ピョルの運動会前日・・・弁当の為の買い物を済ませ自宅に戻ったチェギョンを、ユルが待ち構えていた
『チェギョン!』
『あ・・・ユル君、納品?』
『ううん。明日ピョルの運動会だろう?今年は何をお土産に持って行こうかなって思って・・・』
『あっ・・・』
チェギョンは困惑した表情で一瞬俯いた
シンと交際を始めたことを告げた以上、もう二度とピョルの学校行事に参加しようとは思わないだろうと
高をくくっていたのだ
(もっとはっきり言わなきゃダメだったのね。)
本音を言えばもうユルを傷つけるような言葉は言いたくなかった
言わずに済めば・・・そう願っていた
『ユル君・・・あのね私、年が明けたら彼と結婚するの。今年は彼のご両親も運動会に来てくれることになったわ。
だから・・・ありがとう。今まで本当に・・・』
『あの男と結婚?本気なの?』
『ええ。本気よ。ピョルも認めてくれたわ。』
『どうしてあの男は・・・君やピョルに取り入るのが上手いんだ!突然現れてあっという間に
君を奪っていくなんて・・・。なぜ僕の事は男として見てくれなかったの?』
実はそれには理由があった
イ・ユルが社長として店に出入りするようになった頃・・・前社長で今は会長職に就いている
ユルの母親ソ・ファヨンからきつく言い渡されたのだ
≪息子に恋愛感情を持つな。≫と・・・
最初からフレンドリーでチェギョン親子に親切だったイ・ユル
チェギョンはその場で自分の心の中にバリケードを張った
≪祝福されない恋愛なんか二度としない≫
もちろん10年前のシンとの短い恋は、ガンヒョン以外の誰にに知られることはなかったのだが
誰かに知られていたら・・・それはチェギョン自身が愚かな行為をしたと罵られたことだろう
『最初からそういう縁じゃなかったのよ。これからも取引していただけるとありがたいけど、取引中止といわれても
仕方がないわ。悪かったわ・・・。』
『取引をやめるなんて・・・そんなつもりはないよ。ただ君に選ばれなかったことは・・・本当に残念だ。』
肩を落としてイ・ユルは去っていった
ひと月前の父親参観日にはシンとユルが遭遇し、あわや喧嘩になるんじゃないかと思うほどの状況だったと
チェギョンは娘から聞かされていた
(もう・・・運動会には来ることはないでしょう。)
シンの両親の前で誤解を受けるような騒ぎになるのだけは避けたかった
特にピョルの出生について感づいているミンに、そんなところを見せたくなかった
翌朝チェfギョンは早起きをし、運動会の為の弁当をせっせと作った
興奮状態なのか早起きをしたピョルは、そのご馳走を見て目を見張った
『ママ~おはよう。すごいご馳走だね~♪ん~~でもぉ・・・なんかいつもとはおかずが違うような気が~?』
『あ・・・そうね。シン君のご両親もいらっしゃるから、あまり脂っこくないものも用意したのよ。』
『あ~なるほどね~♪でも~ピョルの好物特性海苔巻きは?』
『もちろんあるわよ♪』
『おぉ~フルーツも今年はいっぱいあるぅ♪』
『四人分だからね。これは冷やして持って行くわね。今年はみんなで応援するから
ピョルも一生懸命頑張りなさい。』
『はあ~い!』
ピョルが出掛けていった後、チェギョンはたくさんの弁当を持って学校に向かいながらしきりと悩んでいた
(そうだわ。ピョルの事・・・一体いつ告白したらよいのだろう。
今までに話す機会はいくらでもあった
だがいつも躊躇い・・・結局言えずじまいだった
いつかは娘のピョルにもきちんと説明してあげたい
(結婚してから・・・そうしよう。それがいいわ。)
小学校の校庭にシートを敷きながら、チェギョンはそう心に決めた
確かに今更になってそれを告白するのはバツが悪いのもあった
ピョルがイ家の血を引き継いだシンの娘であることを告白するのは・・・
まさかその当人がずいぶん前からそのことに気がついているとは知らず、チェギョンはそう思った
やがて運動会が始まろうという頃、シンは両親を連れて校庭に姿を現した
『チェギョンさん~こんにちは~~♪』
『シン君のお父様お母様・・・今日はどうもありがとうございます。どうぞここにお掛けください。』
チェギョンは折り畳み式の椅子を開き、ヒョンとミンに勧めた
『ピョルちゃんは・・・どこにいるのかな?』
『あ・・・シン君のお父様、ピョルはあの群れの中に・・・くすくす・・・』
ヒョンとミンは整列する児童の中からピョルを見つけようと目を凝らす
シンなどは一眼レフカメラで早速写真を撮り始める始末
(シン君・・・ピョルがあなたの娘だと知ったらどんなことになるか・・・)
今でさえこの可愛がり様だ。知った時のことを思うと少し胸が痛んだ
各学年の競技が始まり・・・いよいよピョル達のダンスの順番がやってきた
シンはシートから立ち上がり移動すると、ピョルが一番近くに見える場所に行き写真を撮り始めた
ピョルもシンの視線に気が付いたのか、満面の笑みをシンに向けた
