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Channel: ~星の欠片~
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蒼い月 35

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イン君がヒョリンを連れて去っていき、イム親子がホン・ジュソン君に連れられ東宮に向かった後

私達は私の病室に戻っていった

長かった夜が明け・・・もうすっかり朝だ

コン内官さんはストップしていた内親王誕生の知らせを流す手配に追われ、シン君もどうやらこの後

私の下した処罰の後始末の為皇室警察に向かうという

シン君は・・・一言も叱らなかった

『シン君・・・勝手なことをしてゴメンね。でも自分でケリをつけたかったの。』
『いや・・・お前の判断は間違っていない。よく頑張ったな。』
『ありがとう・・・』

シン君に理解して貰えて嬉しくて笑顔になる

それからハタと我に返る

そうだ!あの子が戻ってきたんだ

『あの子に逢いに行かなくちゃ・・・』

そう私が呟いた時、病室の扉がノックされた

『失礼いたします。』

入ってきたのはベビーキャリーを押した看護師長だった

『この度は私共の不手際で、皇太子殿下・妃殿下には大変なご心配をお掛けし申し訳ございませんでした。』

あ・・・私の子だ!もう私の耳に謝罪の言葉など入ってこない

それより早くこの子を抱き締めたい

そう思い私はベッドから降りると赤ちゃんの顔を覗き込んだ

同じようにシン君も覗き込んだ

一瞬・・・もしこの子が他の赤ちゃんとすり替えられた子だったら・・・そんな不安が過ったけど

そんな不安は瞬時に消えた

だって・・・そのベビーキャリーの中にいた赤ちゃんは、私の赤ちゃんの頃の写真にそっくりだったからだ

しかも・・・あんな窮地を乗り越えたというのに、緊張感のないアヒル口をしている

私はベビーキャリーに腕を伸ばし、そっと赤ちゃんを抱き上げた

軽い・・・ギョムの時より軽いような気がした

女の子だからかな・・・

赤ちゃんはそのアヒル口をもごもごさせている

『チェギョン・・・お腹が空いたんじゃないのか?』

あ!そうだ。この子はまだ一度も私のおっぱいを飲んでいないのだ

看護師長は微笑むと部屋を出ていき、私はベッドに腰掛け赤ちゃんにお乳を含ませた

コクン・・・コクンと勢いよくお乳を飲む私の赤ちゃん

『そんなにお腹が空いていたの・・・』

いや・・・きっとイム看護師が時間が来るたびにミルクを与えてくれていたのだろう

ギョムに初乳を与えた時よりも、飲み方が上手だ

赤ちゃん・・・私の可愛い子、お帰りなさい

お乳を飲ませながら私の頬にはとめどなく涙が零れた

そんな様子をシン君は黙って見つめていた

シン君だって生きた心地のしない時間だったことだろう

私がお乳を飲ませ終え、縦抱きにしてげっぷをさせた後・・・シン君は堪り兼ねて私に両手を差し出した

『チェギョン・・・俺にも抱かせてくれないか?』

あ・・・そうだった。シン君もまだこの子を抱いていない

私はシン君の腕の中にそっと赤ちゃんを託した

『チェギョンに・・・そっくりだな。この低い鼻も唇も・・・目が開いたらきっとくっきり二重瞼なのだろうな。』

シン君は目尻を下げ赤ちゃんを見つめ、私の顔と見比べた

『きっと愛嬌のある美人に育つだろう。良かった・・・無事戻ってきて・・・』

シン君の切れ長の目尻から涙が伝った

漸く・・・親子水入らずの時間がやってきた幸せに私達は酔いしれた




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娘を漸くこの腕に抱けた

一番最初に抱く・・・これに拘った俺だったが、やはり一番はチェギョンに譲らないとな

身を切られる思いで娘の帰りを待っていたのだから・・・

なんて愛らしいのだろうか・・・

見れば見るほど愛嬌のあるその顔が、愛おしくてたまらない

チェギョンが初乳をあげ、俺も腕の中で眠る娘の寝顔を堪能した頃・・・看護師長はまた娘を連れていってしまった

『皇太子殿下・・・もうご心配はございません。どうぞ東宮に戻ってお休みになってください。
妃殿下も少し休んでいただかないと・・・』

そういった看護師長は、ハッ!と顔色を変えチェギョンに駆け寄ると≪失礼いたします。≫そう告げ

