Quantcast
Channel: ~星の欠片~
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1451

Honey Bee 12

$
0
0
イメージ 1

皇帝陛下に反抗したシンは、一切の王族会令嬢との繋がりを持たないまま韓国芸術高校を卒業した

シンが春休みを迎えた頃・・・皇太后は皇后との打ち合わせ通り、お忍びでイギリスへと旅立って行った

公式の渡英ではなく一個人の旅行目的なので、お付きの者は数名のイギサと尚宮・・・

そして二名の女官だけだった

その渡英はもちろん皇帝陛下の耳には、≪遠方で花見を兼ねて療養してくる≫とだけ伝えられた

もとより多忙をきわめており、更には皇太子殿下のお妃問題に頭を悩ませている皇帝陛下には

実母の思惑を計り知るだけの心の余裕などなかったのである

皇太后は学生達が春休みを迎えた頃、イギリスの地を踏んでいた

まだ花見をするには早すぎる季節、皇太后パクは如何にも普通の老婦人と言ったいでたちで

チェギョンに付き添っている女性職員に電話を掛けたのである

『あんにょん・・・チョン女官か?それともハン女官か?』

突然掛かって来た如何にも自分たちの身分を知っている風な電話に、チョンは身構えた

『あの・・・大変失礼と存じますが、どちらさまでしょうか?』
『慈慶殿の…主と言えば分るかのぉ。おほほほほ・・・』
『慈慶殿・・・こっ皇太后様であられますか?』
『おほほほ・・・さようだ。突然驚かせてしまってすまないのぉ。』
『いえっとんでもございません!!あ!私はチョンでございます。』

宮に仕えている時分、もちろん皇太后の住まう慈慶殿にも伺ったことはある二人

だが、直々に電話をいただくことなど過去になかったチョンは、その声に気がつく筈もなかったのである

『イギリスでの長期任務、疲れてはおらぬか?』
『あ・・・はいっ。しっかり任務を遂行しております。』
『そうか。そなたも大変じゃのぉ。。。それで・・・面倒見ていると言うシン内官の娘は元気なのか?』
『はい。とても元気にしております。』
『今日は住まいに居るのかのぉ・・・』
『はい。おります。』
『では・・・30分後に、そこからさほど離れていないセントラルパークという公園に寄こして貰えぬかのぉ。』
『えっ・・・それは…』
『出来ぬと言うのか?私は一国の皇太后。皇帝の母なのだぞ!!』
『いえっ…あの、申し上げにくいのですが、本当に皇太后様という保証が…ございませんので。
お申しつけに応じることは出来かねます。』

やはりしっかり教育を受けた女官である。電話の声だけでその皇太后を名乗る人物の命令に従うことはしない

『そうか。なら私の尚宮が電話を替わったらそなたも信用するかのぉ・・・』

電話は皇太后付きの尚宮に一旦渡され、チョンを信用させ再び皇太后の元に戻った

『申し訳ございませんでした。大変失礼なことを申しました。』
『おほほほ・・・よいのだ。それでこそ宮廷に仕える女官というもの・・・では先程の件、承知して貰えるか?』
『あの…皇太后様がお待ちですとお伝えしたらよろしいのですか?』
『いや、その近所に買い物でも申しつけてくれればよい。私のことは一切触れぬようにな。』
『かしこまりました。』

電話でのそのようなやり取りの後、チェギョンはチョンからセントラルパークのすぐ先にあるパン屋に

買い物を言いつけられ出掛けて行った

『お買い物を言いつかるなんて珍しいなぁ。あぁ~~なんか久し振りに外の空気を吸った気がする。
気持ちいや~~♪』

チェギョンは公園の中を両手を上げ、ぐぐ~~と背伸びをしながら歩いて行った

『まだなんか寒いね。早く春にならないかな。あ~~お母さんの漬けたキムチが食べたぁ~い!・・・あれっ?』

公園の中・・・チェギョンより数歩先に、東洋人の老婦人が蹲っているのに気がついたチェギョンは、

その老婦人に慌てて駆け寄った

『おぉ・・・痛い。足を捻ってしまったわ。知人とは逸れるし・・・困ったのぉ・・・』

共に暮らすチョンとハン以外の母国語を久しぶりに聞いたチェギョンは、

思わずその老婦人の元に蹲ると話しかけた

『お婆ちゃんどうしたんですか?』
『おや?韓国の人かね?』
『はい!!そうです♪足・・・挫いちゃったんですか?』
『いやいやちょっと捻っただけなのだが、一緒に来た知人とはぐれてしまって・・・困っておったのだ。』
『そうだったんですか。じゃあ私がホテルまでお送りしましょう。どこのホテルですか?』

