翌日登校していった私は、一人教室に向かう廊下を歩いていた
その時・・・急に見知らぬ男の子に行く手を遮られた
『やぁ!本当にチェギョンにそっくりだね?とは言っても僕は幼い頃のチェギョンしか知らないけど・・・』
『あ・・・あの・・・』
『あぁごめん。僕はイ・ユルだよ。隣のクラスに在籍しているんだ。』
差し出された右手・・・私はその手に応えながら微笑んだ
幼い頃逢っている?シン・チェギョンと知り合いなんだ
『私はチェ・チュナといいます。』
『チュナか・・・いい名前だね。そうだ。イギリス留学から帰国したんだって?どこにいたの?』
どこ?ど・・・どこといわれても困ったな
えっとイギリスの首都は・・・
『ロンドンにいました。』
『えっ?ロンドン?奇遇だね。僕もつい最近までロンドンにいたんだよ。どこの学校に通っていたの?』
うわぁ・・・ヤバい。ヤバすぎる・・・えっと~こういう場合は・・・
『くすくす・・・内緒です。』
『ちぇっ・・・教えてくれないんだ。まぁいいけど・・・ふふふ・・・』
この人から悪意は感じられない
でもこれ以上追及されると本当に困ってしまう
だってイギリスなんて地図で見た事しかないもの。近寄るのやめよう
そう思った時・・・イ・ユル君の背後からおずおずとあの新聞に皇太子と写っていた女が現れた
げっ・・・一体何の用なの?
『良かったねヒョリン。彼女はチェギョンじゃないってさ・・・』
『本当に良かったわ。私は舞踏科のミン・ヒョリンよ。』
『チェ・チュナです。』
握手なんかするもんかと思ったけど、敵も握手を求めてこなかった
『それであなたって・・・』
あ・・・この先はシン・チェギョンでないことを確認する為の言葉が並ぶわけだ
なんか・・・写真で見るよりムカつく
てか・・・明らかに私の顔に敵意を抱いているみたい
『ひょっとして皇太子殿下が私の顔を見に来られたことを、気になさっているのですか?』
けっ・・・あんたもこのくらいの敬語を使ってみな!
『えt・・・いいえ私は・・・』
なんだか非常に気分が悪い
気分が悪い上に値踏みするようなこの女の視線が超ムカつく
私ってもしかして・・・この女とものすごく仲が悪かったとか?え~~い!やり込めちゃえ~~っ!
『ミン・ヒョリンさんと皇太子殿下の新聞記事を拝見いたしました。
そのシン・チェギョンさんという人を気にして私に逢いにいらっしゃるなんて、随分自信がないんですね。
皇太子殿下とは・・・てっきり交際なさっているのかと思っておりましたが・・・』
『あなた!言わせておけば・・・』
きゃ~~っ怖い。さっきまでのお嬢様面はどこへやら、敵は目を吊り上げて私の頬に思い切り手を振り上げた
でも・・・遅い・・・遅いよ
遅すぎる~~~♪残念でした~私はね・・・コお兄さんに護身術を習っているんだから、そんなの象の歩み程も
遅く感じるのよ!
私は振り下ろされたミン・ヒョリンの手首を捕らえ、まっすぐ彼女の目を見返した
『失礼いたしました。無礼な発言をしてしまったようです。では私はこれで失礼いたします。』
『待ちなさいよ。あなた!』
いひひ・・・見た?あの顔を真っ赤に染めて激昂するミン・ヒョリンの手頸を離すと、自分の教室に向かっていった
これ以上私に関わらないでね。もし飛び掛かってこようものなら、投げ飛ばしそうだから~あはは~♪
な~~んてご機嫌で教室に向かっていったら・・・今の一部始終をイ・ガンヒョンに見られていた
ヤバい・・・いや、以前の私は護身術なんて身につけていなかった筈
言葉遣いは丁寧だった
だからきっと大丈夫・・・な・・・筈
イ・ガンヒョンは私に向かって含み笑いをすると話しかけた
『チェ・チュナおはよう。アンタ随分勇ましいじゃない?』
『えっ?恥ずかしいところをお見せしちゃったわ。』
『まぁ席に着きましょう。』
『そうね。』
う~~このお嬢様口調はなんて疲れるんだろう
席に着いた時イ・ガンヒョンは満面の笑みで私に言った
『アンタはシン・チェギョンじゃないわ。昨日は悪かったわね。勝手に誤解して決めつけちゃって・・・。
チェギョンだったらどん臭いから、ヒョリンの平手打ちをまともに喰らっていた筈だもの。
昨日のお詫びにさ・・・お昼休みに美味しい物をご馳走するわ。』
『えっ?美味しい物?』
『ええ。だからお昼休みは私に付き合ってね。』
『うん。いいわ。』
何だろう・・・逆にシン・チェギョンじゃないと言われるとすごく寂しい気がする
ほっとしていい筈なのに変だよね
あ!そうだ!お姉ちゃんがお弁当を持たせてくれたんだった
まぁお姉ちゃんのお弁当を食べても、美味しい物は別腹~❤
