大急ぎで段取られ決定した婚約発表の日がやってきた
皇室広報部から会見があるのは、授業真っ最中の時間だ
だから学校内の生徒たちは、帰宅してからそのことを知るだろう・・・な~~んて思っていたら甘かった
一人ドキドキしながら時計を見ていた授業中・・・いきなり授業を遮る校内放送が流れだしたのだ
<ピンポンパンポ~~ン♪>
『韓国芸術高校の皆さん・・・これから皇室より重大なお知らせがあるそうです。心して拝聴してください。』
はっ!この声は校長先生だ。まさか!
すると案の定そのまさかが始まったようだ
【皇室広報部よりお知らせいたします。
韓国芸術高校特進科三年に在籍中の皇太子殿下におかれましては
同高校美術科三年に在籍中のシン・チェギョンさんと本日婚約が整ったことをここにお知らせいたします。
婚礼の儀式につきましては、ただいま検討中ですので追ってお知らせいたします。
国民の皆様・・・まだ高校生といううら若きお二人を、温かくお見守りくださいますようお願い申し上げます。以上】
この声は・・・皇帝陛下付きのキム内官様だ
しんと静まり返った教室内・・・視線が私に集まっているのが痛いほどわかる
その放送が終わった直後・・・教室内に歓声が響いた
『チェギョンおめでとう~♪』
『すごいなチェギョン。名前が変わったと思ったら・・・今度は皇太子と婚約だなんて・・・』
そう…目まぐるしく変化する私の環境に、クラスメートたちも驚きを隠せないようだ
だけど・・・薄々感づいていたのかな?まぁ・・・編入初日にシン君が逢いに来たなんて事もあったから
こういう日が来ることを察していた生徒も多かったのだろうな
ひとしきり歓声が湧き起こった後は、普段通りに授業が再開された
ん~~大きな混乱もなくてよかった
でもガンヒョンだけは詳しいことを知っているだけに、感慨深い顔でポツリと言った
『良かったわねチェギョン・・・』
『うん♪』
『もう二度とこんな思いさせないでよ。』
えっ?ガンヒョン・・・それを私に言う?私には不可抗力だったんだって!あの事件の事は・・・
でもガンヒョンもそれをわかっているみたい
『まぁ・・・もうヒョリンはいないしね。当分出てこられないんでしょう?』
『うん。10年て聞いたよ。』
『10年経ったら頑ななあの子の気持ちも変わるでしょう。』
だったらいいなぁガンヒョン・・・まだ≪私は何もしていません≫と言い続けているみたいよ・・・
次の休み時間・・・私の元にホン・ジュソン君率いる皇室奨学生たちが、お祝いに駆け付けてくれた
『チェギョン・・・おめでとう。皇太子殿下から話は聞いていたけど、意外と早かったな。』
『えっ?シン君から聞いていたの?
『うん。許嫁だって聞いた。』
『そうだったんだ。』
『何か困ったことがあったら、俺達が助けるから何でも言って。』
『ありがとうジュソン君。みんなもありがとう。』
ミン家の呪縛から解き放たれた五人は、実に生き生きとした笑顔を私にくれた
もう誰かの言いなりになったり・・・したくもないことを強要されることはないね
良かった。本当に良かった・・・
昼休みになって・・・いつも通り≪皇太子ルーム≫にガンヒョンと向かうと、なぜか部屋の前で
ギョン君が待っていた
『ガンヒョン・・・シンが、五分だけ二人にしてほしいとさ。』
『へえ~~♪別にいいわよね。アタシ達は学食に行ってもいいんだし。』
『いやそれが・・・食事の用意はされているんだって。五分だけ待っていてほしいらしいよ。』
『だってさ。チェギョン・・・行きなさいよ。』
『うん♪』
私は一人≪皇太子ルーム≫の扉を開け、その扉を閉めて中に入って行った
『シン君~♪』
そして部屋の中で微笑んでいるシン君に向かって突撃だ!
