慌ただしく過ぎた夏休みが終わった
今年の夏休みはとても短く感じられた
なによりチェギョンが戻ってきたのだから、退屈している暇は全くなかった
後ひと月もするとチェギョンは東宮に嫁いでくる
夏休みの間に皇室広報部から婚姻の日取りの発表された
俺は胸を躍らせながら新学期を迎えた
登校してすぐ・・・俺の元にホン・ジュソンが訪れた
恐らく進路の相談だろう・・・まだホームルームまでには時間はある
俺はホン・ジュソンを誘って皇太子ルームへと向かった
ホン・ジュソン以外は既に進路が決まっていた
後はホン・ジュソンだけだ
成績優秀な生徒が家庭の事情で上の学校に進めないのはとても厳しい現実だ
皇室奨学生という他にない待遇を得られるのだから、それを利用しない手はない
ホン・ジュソンはソファーに腰掛けるなり、本題を口にした
『皇太子殿下…夏休みの間中よく考えたのですが、俺・・・警察学校に進みたいと思っています。』
『警察学校?つまり・・・警察官になりたいのか?』
『いいえ。宮殿に仕えるイギサになりたいんです。』
『イギサに…なるだと?』
少し驚く決断だった
だが奨学生五人のうち二人は同系大学に進むと決め、あとの二人は警察学校への進学を希望していた
だから決しておかしいことではないのだが・・・まさか!ホン・ジュソン・・・お前は横恋慕しているんじゃ・・・
不安に駆られ俺は問いただした
『ホン・ジュソン・・・まさかと思うが、お前はチェギョンに特別な感情を持っているんじゃないだろうな?』
『皇太子殿下・・・確かに特別といったら特別な感情です。チェギョンは俺の生きる道を正してくれた人ですから。
でも・・・恋だとか愛だとかの感情ではありません。そうではなく・・・コイギサさんのような存在。
チェギョンの安全を守る存在でいたいんです。
ですのでどうぞご心配なく。』
心配などするものか・・・っつ
『そうか。わかった。お前がそう決めたのなら警察学校に進むがいい。』
『ありがとうございます!』
満面の笑みで皇太子ルームを去っていったホン・ジュソン
だがなぁホン・ジュソン・・・イギサにお前のようなデカい図体の男はいない
お前が警察学校に通い、どんな風に変貌を遂げるのかが少し楽しみだ
教室に戻ると新学期が始まる前に婚姻の日取りが決まった俺を、ギョンは冷やかした
『いいな~~シンは高校生で結婚だなんて。俺も早く結婚して~~よ!』
『バーカ!すねかじりのお前じゃあ、ガンヒョンが嫁に来てくれるはずない。』
『そうだよな~~!やっぱ・・・大学卒業してから?』
『普通はそうなるだろうな。俺は普通じゃないからチェギョンも大変だ。』
『あはは~大変だなんて言っておいて、顔がにやけてやがる。シン・・・嬉しい?』
『あぁ。ものすごく嬉しい・・・』
『ちっ・・・聞いてらんない~~!』
惚気のひとつやふたつ言いたくもなるさ
準備は万端・・・あとはチェギョンの両親にも一度逢いに行かないとな
そう思った俺は新学期が始まる早々シン家を訪れた
チェギョンの両親は満面の笑みで迎えてくれたが、お義父さんは少し恨めしそうな顔をしていた
その気持ちもわからないではない
三年ぶりに帰ってきた娘はたった5カ月しか一緒にいられなかったのだから・・・
『東宮に頻繁にいらしてください。いつでも歓迎いたします。』
俺にはこんなことくらいしか言ってやれなかった
皇室から正式な発表があり、婚礼の議は10月初旬に決まった
嬉しい・・・とても嬉しいはずなのに、なにかが胸の中に引っかかる
一体なんだろう?
自分の胸の中にわだかまったしこり・・・それに気が付いたのはコお兄さんと話をした時の事だった
その日・・・迎えに来てくれたコお兄さんの車に乗り込んだ時、コお兄さんはこんなことを話してくれた
『そういえばチェギョン様・・・もう耳に入りましたか?』
『えっ?コお兄さん・・何のことですか?』
『ミン・ヒョリンの事です。』
ヒョリン!!久し振りに聞いたその名前に、私は背筋が寒くなる思いだった
『ミン・ヒョリン・・・いいえ。何も聞いていません。彼女が・・・どうかしたのですか?』
『未成年の厚生施設で、とうとう自分の罪を認め真面目に過ごしているそうです。』
えっ?あんなに頑なだったヒョリンが・・・認めたと?
『そうですか。全く知りませんでした。』
『これでひとまず安心です。しっかり反省し・・・人生をやり直してくれるとよいですね。』
あぁ・・・確かにそうなんだけど、例えば刑に服す期間を終えて彼女が再び世間に戻っても
彼女には帰る家もなければ迎えてくれる家族もいない
私がされたことを思えば、同情するなんておかしいのだけど・・・きっと人は幸せだと寛大になるのだろう
彼女の行く末が・・・少し心配になった
瞬く間に月日は流れ・・・婚礼の日はやって来る
私はいつも通り迎えにきたコお兄さんの車に乗り込もうとした
その時・・・お父さんが私を呼び止めた
『チェギョン!!』
釣られたようにお母さんも叫んだ
『チェギョンや!』
振り向いた私は満面の笑みを浮かべ、両親に告げた
『行ってきます。お父さんお母さん。また後で宮殿で・・・』
『ああ。』『そうね・・・』
行ってきますと言っても・・・今日からこの家には戻らないのだ
両親は涙ぐんでいた
後ろ髪を引かれる思いで私は一度目を瞑ると、胸元で両手を振った
寂しさは確かにあるけれど・・・これも定められた運命だ
私はこの道を突き進むよりほかない
宮殿には愛しのシン君が待っている
そう自分に言い聞かせ車に乗り込む・・・後ろは振り向かなかった
振りむいてしまったら寂しくなってしまうのがわかっていたから・・・
宮殿に到着するとすぐに私はお姉ちゃんに連れて行かれ、お姉ちゃんの手によって婚礼衣装に着替えさせられた
『とてもよくお似合いです。チェギョン様・・・』
『お姉ちゃん・・・』
『なりません。私はチェ尚宮です。』
『これで最後にするから・・・お姉ちゃん、ありがとうございました。そしてこれからもどうぞよろしくお願いします!』
『はい。かしこまりました。』
そういって微笑んだお姉ちゃんの瞳は涙で潤んでいた
支度が整った私はお姉ちゃんや他の女官さんと共に婚礼の儀式の場に向かう
慣れない衣装で足元を掬われそうになるが、そんな私を心配そうに見つめるお姉ちゃんに恥をかかせない為にも
私は一歩一歩慎重に歩いていく
愛する人の元へ・・・
かけがえのないただ一人の人の元へと・・・
と・・・いうわけで来週は、婚礼です~❤
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
あ・・・ゆぱさんが7話と22話に
イラストを描いてくださいました。
後で貼っておきますのでお時間がありましたら
見て行ってくださいね~❤
写真が撮れたので、できたら通信をアップしていきます。
(予約投稿ね)
明日の記事の御返事は
日曜日になりますよ~~★
(だって帰宅するのは深夜になるし~♪)
どうぞよろしく❤
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あ・・・ゆぱさんが7話と22話に
イラストを描いてくださいました。
後で貼っておきますのでお時間がありましたら
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写真が撮れたので、できたら通信をアップしていきます。
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明日の記事の御返事は
日曜日になりますよ~~★
(だって帰宅するのは深夜になるし~♪)
どうぞよろしく❤