(チェギョンside)
公式に私の懐妊が発表されてから、私とシン君は晴れて一緒に公務に出られるようになった
行く先々で国民に祝福の言葉を掛けられ幸せいっぱいだ
だけど長く男役を演じてきた私の妊娠を信じられない思いで見る人も多く、中には遠巻きに涙ぐんでいる人も
いたりなんかする
生物学的には女性よ。妊娠してもおかしくないの・・・
世間に定着していた男役としてのシン・チェギョンの偶像から、まだ離れることはできないみたい
シン君と微笑んで国民に手を振る
すると行く手を遮るように小さな女の子が私達の前に飛び出し、イギサに取り押さえられた
『こらっ!ダメじゃないか。子供はあっちに行きなさい!』
まだ分別もつかない5歳くらいの女の子・・・思わず私はイギサ達を制した
『やめなさい。離してあげなさい。』
『ですが妃宮様・・・』
シン君も私に同調してくれた
『その子を離してやりなさい。』
『はっ!かしこまりました。皇太子殿下・・・』
その女の子は掴まれた両腕を≪痛かった≫というように擦りながら私たち二人の前に駆け寄った
『皇太子殿下・・・妃殿下こんにちは~。』
『こんにちは。』
『お利口さんね。ちゃんとご挨拶ができるなんて・・・』
シン君はその子の頭を優しく撫でて目を細めた
きっとこれから生まれてくる私達の子供の事を考えているのだろう
『あの~妃殿下・・・お腹に触ってもいいですか?』
女の子は私を見上げながら哀願する
即座にそばについていたイギサがまた身構えた
こんな幼い子なのよ
それにこの子の目に悪意などない
『いいわよ。どうぞ。』
『ありがとうございます!!』
女の子は嬉しそうに頬を染め、私のお腹にそっと手を伸ばしその小さな掌を当てた
『わっ!!少し大きくなっています~♪』
『そうでしょう?くすくす・・・』
『男の子ですか?女の子ですか?女の子だったら歌劇団に入れますか?』
えっ?この子・・・私が歌劇団出身ってこんなに小さいのに知っているのね
『ん~~どっちかなぁ。生まれてくるまで聞かないことにしているの。ひょっとして歌劇が好きなの?』
『はいっ!!お母さんに連れて行ってもらいました~♪』
意外なところで可愛いファンを発見したわ
『そう。どうもありがとう。』
『大人になったら妃殿下みたいな男役になるんですっ!』
『そう。じゃあ今から頑張らないとね。』
『はい!頑張ります。』
女の子は私に向かって両手を伸ばした
私はその両手を繋ぐように握手をした。シン君も隣で微笑みながらその子と握手を交わす
満足した女の子は私達に深くお辞儀をすると踵を返し、パタパタと走り去っていった
女の子が走り去った先には、私よりも少し年上と思しき女性が深々と頭を下げた
公務を終え宮に帰る車の中でシン君は私に言う
『チェギョン・・・親王だったらひとまず安堵するが、内親王でも楽しみがあっていいな。』
『そうね~内親王はとても楽しめそう。』
私の頭の中に男装をしステッキを持って踊る女の子の妄想が浮かんできて、私は何とも言えない気分になった
でも・・・さすがに皇女はどんなに望んでも歌劇団に入る夢など持てない
もしかして私は・・・自分の恋の成就と引き換えに、生まれてくる子供の可能性を狭めてしまったんじゃないか・・・
一瞬そんな思いが頭を過る
だけどシン君の横顔を見た時、≪生まれてくる子供の運命はこの人が父である以上、最初から決まっている≫と
思えて来る
だって・・・・初めての観劇で一目惚れした私を、妻に迎えた人の子供だもの・・・自分で運命を切り開くに違いない
一人勝手にいろんな想像をし、そして勝手に納得する私だった
(シンside)
人にはわからないだろうが、俺には日々チェギョンのお腹が大きくなっていることがわかる
ほんの少しずつだが昨日よりも確実に大きくなっているのだ
お腹が大きくなってくるとチェギョンは運動不足が気になるようで、二人きりの時唐突に
