昼休み皇太子ルームの扉がノックされた
<トントン>
『どうぞ。昨日はお疲れ・・・』
俺が昨日の労をねぎらう間もなくチェギョンは俺に飛びついて来る
『シンく~~ん♪』
『・・・・あぁ・・・』
ギョンとガンヒョンがいるというのに、全くお構いなしな態度のチェギョンだ
いやむしろこの二人の前だからこそ、心置きなくチェギョンはありのままの感情を俺にぶつけて来られるんだろう
首に回された手・・・脚までも俺に巻き付いている
お前はコアラか!
『シン君、ホン・ジュソン君から聞いたよ~♪みんなを奨学生にしてくれたんだって?』
『あぁ。お前との約束だしな。』
『ありがとう~♪』
『チェギョン・・・重い!』
『あっ・・・重いだなんて・・・もぉっ!』
『降りろ。さぁギョンとガンヒョンも座ってくれ。食事にしよう。』
『ちぇっ・・・』
唇を尖らせ不貞腐れたチェギョンは渋々ソファーに腰を下ろす
『ギョンとガンヒョン・・・昨日はお疲れ様。』
『ホントよ。アタシなんか腕が痛いわ。』
チェギョンが幽霊役を演じている最中、ずっとドライアイスから発生するスモークを団扇で送っていたガンヒョンだ
だがそういいながらもどこか晴れ晴れとした顔をしていた
やはり親友であるチェギョンが、自分本来の名前を取り戻したことが嬉しくてたまらないのだろう
俺達は食事をしながら話を続けた
『シン・・・何か事件に進展はあったのか?』
『あぁそれが・・・今朝受けたコン内官からの報告によると、親子揃って黙秘を貫いているらしい。』
『まぁそううだろうな。家紋の存続にかかわることだしな。でも・・・警察署長から提出された事故車両の捜査で
何かわかったんじゃないのか?』
『それが・・・事故車両のブレーキに細工がされていたことは判明したが、誰が手を下したのか・・・
その証拠は一切残っていないそうだ。』
『なんだって?じゃあ・・・まさかあそこまで追い詰めたのに、釈放っていうこともあるのか?』
『それだけは・・・避けたい。』
チェギョンも俺とギョンの話を聞いて憤慨している
『自白させようにもブレーキに細工をした疑いのある人は・・・亡くなったんでしょう?』
『あぁ・・・それも確かな話らしい。ただその事故も恐らくミン家の当主が差し向けた刺客による
殺害だろうがな。』
『怖い人だ・・・そんな人、一生塀の中にいたらいいのに・・・』
一歩間違っていたら・・・コイギサやハンイギサの判断が遅れたら、チェギョンも危なかった
それを思うと絶対に釈放などさせてなるものかと思う
『明日は学校が休みだから皇室警察署に行ってくるよ。』
『うん。少しでも事件解明に向けて進展があったらいいね。』
『あぁ。チェギョン・・・お前は明日家に戻るんだろう?』
『うん♪久し振りに両親と再会できるよ。』
娘の一番多感な時期を傍で見守ることのできなかったチェギョンの両親は、どんなに辛かったことだろう
また・・・事件が解決したらすぐに婚約そして婚姻と話は進むのだ
皇室を取り巻く陰謀に振り回されたチェギョンの両親には、本当にすまなく思う
その翌日・・・俺はコン内官とハンイギサを伴い皇室警察署に出向いた
『チェギョン様・・・お支度はお済みですか?』
荷物をまとめ家に帰る準備が整った私は、お姉ちゃんに満面の笑みで頷いた
『うん。済んだよ。お姉ちゃん♪』
『では参りましょう。』
コお兄さんの運転する車の後部座席に私とお姉ちゃんは座り、生まれ育ったシン家に向かう
シン家まではここから一時間ほどもある
その間お姉ちゃんは何度も繰り返し、私に言い聞かせた
『チェギョン様・・・三年間学んだことを忘れないように、時には復習なさってください。よろしいですね?』
『はぁ~い。』
言葉遣いは丁寧だが口うるさいところは相変わらずだ
でも毎日聞かされていた小言が、しばらく聞けなくなるのは本当に寂しい
『お姉ちゃん・・・東宮に行けばお姉ちゃんにもコお兄さんにも逢えるの?』
『はい。基本的に私たちは東宮に仕えておりますから、いつでもお越しください。
シン家にはイギサが数名護衛につきますから、そのうちの一人に申し渡せばすぐに車を出してくれるはずです。』
でもね…お姉ちゃん、知らないイギサさんの車に乗るのなんてやはり怖いよ
あの日の事が私の脳裏に残っているんだもの
コお兄さんだから安心して車に乗れるけど、他の人じゃあ・・・
曇った私の顔色をバックミラー越しに見たのだろうか、コお兄さんが教えてくれた
『チェギョン様・・・シン家を護衛するイギサは、私が任命したイギサばかりです。
だから安心して用事を申し付けてください。』
『あ・・・はい。コお兄さんそうします。』
何も言わなくても私の考えていることはお見通し・・・さすが三年も一緒に暮らしただけのことはある
やがて懐かしい我が家が見えて来る
