『パパ~コーヒーのお替わりは?』
『あ?・・・あぁ貰おうか。』
コーヒーサーバーを持ってきたピョルが、シンのコーヒーカップにコーヒーを注ぐ
チェギョンの作ってくれた朝食を食べながら、シンはまさにこの世の春を満喫していた
『ママ~急がないとお仕事に遅れちゃうよ!今日からお店を開けるんでしょう?』
『ええそうよ。ピョルに後片付けをお願いしてもいい?』
『あ~んそんなこと私がするからぁ~♪』
その時・・・≪ピンポーン♪≫と玄関のチャイムが鳴った
『誰かしら。こんなに朝早く・・・』
『ピョルが見て来るよ~♪』
玄関モニターを覗き込み、ピョルは大声を上げた
『あ~~っ!グランパとグランマだ~♪』
『『えっ?』』
チェギョンはもちろん仕事に行く予定があったので、着替えも済んでいるし化粧もしていたのだがシンに至っては
まだパジャマ姿のままだ
ピョルは二人の姿を見て嬉しくて仕方がなく、両親に問うこともなくその扉を開けた
そして当たり前のように室内に入ってきたヒョンとミン
『グッモーニ~ン♪チェギョンさんに食べて貰おうと思って、ベーグルを焼いてきたのよ~♪』
慌ててチェギョンは椅子から立ち上がり、二人に挨拶をする
『お義父様お義母様おはようございます。』
『あら・・・もう朝食済んじゃったの?あら~~~・・・残念だわ。』
『あ~すみません。昼食にいただきますので・・・』
『そうそう!チェギョンさんは今日からお店を開けるんでしょう?ピョルちゃんから聞いたわ。
二人の事は私達に任せて、安心してお仕事に行ってきてね~♪』
『えっ?ですが・・・』
『いいのよ~♪夕食は私が準備しますからね~♪ほら・・・市場に行って食材も買い込んできちゃったのよ。』
確かに買い物している暇もなかったチェギョン
しかし自分のペースで暮らしてきた時間が長く、あまり人から干渉されることがなかったので非常に戸惑っている
『で・・・では、お昼はお店に食べに来てください。』
『えっ?よろしいの?』
『はい。大したものはありませんけど是非。』
『まぁ~~嬉しいわ。あなた・・・チェギョンさんのお店、とても素敵なのよ。お邪魔しましょう。』
『それは楽しみだ。』
シンが漸くぬるま湯の幸せから目覚め我に返った時、すっかり両親は新居に居座っていた
『では・・・行ってまいります。』
『いってらっしゃ~~い♪』
四人に見送られ歩いて数分の店舗兼以前の住まいに向かう
(ふぅ・・・お義母様、良い方なんだけど少し押しが強いわ。)
チェギョンが開店準備に取り掛かっていると、続々とスタッフが出勤してくる
『オーナーご結婚おめで等ございます。』
『ありがとうございます。』
『素敵な旦那様ですね~♪』
『ふふふ・・・そう?』
『オーバーもとても綺麗でしたよ。ピョルがいるなんて信じられないくらいに・・・』
事情を知らないスタッフは、思うままに賛美の言葉をチェギョンにくれた
『後でランチタイムに主人やご両親もここに来るわ。』
『え~~っ?本当ですか?目の保養になります。あれ?ピョルはどうしたんです?』
『新居にいるのよ。』
『そうですか。上手くいっているんですね?』
『ええ、とっても・・・』
上手くいっているどころの話ではない
今やピョルはみんなのアイドルになった
『さぁお店を開けるわよ。』
スタッフと共にチェギョンは店を開け・・・新年初買い客の接客に追われた
その頃新居では、ピョルのアルバムを眺め溜息を吐いているミンとヒョンがいた
『あぁ~なんて可愛いの。ピョルちゃん・・・こんな頃抱っこしたかったわぁ~!』
『全くだ。この柔らかそうな頬を見てごらん。』
『なんて愛らしい赤ちゃんなのかしら~~!』
目に涙を溜め自分の孫を褒め称える祖父母
アルバムの中からイ・ユルの写真が消えているのを知って、シンは少し安堵する
(ピョル・・・もしかしたら、こんなこともあろうかと写真を抜いたのか?まぁ・・・あの写真があったら両親はきっと
いい気分じゃないだろうが・・・。
ん?もしかしてあの男の写真を俺にだけ見せたのは、俺の嫉妬心を煽るためでは?)
もちろんシンにアルバムを見せた当時、ピョルにそのような思惑があったのも事実だ
だが・・・新居に引っ越しをした時、こんな日が来るだろうと予想し写真を抜いたのだ
ピョルはシンの顔を見てニカーーーっと笑った
(パパ・・・私、いい子でしょう?)
