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Channel: ~星の欠片~
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蒼い月 41

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それは朝の挨拶を受けている時の事だった

太子も妃宮もげっそり痩せたウナの姿を心配そうに見つめながら、私達に挨拶をする

ギョムなどは何か言いたそうなのだけど、今にも口から出そうになる言葉を必死に堪えているように思えた

いつもと変わらぬ朝・・・ウナを心配そうに見つめるみんなの視線も同じ

その時・・・そんな当たり前の朝を大混乱に導く衝撃的なニュースが飛び込んできたのだ

それはコン内官の報告によるものだった

『皇帝陛下・・・大変です!今、皇室リゾートのイギサから連絡が入り・・・朝の散歩に出られていた
先帝と先皇后様が暴漢に襲われたとの事です。』
『なにっ?それで・・・お二人に怪我は・・・』
『幸いお二人にお怪我はございませんでした。ですが・・・』

コン内官のその表情で・・・誰かが怪我を負ったに違いないと私は確信した

『誰か怪我をしたのか?』
『はい。済州島に赴任したばかりのホンイギサが・・・先皇后様を守り負傷したとの報告がありました。』

<ガタン!!>

ホンイギサ・・・その名前を聞くなりウナはよろめいた

そしてこのところ全く見せなかった気迫に満ちた視線をシン君に向けた

『陛下・・・私を済州島に行かせてください。』
『公主・・・』

恋しい男が自分の祖母を庇って怪我をしたとなれば・・・その怪我の状態にもよるが

看病したいと願うのは当然の事

私にはウナの気持ちが痛いほど理解でした

『お願いです!!行かせてください!行きたいのです!!』

非常に困惑した表情で思案するシン君・・・確かにシン君の気持ちもわかる

でもやっぱり私は一途な恋をした娘に加担したい

そう考えシン君に進言しようとした時・・・一足先にギョムが口を開いた

『陛下・・・どうか公主を済州島に行かせてあげてください。本来であれば私が駆け付けたいくらいです。
そのくらいホンイギサは私たち兄妹にとって、大事な人なのです。』

ギョムに背中を押され漸くシン君は首を縦に振った

『いいだろう。だが私と皇后も一緒に行くことにしよう。』

それがいいわ。ウナ一人じゃあ・・・心配だし

するとギョムは安堵の笑顔を浮かべた

『お留守の間は私と妃宮にお任せください。それにホンイギサも公主の顔を見れば、
きっと元気になることでしょう。』

えっ?ひょっとしてギョムは二人の気持ちに気が付いていたの?

気が付いて・・・当然よね

ギョムは誰よりも二人と一緒にいたんですもの

『さぁ公主、出かける支度をなさい。』
『はい。皇后様・・・』

逢いたくて仕方がなかったのだろう

ウナの顔にはホン・ジュソン君に逢える喜びと怪我を心配する思いが入り混じった、複雑な表情をしていた



支度を済ませた私たちは、即座にチャン航空に連絡を取り・・・ギョン君の計らいで小型ジョット機を

フライとして貰えることになった

お忍びでの済州島行きだ

堂々と皇室専用ジェットを飛行させるわけにはいかない

その頃ギョン君はチャン航空の代表を務める立場となっていた為、そういった個人的な事情にも

すぐ対応してくれた

私達は内官や尚宮・・・そしてイギサを従え、数日分の荷物を車に載せ空港に急いだ




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俺達が済州島に到着した時・・・もちろん迎えの車がすでに到着していた

暴漢はその場で取り押さえられたとの事だが・・・どうやら金目当ての不埒な輩だったらしい

あとから襲った相手が先の両陛下だと知って、拘置所の中で震え上がっているとの事だった

一瞬俺の頭の中にミン・ヒョリンの事が掠めたが、そんなことは絶対にあるまい

それはインから定期的にやってくるメールで確認済みだ

ミン・ヒョリンは犯した罪を悔いながら生きている

疑う余地はない

また・・・ウナの世話係のイムにしても・・・本当の祖母のようにウナに尽くしている

現に今回の済州島にもついてきたほどだ

ウナは迎えに来たイギサに問い掛けていた

『あの・・・ホンイギサの怪我は・・・』
『公主様、先程病院で治療を受け、皇室リゾートに戻っております。まだ休養が必要なため
休ませておりますが・・・』
『そう・・・ですか・・・』