ガバッとシン君の身体にしがみつき、いつもの愛情表現をした
シン君ももう慣れたもので、しっかり私を受け止めてくれる
『騒ぎにならなかったか?』
『うん。みんな薄々感づいていたみたいよ♪』
『そうか。良かった。チェギョン・・・ちょっと降りてくれ。』
『えっ?どうして~~~?』
『用事があるから・・・』
用事とは一体何でしょう?そう思いながら渋々シン君に絡みついた脚と手を放し、私はシン君の前に立った
その時・・・私の目の前になにやらチェーンのようなものがゆらゆらと揺れた
ん?凝視してみるとそのチェーンの先には翡翠の指輪が通っていた
ほら・・・よく歴史劇なんかであるじゃない?あんな指輪
『皇后様から預かってきた。元は皇太后様から賜ったものだそうだ。』
つまり・・・歴代の皇太子妃に伝わる物なの?
『学生だから指にはめていることはできないからな。』
『うん。』
シン君は私の髪をかき上げ、チェーンの留め金を止めると翡翠の指輪を私の胸元に押し込んだ
ひ・・・ひぃ~~っ・・・触れたよ。シン君の指先・・・
みるみる顔が赤くなっていくのが自分でもわかる
『これで婚約成立だ。』
『うん~♪』
私は背伸びをしてシン君の首に腕を回すとキスの催促をした
シン君は微笑んで何度もそれに応えてくれた
腰に回されたシン君の手が・・・妙に熱く感じられた
二人で婚約の喜びに浸っていたその時・・・その甘い雰囲気をぶち壊してきたのはやはりギョンだった
『えっと~お二人さん、もう10分経過したんですけど~?』
っつ・・・なんて無粋な奴だ!
だが確かにそうだな。昼食を摂る時間が無くなってしまう
『すまなかったギョン・・・ガンヒョン。』
『///ごっ・・・ごめんね~~///』
キスシーンを見られたわけだから、非常にバツが悪い
いつもの場所に腰掛け、みんなで食事を摂りながら話をする
『シン~婚姻はいつになりそうなんだ?』
『そうだな。年内には婚姻するだろう。』
『えっ?そうなのか?』
『あぁ。本来だったらもう既に婚姻していた筈だ。あの事件がなければな・・・』
『そうかぁ。でもさ・・・ほら、皇室に入る前って難しい勉強とかチェギョンはするんだろう?』
それに関してはチェギョンが答えた
『ギョン君・・・私にはチェ尚宮お姉さんが付いていてくれたから、知らぬ間に教育させられていたんだよ。』
『本当か~~!すごいなチェギョンは・・・じゃああっという間に婚姻か?』
『うん。きっとね。』
ガンヒョンは楽しそうに微笑んで俺に問い掛けた
『皇太子・・・もちろん婚姻の日は国民の休日になるんでしょう?』
『あぁもちろんだ。』
『じゃあ…今から準備しないとね。』
『えっ?何の準備?』
『婚礼パレードよ。大々的にお祝いしてあげるわ。』
『ガンヒョン~嬉しいよ~♪』
友情や愛情に守られて漸くこぎつけた婚約・・・この二人はチェギョンが名前を取り戻す為に力を尽くしてくれた
大切にしていかなければ・・・
チェギョンもそうだが友情もそして頼もしい臣下も・・・
婚約が成立したことで俺は大手を振って、チェギョンと一緒にいることができるのだから
『あぁそうだ!チェギョン・・・今日は帰りに宮に酔って行くだろう?』
『あ・・・そうだね。陛下や皇后様・・・それに皇太后様にもご挨拶しないとね。』
『そうだ。』
きっとチェギョンはチェ尚宮やコイギサにも逢いたいだろう
ずっと家族と思い共に暮らしてきたのだからな
これからは毎日だって宮に通ったらいい
あ・・・いや、チェギョンの両親の事も考えてあげないとな
一日置きに宮に来てもらおう
妃宮の部屋のインテリアも相談したいしな
もうチェギョンを追い込む者はいない
その安堵からか俺は婚姻の日が待ち遠しくて仕方がなかった
ふぅ・・・暑いでございますね。
アタクシ・・・本日ようやっと
こたつ布団片付けました(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
洗濯機7回回したんだよ~!
(そのうち2回は洗濯槽のお掃除だけどね~)
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!