(あぁ。とってもいい子だ。)
目と目で会話をする出来立ての父娘・・・共に考える事はチェギョンの心証を悪くしたくないという思いだった
その日約束通り四人はチェギョンの店舗に昼食を食べに行き、ミンはチェギョンの手料理を褒め称えた
ヒョンはチェギョンが経営している店舗を経営者として見学し、その経営手腕に驚かされたようだ
そして昼食を摂り終えた四人は、再び新居に戻っていく
ミンに至っては旅行から戻ってすぐ仕事を再開したチェギョンの為にと、早速夕食の準備に取り掛かった
ピョルも楽しそうにミンの手伝いをする
『グランマ~お野菜切りましょうかぁ?』
『あ!ピョルちゃんは怪我をしたら大変だから、これをちぎってね。』
野菜をちぎったり混ぜたりと、心配の要らない分野をピョルに担当させ楽しそうにキッチンに立つミン
そんな姿をリビングから眺め、ヒョンはシンに話しかけた
『シン・・・あの時チェギョンさんが、≪シンさんを幸せにできるのは私とピョルだけです!≫と言った理由が
今になって分かったよ。きっとチェギョンさんはこうなることを知っていたのだろうな。』
『ええ。俺もそう思います。』
『お前の目に狂いはなかった。幸せにしないとな。』
『はい。しみじみそう感じています。』
『ん~~っ!グランマ・・・これ美味しい~~♪』
『そう?お母さんも喜ぶかしら?』
『絶対に喜びますぅ。ママ・・・美味しくて泣いちゃうかも~♪』
『まぁっ♪』
和やかに幸せな時間を過ごす四人は、この幸せはチェギョンが一人で苦労した10年の歳月の上に
成り立っていると感謝の思いで胸をいっぱいにした
『ただいま戻りました~♪』
仕事を終えたチェギョンが新居に戻り扉を開けると、四人は一斉にチェギョンを出迎えた
『お帰りなさ=い♪寒かったでしょう?』
『ママ~~早く~♪』
『さぁ早く家の中へ・・・』
『お疲れ様。さぁ夕食にしよう。』
温かい部屋の中に充満する美味しい匂い・・・こんな匂いに出迎えられたのは非常に久しぶりで、
チェギョンの胸にこみ上げるものがあった
『とてもいい匂いがします。』
『ママ~!グランマがすんごいご馳走を作ってくれたんだよ。早く食べよ!お腹空いたよ~~!』
テーブルに五人で腰掛け、ミンとピョルが作った料理を口に運ぶ
熱くコクのあるスープをゆっくり味わうと、チェギョンの目には思わず涙が溢れた
(お母さんが作ってくれたスープと同じ味がする。)
思いがけず昔を思い出し、チェギョンは胸が一杯になった
両親を亡くして以来、こんな風に温かい食事がチェギョンの帰りを待っていたことはなかった
『美味しい・・・すごく美味しいです。』
『そう?良かったわ~♪ピョルちゃんもお手伝いしてくれたのよ~♪』
疲れて冷え切った身体に染み渡るようなミンの愛情に、チェギョンは心から感謝せずにいられなかった
幸せな気分で食事をした五人・・・もちろんチェギョンがそれほど感激しているとは誰も気が付かない
食事の後片付けを済ませお茶を楽しんでいる時に、ミンとヒョンは考えた末の提案を三人に話した
『あのねチェギョンさん、相談があるのだけど・・・』
『なんでしょうか。』
『ピョルちゃんの事なんだけど、シンの子供だと世間にお披露目したいの。』
『えっ?』
『戸籍上もシンの実子となったことだし、この際世間にもね・・・パーティーを開いて公表しようかしらって
思っているのよ。』
『お義母様・・・それはやめていただきたいのですが・・・』
『あら・・・どうして?』
『シン君の奥様だった方に、以前偶然お逢いしたことがあるのですが・・・その時、流産されたと仰ってました。
もしピョルの出生を公表した場合、時期的なことを考えると・・・シン君が前の奥様から訴訟に持ち込まれることも
あるかもしれません。先方の気持ちを逆撫でするようなことは、避けた方がよいのではないでしょうか。』
『あぁ・・・すっかりミン・ヒョリンの事を忘れていたわ。確かにチェギョンさんの言うとおりよ。
もしパーティーなんか開いて大々的にピョルちゃんを公表したら、大変なことになるところだったわ。
でもぉ・・・ピョルちゃんを世間に認めさせたいのよ。』
『お義父様とお義母様のお気持ちは本当に嬉しく思います。だったら・・・本当に知ってほしいごく親しい人にだけ
≪内緒の話≫としてお知らせするのはいかがでしょう。』
『親しい人には・・・言ってもいいの?』
『はい、お義父様もお義母様もピョルのことを告白したい人はいらっしゃるでしょうから。』
『解ったわ。そうしましょうあなた。』
『そうだな。チェギョンさんの言う通りだ。』
その時・・・ピョルが大きな声で訴えた
『ピョル・・・あのおばちゃん嫌~い!』
あのおばちゃんが誰を指すのかすぐに想像がついたチェギョンは、ピョルを咎めた
『ピョル!なんてこと言うの!』
すぐさま叱りつけたチェギョンだった・・・だが
『グランマも~あのおばちゃんは嫌いよ。おほほほほ~~~♪』
チェギョンのそんな言葉を遮り、ミンは堂々とピョルの肩をもった
一卵性祖母孫は・・・今後も仲良くイ家を賑わせそうだ
ん~~今にも雨になりそうな管理人地方です。
例の広告・・・どうやら自分のブログには出なくなったみたい。
でも・・・他の肩のところに行くと、やはりうにょ~~んって出てきます。
ひとまずリコメの時に不便にならなくなったので
良しとするか・・・
読んでくださってる皆さんには、ご迷惑かけます・・・