安堵と不安の入り混じった表情でウナは小さく溜息を吐いた

そんなウナの背中をイム世話係はそっと撫でている

慈しむような眼でウナを見つめ、それからウナと一緒に公用車に乗り込んだ

俺達も別の公用車に乗り込み皇室リゾートに向かって出発した

車の中でチェギョンと俺は、ようやく落ち着いて話ができた

『一体どうしたらよいものか・・・』

あのウナの一途さを想うと、尼寺に入るというのも満更嘘ではないと思えて来る

それ以前にウナが体調を崩さないか・・・心配になるほどだった

『どうやら宮の皆さんは、この件を知ってしまったようです。』
『そうだろうな。』
『陛下・・・歳の差は解消できたのですか?』
『いや・・・それもまだだが、何しろ身分の差が・・・』

公主と添い遂げられる身分・・・それはどう足掻いてもホン・ジュソンの手に入るものではなかった

だが・・・あれ程までにホン・ジュソンを一途に想うウナに、親として何がしてやれるか・・・

必死に考えていた

身分さえ何とかなれば・・・あとは俺の気持ち次第

なんとも頭の痛い問題を抱え、車は皇室リゾート内に入って行った



皇室リゾート内に入って行くと、報告を受けた先帝と先皇后様が内官や女官と共に出迎ええてくれた

『まぁ・・・みんなお揃いでここまでいらっしゃるとは・・・』
『先帝・先皇后様ご無事で何よりです。』
『これもホンイギサのおかげだ。』
『お義父様・お義母様・・・本当にご無事で安堵いたしました。』
『皇后もよく来てくれたな。』

そう笑顔で挨拶を交わした俺達だったが、ウナだけは違っていた

『ホン・ジュソンさんはどちらに・・・?』

もうすでに涙を溜めた目で先皇后様に問い掛けた

『ホンイギサには奥の部屋で休んでもらっておる。』
『どちらのお部屋ですか?』

既に走り出したウナ・・・もう恋しい男に逢いたい気持ちは溢れだしていたた

『その一番奥の部屋だ。』

先皇后様がそういうと、その部屋に向かっていったウナはその部屋の前で止まり扉を開けた

『ホン・ジュソンさん・・・』

ホン・ジュソンが横になっているベッドに駆け寄り、ウナは傍らで泣き始めた

『大丈夫ですか?痛みますか?私が看病させていただきますから、早く元気になってください。』
『な・・・何を仰るんですか公主様・・・そのようなことは絶対にいけません。』
『嫌です!私は皇太子命令でここに来たのですよ。追い返すような真似はやめてください。』
『公主様・・・冷静におなり下さい。皆様が見ていらっしゃいます。』

泣いて縋るウナを必死に突き放そうとするホン・ジュソン

嬉しいのだが困惑した表情で、俺達の方向に視線を向けた

その時、先皇后様は口を開いた

『おや・・・これは一体どういうことなのだ?それに公主はなぜこんなに痩せてしまったのだ・・・』

それに関して俺は、本当の事を説明をするしかなかった

『どうやら二人は恋仲のようです。』

俺のその言葉を聞いてホン・ジュソンは首を横に振った

『とんでもありません。私のような者が・・・そんな恐れ多い・・・』

必死に否定しようとするが、隣りで泣いているウナを傷つけるような言葉も言えないホン・ジュソン

俺自身にもどう収集つけてよいのかわからない空気が部屋の中に充満した時、先皇后様は俺の悩みを解消し

益々俺を悩ましくさせる言葉を発した



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さて~皇后様は一体どんな言葉をくれるんだろう。
てか・・・ココの読者は意外とサッシの良い人が多く
ネタバレする恐れがあるので
オープンコメ下さる方は
お口チャックでよろしく~~❤


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