(チェギョンside)
まったく・・・私のどこに興味を持ったのか≪恋をしたい≫だなんてのたまう皇太子・・・
あまり無碍に断る事もできず、また芝居を観に来るとの言葉を拒めなかった
まぁ・・・私にしてみれば≪極上の男≫を間近で観察するチャンスだ
そう思えば気が楽・・・だって恋の行く末になにがあると言うの?
いくら劇団で地位や名声を手に入れていたとしても、皇太子との恋の果てになにが待っているかなんて
私にはすぐに想像が付いた
前代未聞のスキャンダルと・・・そして女優生命を断たれ何も残っていない私
そんなの・・・そんなのあんまりだわ
私はそんなリスクを背負うほど愚かじゃない
だからいくら極上の男を前にしても、そんな誘いには乗らない
それほど馬鹿じゃないし、ただ情熱だけで突っ走れるほど若くもない
そう心に決めていた筈なのに・・・
翌週彼から電話が入った
『チェギョン・・・明日芝居を観に行くから・・・』
『お願いですからVIPルームにしてください。』
『解っている。そうするつもりだ。公演が終わったらこの間の場所に来てくれ。』
えっ・・・と思ったけど、恐らく私に興味を持つのもそんなに長く続かないだろうと思い快諾した
『解りました。では劇場の向かいのホテルの喫茶室で・・・』
『あぁ。頼むから普通の姿で来てくれ。』
『はぁ~~~~い。』
彼が男色じゃなくて本当に良かったと思いながら、私は明日の準備を始めた
そして翌日劇場入りをすると、私の目の前に泣き腫らした眼のヒスンが現れた
『どうしたの?ヒスン・・・これから舞台なのよ。その眼・・・』
『チェギョン先輩~~~!!』
ヒスンは私の胸に飛び込んで泣き始めた
『チェギョン先輩・・・私・・・降板だって・・・』
『えっ?降板?・・・』
その後の言葉は聞かなくても容易に想像がつく・・・つまり娘役のトップが更に後輩に交代するのだ
一度トップを張った女優が脇役に回るなんてあまりないこと
大概はいたたまれず退団を余儀なくされる
私と同期で以前私の相手役だったスニョンがそうだったように・・・
『先輩・・・私まだ二つの舞台しか主役張ってない・・・』
『うん、そうだよね・・・』
慰める言葉もない・・・下手な慰めなど言ったら更にヒスンを傷つけてしまう
『とにかく開演時間が迫っているわ。その眼・・・なんとかしないとね。』
こんな時でもプロに徹しなければならないのは非常に酷だ
そして相手役の後輩の降板を聞かされた私も、その日の公演はいつも通りの演技が出来なかったように思う
プロである前に人間だもの、精神的に揺れる事もある
だけどそれを観客に悟られないように演じるのが私たちプロだ
なんとか必死にいつも通りの役を演じ切った・・・自分ではそう思っていた
その日の公演が終わった後、私は彼と約束した場所に赴いた
VIPルームに入っていくと挨拶もそこそこに彼は私に問い掛けた
『チェギョン・・・今日、何かあったのか?』
『えっ?・・・』
彼が私の舞台を観るのはまだ三回目の筈だ
そんなビギナーの彼に悟られるなんて・・・プロ失格だ
『なにか・・・いつもと違っていましたか?』
『あぁ。今までと比べて生彩を欠くと言うか・・・どこか芝居に身が入っていない様に見受けられたが?』
あぁ・・・見抜かれている。こんなことではいつ、私の男役降板の知らせが来るか解らない
私は表情を曇らせ力なく椅子に腰掛けた
『プロ失格ですね・・・』
『いや、そこまで思い詰める必要はない。だが何かあったのだろう?話してみたらいい。
少しは気が晴れるかもしれない。』
弱気になっていたのかもしれない。私はつい今日起こったショッキングな相手役の降板を口にした
『実は今回の舞台が終わったら、私の相手役が降板することになったんです。』
『君の相手役?あぁ・・・この間一緒に食事した女性か?』
『はい。』
『だがそれは君のことではない。君が落ち込むことではないだろう?』
『はぁ・・・この世界、明日は我が身なんです。明日降板を言い渡されるのは私かも・・・』
『そんなことはないだろう?君は今日だって十二分に人を惹きつける男役だった。もっと胸を張ったらいい。』
彼からこんな言葉が出るなんて意外だった
私はまじまじと彼の瞳を覗きこんだ
決して嘘をついている目ではなかった
『くすくす・・・ありがとうございます。励ましてくださったお礼に、これを差し上げます。』
私は持参してきたパンフレットをテーブルの上に置いた
彼はこんな物を買える時間もないだろうと思って・・・
『なんだ?これは・・・』
『今公演している舞台のパンフレットです。』
彼はそれを開き目を輝かせながらページをめくった
『君とガンヒョンさんが一番前のページに載っているな。さすがだ・・・』
『ええ看板男役ですから。くすくす・・・』
嬉しそうにパンフレットに見入る皇太子殿下
その彼に私はどうしても聞いてみたくなった
『皇太子殿下・・・ひとつお聞きしたいのですが・・・』
『あぁ、ひとつでもふたつでもなんでも聞いてくれ。』
『殿下の言うところの恋の果てに・・・私には何が待っているのですか?』
『そりゃあもちろん・・・』
彼は一瞬言葉を区切り・・・一呼吸置いてから私の目を真剣に見つめた
『婚姻だ。』
『こっ・・・こんいん・・・はぁ?それ・・・真剣に仰っています?』
『俺は最初から真剣だが?』
『婚姻とは・・・恐れ入りました。』
『そのつもりでいて欲しい。』
『えっ?』
ちょっと待ってよ。なんだかとんでもない方向に話が進んでいきそうな気配に、私は目眩さえ覚えた
今のところ地位も名声も手にしている私だけど、舞台女優と皇太子殿下が婚姻?