いきなりチェギョンの額に手を伸ばした

『妃殿下・・・どうやら発熱なさっているようです。』

そして白衣のポケットの中から出した体温計で、チェギョンの熱を計る

案の定チェギョンは高熱といえる熱を出していた

無理もない・・・出産した身体で一睡もせず娘の事を心配していたのだから・・・

授乳中の為母乳に影響の出る薬は飲めない

医師から心配のない薬を出して貰いそれを飲ませると、俺はチェギョンをベッドに横たえ髪を撫でた

『無理をし過ぎたのだろう。ゆっくり眠るがいい。』
『でも・・・』
『内親王が心配なのか?それならチェ尚宮が他の女官と交代で見守っている。』

つまり・・・一度そういうことがあったのだから、宮側も警戒姿勢を崩さないということだ

『でも・・・チェ尚宮お姉さんだって眠っていないのに・・・』
『お前は出産直後だ。』
『でもシン君だってこれから皇室警察に行くのでしょう?』
『俺は出産していないからな。』

口で俺に勝てると思うなよ!チェギョン・・・くくくっ・・・

『とにかく今は身体を休めないとダメだ。そうしないと内親王にお乳があげられないぞ。』
『ふぅ・・・わかった。ちゃんと休むわ。』

チェギョンの額に手を当てると、チェギョンの体温の高さが掌に伝わった

そのまま頬を撫でてやるとやがてチェギョンは眠りに落ちていった

お疲れ様チェギョン・・・こんなにも長い夜を経験したのは初めての事だっただろう?

俺は二度目だ

8年前の事件の時・・・俺は同じ思いで夜を明かした

ゆっくり休んでくれチェギョン・・・

俺は物音をたてないように病室を後にし、病室の外で護衛をしているハンイギサにチェギョンの事を頼むと

公用車に乗り一旦宮殿に戻っていった


自室で着替えを済ませ、皇帝陛下の元へ報告に向かうと・・・俺が来たことを聞きつけたのか

ギョムは俺に駆け寄り抱きついた

『とうさま・・・僕の妹は?』

こんなに幼いのに大人の中にいると、耳に入れたくない情報も入ってしまうらしい

俺は口角を上げるとギョムを抱き上げ微笑んだ

『お母様にそっくりな可愛い妹だ。あとで逢いに行こうな。』
『ほんとうですか?僕もいっていいのですか?』
『あぁ。お母様もギョムに逢いたいだろう。』
『わぁ~い!!』

内親王が連れ去られたなんて話は、これでギョムの胸の中から払拭できたはずだ

やはり俺達と同じように疲れた顔の三陛下に、無事戻ったことを報告し・・・チェギョンの下した処罰について

了解を取った

もちろん全面的に賛成できた話ではないが、それでもイム看護師がいなかったら娘は

無事ではすまなかっただろう

そのことを思えばイム看護師は、憎い誘拐犯であると同時に娘を救った恩人でもあるのだ

三陛下はチェギョンのそんな思いを受け入れ賛成してくれた



それから俺はコン内患と共に皇室警察に向かった

今回の一件は公にしないことを伝え、首謀者・・・また実行犯に対する処罰も宮が取り決めたを告げた

皇室警察署長などは、チェギョンの下した処罰に関して≪そのような処罰の方法もあるのですね。≫と

感心するばかりだった

終身刑の囚人に対する恩赦の申し立てには、さすがの警察署長も驚いたが・・・

やはりこの国の国母となるチェギョンが自ら望んだことを伝え、手続きが行われることになった



皇室警察でするべきことを済ませ東宮に戻った俺は、しばらく仮眠を取ることにした

目が覚めたらギョムを連れて病院に行こう

チェギョンにそっくりな娘にまた逢えると思うと、自然と顔が綻ぶ

こうして生まれたばかりの内親王連れ去り事件は、ようやく解決した

いや・・・時間にしたら短いものだったが、俺達夫婦にとっては途轍もなく長く不安な時間だった



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昨日と今日・・・私の叔父の葬儀でした。
なかなか時間が取れなくて
集中できなかったぁ・・・
やはり身内の訃報は悲しいね。


ところで!!

祝❤は・き・ょ・く❤
七夕の日に…われらのプリンスが
戻ってきた気分よ~~❤
性格悪くてすみません(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!


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