夫婦水入らずのハネムーンを過ごした二人
帰りの飛行機の中・・・シンはチェギョンに問い掛けた
『チェギョン・・・戻ったらピョルの戸籍をきちんとしたいのだが…異存はないか?』
『えっ?戸籍を?』
『あぁ。今のままでは戸籍上再婚相手の子・・・となってしまう。ピョルを認知をしたいんだ。』
『とても嬉しいわ。』
『まぁ恐らく俺が言い出す前に、母さんが書類を用意して旅行から帰って来るのを待っているような気がする。』
『確かに・・・お義母様ならそれもありうるわね。』
『構わないな。』
『ええ。』
『あとひとつ聞きたいことがあるんだが・・・?』
『何かしら?』
シンはチェギョンの耳元に小声で問い掛けた
『・・・できたと思うか?』
『えっ?・・・なにが?』
『あぁ~だから・・・』
『さっぱりわからないわ。』
『っつ・・・』
シンはもしかしたらピョルを身籠ったことのあるチェギョンなら、この旅行で妊娠したかどうか
わかるのではないかと思っていたようだが、そんなことはチェギョン自身にもわかる筈が無い
結果は後からついてくるものなのだ
(まぁ・・・ひとまずはテディベア博物館で購入した一番大きなぬいぐるみをピョルに渡して
お楽しみはあとで・・・そう言って時間を稼ごう。)
シンにしてみればピョルとの約束をすぐにでも守りたい気持ちでいっぱいだったが、ピョルの希望の土産が
すぐに用意できる筈は無い
チェギョンという母体の中でゆっくり慈しみ・・・月満ちて漸く生れるのだ
頭の中でそんな未来をシュミレーションし、一人含み笑いするシンを見てチェギョンは言った
『一体どうしたの?変なシン君・・・』
空港に到着し荷物を車に積んだ二人は、新婚さん仕様の派手なデコレーションをすべて外し
愛娘が留守番をしているイ家へと向かった
『ピョル~ただいま。』
シンとチェギョンがイ家に入って行くと、ピョルは自分の背丈ほどもある大きなライオンのぬいぐるみを抱えて
玄関に駆け付けた
『パパ~ママ~お帰り~~♪』
それを見てシンはいきなり敗北感に包まれた
(っつ・・・父さん、動物園でピョルにあんな大きなぬいぐるみを買うなんて・・・)
『ピョル~そのライオンのぬいぐるみ、どうしたの?』
『あのねママ、昨日動物園でグランパが買ってくれたんだよ~♪』
『そう。良かったわね。動物たくさんいたでしょう?』
『ん~~それがね~寒かったからみんなお部屋に入ってて、元気なペンギンさんをいっぱい見たよ~♪』
『くすくす・・・そうだったの。ペンギンさんは寒いのが平気だものね。』
『そうなんだよ~♪』
『あら~二人ともお帰りなさ~い♪』
ミンに出迎えられ、チェギョンは土産を持つとミンと共にキチンに向かった
『パパ~♪』
『ピョル~ただいま♪』
思わずシンはそのライオンのぬいぐるみごとピョルを抱き上げた
『パパ~~♪えへへ~~❤』
『ピョ~~ル♪』
暫く父になった喜びを噛みしめたシン・・・そんな様子を呆れ顔で見ているヒョンの視線を感じ、
渋々ピョルを腕から降ろした
『あぁそうだ。ピョルにお土産だよ。』
シンはピョルの空いていた右手にラッピングされたテディベアを抱かせた
シンの土産という言葉に目を輝かせ、その直後右手に渡されたものを見てピョルは落胆する
『パパ?これは?』
『これは・・・テディベアのぬいぐるみだ。』
『え~っ?・・・約束は・・・』
『あ・・・だからな、その約束はすぐに結果が出ないんだ。少し・・・二カ月くらい待たないと・・・ダメなんだよ。
でも・・・パパは必ず約束を守るから・・・』
『ホント?』
『本当だとも。』
『わかったぁ~♪じゃあ二カ月待ってるね。』
『楽しみに待っていてくれ。くくっ・・・』
なりたての父娘・・・傍から見たら非常に微笑ましい光景だが、実際はなかなか際どい会話内容だ
その上シンはこの時・・・ピョルとの会話に若干誤解が生じていることをまだ知らなかった
ヒョンに促されリビングに入って行ったシンとピョル
ピョルの隣に腰掛けようと思ったシンは、当たり前のようにその場をヒョンに奪われ少し不機嫌そうだ
そこにミンとチェギョンは紅茶を淹れて戻って来る
そしてミンも当たり前のようにピョルの横に座る
『済州島のお菓子をお土産に買ってきてくれたのよ。いただきましょう~♪』
『わか~い♪』
『ピョルちゃんは何がいいかな?』
『私は・・・あ~あれ!』
ピョルが指差した菓子を、ヒョンはピョルの元に置いた
たった二日間滞在しただけなのに、あまりの馴染み様のピョルをチェギョンは諭した
『ピョル・・・あなたは後から頂かなきゃダメでしょう?』
チェギョンがそういった瞬間、ミンとヒョンは声を揃えてチェギョンに抗議をする
『』とんでもない!』』
その権幕にチェギョンはすっかりピョルが、この家に打ち解けているのを感じた
まさに舐めるように可愛がられている証拠だ
『いいのよチェギョンさん。お夜ちゃんが一番好きなのを食べていいの。それが私達は嬉しいのよ。
ところでねチェギョンさん・・・ピョルちゃんの戸籍の件なんだけど・・・』
シンが予想した通り認知手続きの書類が二人の目の前に差し出された
『理解していただけるかしら?今更だけどこういうことはきちんとしておきたいの。』
『はい。』
『シン・・・この場で書類に署名と捺印をお願いね。』
『わかりました。』
何の抵抗もなく署名と捺印をするシン
それを見たミンは感無量といった表情で微笑んだ
『これでピョルちゃんは完璧にイ家の子だわ。嬉しいわ~♪』
『グランマ・・・ありがとうございますぅ~♪』
お茶と菓子を楽しみながら、ミンとヒョンは代わる代わるピョルの頭を撫でている
そんな調子であるから、もちろん夕食も一緒にということになり・・・ピョルが眠そうな顔をしたのを見たミンは
『ピョルちゃんもう一泊・・・』
と言いだす始末
やっとの思いで新居に帰り着いた三人は、目が冴えてしまったピョルが眠るまでベッドの両側で
おしゃべりに付き合わされた
シンはその日・・・本来あるべき家族と共に新居での生活をスタートさせた
『パパ~♪起きて~~!朝ですよぉ~♪』
ピョルの開け放った厚手のカーテンから朝日が燦燦と差し込む
『ん~~っ・・・ピョルおはよう。』
『パパ~おはよう。早く起きて~~♪』
ベッドの上に感じる命の重みと温もり
シンは目をこすりながらベッドから起き上がった
寝室に流れ込んでくるコーヒーの香り、スクランブルエッグの焼ける音・・・
『パパ~もう朝ごはんだよ~♪』
『あぁ。』
ピョルに手を引かれパジャマのままキッチンに入って行くと、朝食の支度をするチェギョンが後ろを振り向いた
『シン君おはよう。食事にしましょう♪』
『あぁ。チェギョンおはよう。』
温かい室内温度と優しい朝の日差し・・・シンは漸く陽の当たる場所の住人となった
ん~~あまり細かいこと
うだうだ言うのは嫌なんですけど・・・
このにょ~~んて現れる広告が
どうにも嫌!
皆さんは平気?鬱陶しくない?
にゃふーさん・・・何とかしてください~~!