギョンの笑顔の理由を考えていた

(ピョルちゃんを産んだ時・・・チェギョンさんはたった一人だったのね。
誰も応援してくれる人がいなかったのよね。どんなに心細かったか・・・)

心配そうに分娩室の扉を見つめるピョルの横顔を見ながら、ミンはしみじみと考えた

(チェギョンさんを大事にしなくちゃね。こんな可愛い子を一人で産んで必死に育ててくれたんですもの。)

そして今まさにもう一つの命が生まれようとしているのだ



血相を変え分娩室の前に到着したシンとヒョンは、既にチェギョンが出産体制に入ってしまった事を知り

居ても立っても居られない様子でウロウロと歩き回っていた

そのうち陣痛がピークに達したのか、分娩室の中からはチェギョンの呻き声が響いた

『か・・・母さん、大丈夫なのか?』
『母さん・・・今から中に入れませんか?』

さすがにお産の始まっている現場に、今から入りたいと申し出るのは迷惑だ

『シンもあなたも落ち着いて!今チェギョンさんは必死い頑張っているのよ。
あなた達がそんなことでどうするの!』

ミンに一喝され黙る男性陣・・・

だがさらにチェギョンの声が大きくなると、シンは扉の前に立ち今にも乱入しそうな剣幕で扉を押した

そんなシンを諭したのはピョルだった

『パパ・・・ママは大丈夫だよ。私の時だって一人で頑張れたんだもん。
今はこんなに応援団がいるでしょう?ママだってそれをわかっている筈。
だからパパ、いい子が生まれますようにってピョルと一緒に祈ろう!』
『あ・・・あぁ。』

涙目になっているピョルをシンは抱き締め、胸の前で合わせた手に自分の手を重ねた

どうかどうか・・・無事に生まれてきますようにと・・・


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季節はまさに…今くらいでしょうか。

さてどちらが生まれて来るかな。
そして同居問題はどうなる?
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!

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