あり得ない・・・あり得ませんから・・・
そう思いながらも強引な彼にどんどん振り回されていく様な気がして、少し身振るいする私だった
(シンside)
彼女の舞台を観に行った後、彼女と待ち合わせをしお茶を飲んだ
今日の彼女はいつもの様な男っぷりがなく、何か物憂い表情をしていた
理由を問い詰めると彼女は相手役の降板を語った
やはり勝負の世界なのだな
彼女から問われ、俺が彼女に近づく最終目的について話した
婚姻・・・その言葉に相当面喰ったようだが、まぁそれも想定内だ
俺自身も彼女の男装姿にだけ胸がときめいていたのだったら、ここまで彼女を追い回さず諦めただろう
だが・・・違ったからな
俺の胸は女性のままのシン・チェギョンにも十分すぎるほど高鳴ったんだ
この機会を逃す筈はない
俺にとって恋愛結婚をする最初で最後のチャンスだ
以前から欲しいと思っていた公演のパンフレットを彼女から貰い、俺は嬉しさのあまり翌日の朝の挨拶の時に
三陛下にも見せることにした
案の定・・・皇帝陛下は表情を曇らせ俺を睨みつけた
『太子・・・男ではないか!その様な舞台を観に行っているからおかしな噂が立つのだ。』
ほらな・・・やはり男と思っている
『陛下、お言葉を返すようですが彼女は女性です。男役なのですよ。』
『男役?』
久し振りに見る舞台のパンフレットに、皇太后様と皇后様は目を輝かせた
『おぉ~なんと凛々しい男役なのだ。女性にさぞ人気があるだろうなぁ・・・』
『本当に・・・素敵な姿ですわ。皇太后様・・・私達も一度観劇に行きたいものですわね。
娘の頃を思い出しますわ。』
皇太后様と皇后様が盛り上がるのを皇帝陛下は咎めるように言う
『やめてくださいお二人共!そんな噂が出回ったらどうするのです?太子だけでも揉み消すのは大変ですぞ!』
そして皇帝陛下は挑戦的に俺に言った
『太子・・・この男の形をした者がそなたの想い人だと言うのか?』
『はい。その通りです。認めていただけますか?皇帝陛下。』
『くっ・・・このような者は王族会の娘の前では霞んでしまうだろう。
どうだ?太子・・・今度のパーティーにその娘を招いては・・・。
きっと自分の過ちに気が付く筈だ。』
パーティーに招け?それは願ってもないこと・・・
『解りました陛下。次回のパーティーにシン・チェギョンを招きましょう。その時逢っていただければ
彼女がどれほど素敵な女性か解っていただける筈です。』
勝算はあった
シン・チェギョンは王族の娘と並べても引けを取らないほどの女性だと・・・
なぜならソウル音楽学校は規律に厳しく・・・またマナーの授業もあるほどのお嬢様学校だ
ダンスだって舞台で踊っているほどだ
王族の娘になどに負ける筈はない
彼女のドレスアップした姿が見られると思うと、俺の胸の鼓動は今までにないほど早く鳴り響く
楽しみだ・・・彼女がこの宮殿にやって来る・・・俺のテリトリーに足を踏み入れるなんて・・・
より一層彼女が近づく気がして俺はその日が楽しみで仕方がなかった
(画像はご近所の薔薇屋敷の薔薇)
今日も聞いて下さいよぉ~~!!
昨日のお昼ごろから・・・アタクシ削った歯の神経が触って
もう七転八倒の苦しみでね~~
今日午前中・・・チクンして
神経抜いて来た(号泣)
痛覚神経なんか・・・いらにゃい~~~!!
でもそんなアタクシにマジカルキューティーが届いたんです。
明日画像見せますね。
暫く・・・痛くて鎮痛剤が離せそうにないっす・・・
頑張る!
今日も聞いて下さいよぉ~~!!
昨日のお昼ごろから・・・アタクシ削った歯の神経が触って
もう七転八倒の苦しみでね~~
今日午前中・・・チクンして
神経抜いて来た(号泣)
痛覚神経なんか・・・いらにゃい~~~!!
でもそんなアタクシにマジカルキューティーが届いたんです。
明日画像見せますね。
暫く・・・痛くて鎮痛剤が離せそうにないっす・・・
頑張る!