お弁当持って行っちゃおうっと~~♪
ガンヒョンから≪チェギョンをお昼休みに部屋に連れて行く≫との連絡を受け取り、俺はいつもより早めに
女官に昼食を用意させその後は下がらせた
イギサも同時に一旦宮に帰るよう命を下した
どこに敵が潜んでいるかわからない・・・宮の中にも敵の手駒になっている人間がいると知った俺は
女官やイギサさえも疑惑の目で見るようになっていた
学校内の皇太子の部屋にチェギョンにそっくりな女が来たと知ったら、敵は何をしでかすかわからない
とにかく今はチェ・チュナであることを尊重してやろう
『殿下~連れてきたわよ。』
『あぁ。入ってくれ。』
いきなり連れてこられた部屋に俺がいることを知り驚いたのか、チェギョンは動揺し俺から目を逸らした
俺はあくまでもフレンドリーに話しかけた
『チェ・チュナ・・・昨日は失礼な態度を取ってすまなかった。お詫びに食事を用意したので食べてくれ。』
『えっ?あ・・・ですが姉が作ってくれたお弁当もありますし・・・』
『お前が食べてくれないと、折角作ってくれた料理長が気の毒だ。さぁ掛けて・・・』
俺は自分の座るソファーの横を指差し、チェギョンに座るよう命じた
ギョンとガンヒョンも向かいの席に座る
まるで三年前にタイムスリップしたかのような光景だ
中学の頃こうやって四人でよく食事をしたっけ・・・なんて感傷に浸っている場合ではない
俺は弁当を開け皆に食べるよう促した
『さぁ食べてくれ。』
『おぉ~♪はぁ~さすがに宮廷の弁当は美味いなぁ。』
『本当に美味しい~♪チュナも食べてみなよ。』
『ええ。』
開けた弁当箱・・・さて何から手を伸ばす?お!やはりそれにいくか・・・
チェギョンは宮廷料理の中でも一番好きだといっていた物から箸を付けた
予想通りだ
だが・・・以前のような豪快な食べ方ではない
おしとやか・・・そんな彼女になんだかとても違和感を覚えた
ふと・・・チェギョンが持参した弁当の中身に目が向いた
あぁ?これは・・・宮廷料理じゃないのか?俺は思わず問い掛けた
『弁当はお姉さんが作ったのか?』
『はい。姉が持たせてくれたんです。』
一般の人間が弁当に宮廷料理など入れる筈がない
チェ・チュナ・・・チェ・チュナ?・・・姉というのはひょっとしてチェ尚宮のことか!!
頭の中でなにかが繋がったような気がした
そんな風に食事をしながらもチェギョンのことを気に掛けている俺に、ガンヒョンは面白い話をしてくれた
『殿下・・・今朝、チュナのところにユル君とヒョリンが来たのよ。』
『なにっ?それで・・・』
『チュナったらヒョリンを怒らせちゃって、あわや平手打ちを喰らうところだったのよ。』
『チュナ・・・大丈夫か?』
俺はチェギョンの頬に赤みがさしていないか、顔を覗き込んで確認した
だがチェギョンは満面の笑みで答えた
『全然平気です。あの程度の動きは見切れますから。
でも皇太子殿下・・・あのような血の気の多い方とお付き合いなさっているなんて、ファンの方が知ったら
幻滅されてしまいますよ。』
なにっ?付き合ってなどいない
『はっきり言っておくが、俺はシン・チェギョンだけを待っている。世間で騒ぎになったらしいがそれはデマだ。
チュナもそんなデマは信じないでくれ。』
『はい。』
そういうとチェギョンは美味しそうにまた同じ料理を口に運んだ
気に入った物をとことん食べる性格は変わっていないようだな
食事マナーがしっかり身についているのは、チェ尚宮が傍にいるのなら当然だろう
本当はチェギョンの口から白状してほしかったが、今はチェギョンでいるよりもチェ・チュナでいる方が安全だろう
これ以上追及することはしない
たとえチェ・チュナという名前であっても、話しかけると微笑んでくれるその横顔はあの時のままだからな
益々チェ・チュナがシン・チェギョンであると確信した俺達三人
今は自分の事をチェ・チュナと言い張るチェギョンを、静かに見守っていこうと心に決めた
また命を狙われたら・・・今度は助かるかどうかわからない
そんなことが二度と起こらない様、俺達三人でチェギョンを守っていこう
チュナがチェギョンであることは
其々の胸の中で確信に変わったようです。
チェギョンをチュナと呼びながら
親しくなっていく三人ですよ~❤
今日ね・・・欲しかった多肉ちゃんが届いたんです。
でもちょっと期待外れで・・・
アタシしょんぼり・・・
其々の胸の中で確信に変わったようです。
チェギョンをチュナと呼びながら
親しくなっていく三人ですよ~❤
今日ね・・・欲しかった多肉ちゃんが届いたんです。
でもちょっと期待外れで・・・
アタシしょんぼり・・・