床にぺたんと開脚してみたり、思い切り足を頭上に上げたりする
お願いだ・・・妊娠中だということを忘れないでくれ
ソウル歌劇団にいる時常にトップスターだったチェギョンは、その立場が妃殿下となっても妥協を許さない
チェギョンが安定期に入った頃挙式したギョンとガンヒョンは、ハネムーンに出かけどうやら大量のお土産を買って
帰国してきたようだが・・・俺達夫婦とギョン夫婦のスケジュールの折り合いがつかず、なかなか東宮に来ることは
かなわなかった
漸く二人が東宮を訪れたのは、チェギョンがもうすぐ臨月を迎える時期に入った頃だった
俺とチェギョンは東宮の玄関まで二人を出迎えに行った
ギョンとガンヒョンさんは東宮の車止めで車から降り、イギサに車を任せて両手いっぱいのお土産を持ち
俺達の元に駆け寄った
『チェギョン~~久しぶり♪お腹が・・・すごいことになってるわ。』
『うん、もうすぐ臨月だもの~♪さぁ…二人とも中へどうぞ。』
俺達四人は応接室に入り、向かい合ってソファーに腰を下ろした
『よいしょっと・・・』
ひとつの動作をする度にそんな掛け声を漏らすチェギョンに、ガンヒョンさんはくすっと笑う
『チェギョン、重そうね。』
『うん。すごく重いわ。』
『あ・・・そうそう!これお土産よ。』
テーブルの上に並べられたベビーウエアや海外製の玩具がずらりと並べられた
『こんなにたくさん?』
『これでも絞ったのよ。皇孫様がお使いになるんだから、安全性や素材にもこだわったわ。』
『ありがとう~~♪』
『ベビーウエアに関しては男女どちらでも着られる物にしておいたから、安心していいわ。』
『うん~~♪』
確かに色は白やアイボリー・・・そして黄色など、生まれた子供の性別を問わないチョイスだ
『ギョン・ガンヒョンさんありがとう。』
『いやいやとんでもない。ベビー用品を選ぶのは楽しくってね。俺達も早く子供が欲しいんだけど
何せ忙しくしているからな~!』
『そんなに忙しいのか?』
『うん。ガンヒョンが我が航空会社のイメージキャラクターになっただろう?
なにかとイベントとかに顔を出さなきゃならなくてさ・・・』
『それは好都合だ。』
『何が好都合なんだよぉ~~!!』
憮然とした顔つきのギョン・・・
俺は出産後のチェギョンへのご褒美パーティーの事を話すことにした
『いや実は、宮殿で仮面舞踏会を開こうかと思ってね。』
『仮面舞踏会?』
『あぁ。王族の娘や子息を招いて、皆仮面をつけてパーティーに参加するんだ。
それにギョンとガンヒョンさんも出席してほしいんだ。』
『なぜ俺たちが王族の出席するパーティーに?』
『チェギョンをその時男装させるからだ。』
『な・・・何だって?つまりそれは・・・』
ギョンもガンヒョンさんもその先の言葉を察したようだ
ガンヒョンさんはとても楽しそうに笑みを浮かべた
『それはつまり・・・アタシにも男装して来いってことね?』
『あぁそうだ。出席してもらえるか?』
『アタシは構わないけど、チェギョンは大丈夫なの?そのお腹・・・戻るのかしら?』
『意地でも戻すっ!!』
チェギョンの意気込みに俺達四人は声をあげて笑った
そうしてチェギョンの初めての妊婦生活は、そろそろ締めくくりを迎えようとしていた
(画像は薔薇の奥様ことkakoさんからお借りしております。お持ち帰りはご遠慮ください。)
もうさ~こんなどんよりしたお天気でしょ?
ふぅちゃんと手を繋いでいたら
途中寝落ちしてました。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
すっ・・・すまぬ
鍵かけておりました(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
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