家の前に車が到着すると、私は車から降り軋む木の門を開けた
<ギィッ・・・>
三年間誰もここに住んでいなかったんだもの、あちこち傷んでいるに違いない
『お父さん・お母さん・・・』
小さな声で呼んでみる
すると・・・
『チェギョン~~~!!』
『チェギョンや~~~!』
まるで玄関から飛び出すように両親は私に向かって駆け寄った
そして三年ぶりの抱擁
あぁ・・・お父さんもお母さんもそんなにきつく抱きしめたら痛いじゃない
暫く抱き合っていた私達だけど、二人は私を抱き締めた手を放して、私の顔をまじまじと眺めた
『ずいぶん大人になって・・・』
『すっかり娘らしくなったな。これもチェ尚宮さんとコイギサさんのおかげだ。』
そういうお父さんとお母さんも、随分老けたような気がした
『さぁチェギョン・・・食事の支度ができているから中に入ろう。』
『うん。』
でも・・・その前にきちんと挨拶しないとね
私はきっと後ろに立っているだろうお姉ちゃんとコお兄さんに向かって振り向いた
『お姉ちゃん・コお兄さん・・・三年間、本当にお世話になりました。』
そして深々と頭を下げた
二人共なんとも言えない複雑な表情を浮かべ、それでもお姉ちゃんは最後の小言を私に言った
『チェギョン様・・・今後はチェ尚宮とお呼びください。』
『はい・・・』
チェ尚宮なんて呼びたくないよ
お姉ちゃんは・・・私のお姉ちゃんだ
血の繋がりはなくても三年間本当に私は彼女の妹だった
『では失礼いたします。』
踵を返し門から出て行った二人・・・私は目が潤むのを必死に堪え、一度だけ両手の甲で目を拭った
そして両親に向かって振り向いた
『さぁ~お父さんお母さん、ご飯食べよ♪』
これが私の本来の生活なんだ
そう思いながらも胸の中を吹き抜けていく風は、どこか寂しかった
和気藹々とお母さんの料理を堪能し、三年間のいろんな話をしていた時・・・
私のスマホが着信を知らせた
あ・・・シン君からだ
私は両親に自室に向かう旨を告げ、三年ぶりに自分の部屋の扉を開けた
『シン君?』
『あぁ。自宅に戻ったか?』
『うん。今お昼ごはん食べ終わったところ~♪』
部屋の窓を開け私はベッドに座った
『先ほど皇室警察署から帰ってきた。』
『なにか進展はあった?』
『あぁ。大ありだ。』
『えっ?どうしたの?何fがあったの?』
シン君は勿体つけるように電話口で私を焦らす
『あぁ・・・朗報だ。』
『自白したの?』
『違う。』
『えっ?違うの?もぉ~早く話してよ!』
『ミン親子は依然として黙秘を続けたままだが・・・元警察署長の机の中から、
ミン家の当主との会話テープが出てきたんだ。』
『えっ?それは・・・どんな内容?』
『元警察署長はどうやら今まで散々、経費の水増しをしていたらしい。
私用の時にも経費で落としていたそうだ。
その事実をミン家の当主に握られて、やむなく三年前の事件を事故として処理することを承諾させられた。
会話の中にはヨン・サンギュンの名前も出てきた。
声紋鑑定でもミン家の当主の声であると証明された。
これで・・・ミン家を叩ける。』
『ホント?シン君…よかった。よかったね~一時はどうなることかと思ったよ。』
『ヒョリンがあの事件に関与していたことは、まだ認めていないがな。それも必ず認めさせる。』
『うん。私の証言が必要な時には、証人になるからね。』
『あぁ。きっとそうなると思う。とにかくこれでひとまず安心だ。
チェギョンはご両親とゆっくり話をしな。』
『うん。そうするよ。また東宮に遊びに行ってもいいかな?』
『それはもう少し待ってくれ。』
『えっ?なぜ?』
『宮殿内にまだミン家の手の者がいないとは限らないからだ。ちゃんと調査が終了してからの方がいい。』
『あ・・・そっか。そうだね。うん。そうする。』
今日は折角の日曜日・・・久しぶりに宮殿に行きたかったんだけど、シン君がそういうのなら
しばらくは我慢するかな
はぁ~やっぱり自分の部屋は落ち着くな
その日私は両親と夜遅くまで語り合った
記憶を失くしている間の事を語りつくすのは、一晩ではとても足りなかった
昨日はファイティン記事に
たくさんの方にお越しいただき
本当にありがとうございました❤
ところで・・・明日粗大ごみなんです。
絶対にもう着られないのに
7号のフォーマルが捨てられないのはなぜだろう・・・
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
たくさんの方にお越しいただき
本当にありがとうございました❤
ところで・・・明日粗大ごみなんです。
絶対にもう着られないのに
7号のフォーマルが捨てられないのはなぜだろう・・・
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