(あぁピョルはなんて可愛いんだろう。他の子と比べて背も高いし・・・まるでモデルみたいじゃないか。
これじゃあ将来が思いやられるな。)
近い将来を心配しながらもシンはカメラのシャッターを押した
同じようにカメラを構える父兄の中で、一際様になっているシンを見て児童たちも騒ぎ出した
『誰~~?あのカッコいいおじちゃん・・・誰のパパかな?』
(ピョルのパパだよ~♪)
今はまだ言えない・・・ピョルは心の中で思い切り叫んだ
実の祖父母も観覧してくれている初めての運動会
ピョルは幸せな気持ちでダンスに集中した
その後・・・ピョルが気合を入れていた50メートル走の競技が始まり、ピョルは意気揚々とスタートラインに立った
教師の合図と同時に飛び出していったピョル・・・家族にいいところを見せたくて、この日に向けて
一生懸命練習した
練習ではいつも一番をだった
その日も一等賞を獲れるはずだった
ところが・・・隣を走っていた子が転倒し、ピョルは巻き添えを食う形で転んでしまった
先頭を走っていたピョルだったが、次々と追い越されていってしまう
転んだ時に膝を擦りむいたらしく傷が痛んだが、それでもピョルは立ち上がった
(一等賞を獲るって誓ったんだもん。頑張らなきゃ・・・)
立ち上がり猛スピードで走り始めたピョル
だが・・・転んだタイムロスは大きく、結局一位になることはできなかった
(二位・・・だ・・・)
あまりの口惜しさに涙が込み上げてきたが、ピョルは必死に堪えた
自分が泣けば最初に転んだ子が責任を感じてしまうと思ったのだ
(パパやママ・グランパにグランマにカッコいいところ見せたかったのに・・・)
お昼休みの時間となり、足取りも重く家族が待つ場所に向かったピョルは必死に笑顔を作っておどけてみせた
『今日は見に来てくださってありがとうございます。一等賞が獲れなくて・・・ごめんなさい・・・』
家族が心配しないように笑っているつもりでいた
だがやは望んだ結果が出せなかった悔しさは、表情に出てしまったようだ
ミンは思わず立ち上がり、ピョルを抱き締めた
『ピョルちゃんカッコ良かったわ~♪足が速いのね。まるで隼のようだったわ。』
『母さん、そんなことよりピョルちゃんが怪我をしているじゃないか。早く持ってきた救急箱を出しなさい。』
『まぁっ!大変だわ。』
ミンはピョルを座らせると、カバンの中から救急箱を出し手当てをしようとした
その時シンが・・・
『母さん、私がやりますから・・・』
ピョルの傷ついた膝を、水を含ませたガーゼで洗いそれから消毒薬を塗る
思わず涙ぐんでしまったピョル
『ピョル…痛かったか?すまない。少し我慢してくれ。』
痛くて涙ぐんだのではない
父や祖父母からこんなにも優しくされることが嬉しくて堪らなかったのだ
チェギョンも娘のそんな様子を見て胸が熱くなる想いだった
傷の手当が一通り済んだあとチェギョンはその場に弁当を広げた
『さぁ召し上がってください。お腹空いたでしょう?今冷たいお茶も用意しますから・・・』
ミンはチェギョンの作った弁当に手を付け、驚きの声を上げた
『まっ!チェギョンさん・・・すごく美味しいわ。どれも・・・これも・・・』
『お口に合いましたか?良かったです。』
『ね~~お父さん、美味しいでしょう?』
『ああ。本当に手が込んでいて味も一流だ。』
母の料理が褒められている・・・ピョルも嬉しくなって自慢げに言った
『ママのご飯はすごく美味しいんですぅ~♪』
確かに今日の弁当は、いつもの食事より美味しく感じられた
それはきっと家族が揃って食事をしているからなのだろう
ピョルも食欲旺盛でいつも以上に食べてしまったようだ
『今日は楽しかったわ。』
『本当に・・・子供の声は元気をくれるな。』
『シン君のお父様お母様・・・お疲れになったでしょう?ありがとうございました。
シン君も本当にありがとう。』
『いや。とても楽しい一日だった。ピョルの膝にちゃんと薬を塗ってやってくれ。』
『解ったわ。』
心地よく疲れた身体を秋の風に任せながら三人は帰って行った
それから程なくしてシンとチェギョンは婚約した
そのお祝いをするために予約したレストランで、親子三人が楽しく談笑している時の事だった
『あら・・・シン!』
馴れ馴れしく声を掛けてきた人物がいた
『ヒョリン・・・』
それはシンの別れた前妻だった
これがまた~ヒョリンはとんでもないことを言い出すんです。
次回どうぞお楽しみに~♪
昨晩次男が、『母ちゃん~ここに変なものがあるぅ・・・』
と脚の付け根を見せましてね・・・
すると・・・なんかあるじゃないですか!しこりが・・・
昨晩はなんだか気になって仕方がなく
眠れませんでした。
本人も試験期間だというのに
眠れなかったらしいです・・・
本日、午後から病院に行った次男・・・
≪普通にリンパが腫れているだけです。≫と病院で言われ
安堵して帰宅しました。
今夜はよく眠れそうです。