老婦人は200メートルほど先にあるホテルの名前を告げた

チェギョンはチョンが心配するといけないと思い、この事態を電話で報告しホテルに送ってから

買い物して帰る旨を伝えた

『さぁ・・・じゃあお婆ちゃん、私の手に捕まってください。ゆっくり歩きますからね♪』
『面倒かけてすまないのぉ・・・。』
『なんのなんの。母国の方ですから。』

チェギョンは老婦人の手を取り。体を支えるとゆっくり歩き始めた

『お嬢さんは・・・どうしてイギリスに来たのだ?』
『あ…はい、留学です。』
『何を勉強しているのだ?』
『う~~ん。まだ先のことが何も見えて来なくて、ひとまず絵画の勉強をしています。』
『そうなのか。留学期間はいつまでなのだ?』
『もう・・・帰れないかもしれません。』
『なぜだ?ご両親が待っているのだろう?』
『はい。いつか逢いに来てくれると言ってくれました。私からは・・・帰れないんです。』

遠い目をして話すチェギョンの表情はどこか寂しげだった

老婦人は公園を出てすぐ先にカフェを指差し、チェギョンに笑いかけた

『喉が・・・乾いてしまった。何かご馳走しようかの。』
『解りました。行きましょうお婆ちゃん♪』

店内に入ったまではいいが、セルフサービス形式の店などに入ったこともない老婦人は驚いて立ち尽くした

『お婆ちゃんは何にしますか?』
『あぁロイヤルミルクティ-を。』
『解りました。そこに座って待っていてください。すぐにお持ちしますね♪』

チェギョンはカウンターに並びロイヤルミルクティーを載せたトレーを持って、老婦人の元に戻った

そして外に設置されたテーブルに二人向かい合い腰掛けた

『お嬢さん、お代を支払わないとな。』
『いいですよ~~お婆ちゃん。私がご馳走します♪』
『そうか?すまないのぉ・・・』
『お婆ちゃんはどうしてロンドンに来られたんですか?ご旅行ですか?』
『それがのぉ・・・聞いてくれるか?私の大事な孫が、好きな女の子との交際を親に反対されてのぉ。
女の子はロンドンに留学したそうなんじゃ。それで・・・その女の子に逢ってみたくてな。』
『そうだったんですか。。。それで!!その女の子には逢えましたか?』
『おぉ~逢えたとも。』
『どんな子でしたか?』
『笑顔が可愛くて・・・優しくてとってもいい子じゃ。』
『そうですか。ご両親の反対が無くなるといいですね。韓国は親の言うことは絶対だから・・・』
『私が・・・力になろうかと思って居る。』
『そうですか~~お婆ちゃんの力添えがあったら、上手くいくかもしれませんね。
私も・・・・』

何か言い掛けてチェギョンは口を噤み、カップに残ったロイヤルミルクティーを慌てて飲み干した

恐らく≪私にもそんなお婆ちゃんが居たらよかった。≫そう言いたかったのかもしれないが、

まさかそんなことは口に出して言えないチェギョンである

それから老婦人とチェギョンは韓国の郷土料理の話に花を咲かせ、無事そのホテルに老婦人を

送り届けたのであった

老婦人がロビーに入っていくと年配の女性がすぐに老婦人に駆け寄った

『このお嬢さんに送って貰ったのだ。』
『それは大変お世話になりました。』

連れの女性から深々と頭を下げられ。チェギョンはくすぐったい様な気持ちになりながら老婦人に

別れの挨拶を告げた

『じゃあお婆ちゃんお元気で♪お孫さんの力になってやってくださいね♪』
『おぉ・・・もちろんそうしよう。ありがとう・・・』

チェギョンが去って行った後ろ姿を見送りながら、皇太后パクはお付きの尚宮に話しかけた

『のぉ・・・今のお嬢さんがシン内官の娘だ。とっても素直でいい子だ。』
『さようでございますね。明るくてとてもよいお嬢さんです。』
『年寄りでも・・・最後に一つくらいは、大きな事がしてみたいのぉ。』
『皇太后陛下でしたら、きっとお出来になられます。』

満面の笑みを浮かべた皇太后と尚宮は、イギサに警護され最上階の特別室に入っていくのだった


そして同じ頃、チャン・ギョンの車に乗ったイ・ガンヒョンは、遠方の皇室療養地に向かっていたのであった


≪使用しているラインは海外サイトからお借りしております。お持ち帰りはご遠慮ください。≫

イメージ 2

ーーー本日、第二王子が文化祭の代休で~~語り合っていたらこんな時間になっちゃったーーー
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!

しかもシン君出て来ないし
すまん!!




Viewing all articles
Browse latest Browse all 1451

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>