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Channel: ~星の欠片~
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孤独な皇子に愛の手を 10

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毎日学校とアルバイト三昧のチェギョンは、金曜日ともなると相当お疲れの様子だ

本日はアルバイトのない日だ・・・だが、ハン・チョルスとの約束の日でもある

『もぉ~~眠いなぁ・・・』

一人ぼやきながら昼休みに宿題を片付けていると、久し振りにスマホが鳴り響いた

相手は何を隠そうこの国の皇太子殿下イ・シン・・・その人である

(もぉ~~シン君・・・忙しいのに呼び出しなんて~~!!)

チェギョンは数学のワークを手に持ったまま、映像科の棟に向かった

もちろんイギサがその棟を警護しているのだが、チェギョンが尋問を受ける事は無い

なぜならイギサ達は、毎晩アルバイトから帰るシン・チェギョンを見守る役目を務めているのだ

不審者として尋問するどころか、どこか親近感を感じる相手だったのである

シンが待っている皇太子ルームに出向き、チェギョンはノックをするといきなりその扉を開けた

<トントン>
『なあにシン君・・・』
『まぁ座れ。』
『うん。』
『チェギョン・・・お前、手に持っているのはなんだ?』
『あ・・・数学のワーク持って来ちゃった。あ!!ちょうどいいや~~シン君特進科だから
この問題解るでしょう?教えてくれない?』
『あ?あぁ。まぁ・・・構わないが・・・』

シンはチェギョンから受け取ったワークを自分の手元に引き寄せた

『どこがわからないんだ?』
『ここ・・・この問3だよ。』
『っつ・・・なんでこんな簡単な問題がわからない?ここにXを代入して数式を当てはめれば簡単だろう?』
『えっ?ここにXを代入?やってみる・・・。え~~わかんない・・・』
『だから~~この数式を使ってこれを移行したら・・・ほら・・・こうなるだろう?』
『ん?・・・・・あ!本当だ♪じゃあ・・・これもお願い♪』

折角チェギョンと過ごせる昼休み・・・なぜか家庭教師を引き受けているシンがいた

『ほら・・・これで解けるだろう?全くちゃんと授業を聞いているのか?』
『もぉ~~っ・・・特進科と普通クラスは授業内容が違うんだからね。
少しくらい出来が悪くたって試験さえクリアすれば、同系大学に進めるんだから~~!!
まっ・・・私には関係ないけどね。』
『関係ない・・・とは?』
『進学しないからだよ。』
『あぁ?なぜ進学しないんだ?』
『私の状況知っているでしょう?進学できると思う?』
『あぁ?・・・つまり進学せずに働いて親の借金を返すと言うのか?』
『もちろん!まぁ・・・返し終わる頃にはおばあちゃんかもね。』
『お前・・・それでいいのか?』
『いいも悪いもないよ。仕方ないし・・・』
『どうにかしようとは思わないのか?』
『ハン・チョルスさんと結婚しろって言うの?』
『そうじゃなくて!!』
『あのね・・・人生そんなに甘くないの。』

少し不機嫌になってしまったチェギョンは、膝の上に数学のワークを置くとシンを睨みつけた

シンはチェギョンが今日も笑顔を見せないどころか、眉間に皺を寄せている事が悲しくて仕方がない

思えばあの日無人駅で逢った時のチェギョンと、今のチェギョンは随分人相が違う様な気がした

(きっと疲れているのだろう・・・)

そう思ったシンはアルバイトが休みの今日・・・チェギョンと一緒に過ごせたらいいと思っていた

ハン・チョルスの件はすっかり頭から消えていたのである

『チェギョン・・・今日はバイトは休みだろう?放課後・・・』

シンが何か提案しようとした時、それをチェギョンが遮った

『シン君・・・私に休みは無いって言ったじゃない。今日はハン・チョルスさんと逢うの!』
『あ・・・ハン・チョルス・・・。どうしても行かなければダメなのか?』
『うん。約束は約束でしょう?』
『・・・あぁ・・・だが、相手は大学生だ。お前と話していて楽しいとは・・・』
『うん。私もそう思うよ。そのうちきっと逢いたいって言わなくなるでしょう。それに期待してる。』
『・・・・・・』

負い目があるからと他の男に逢いに行くチェギョンを、止める資格すら持っていないシン

そのような事を言える筈もなく、また自分自身にも王族会の令嬢との話を毎日催促されている

(八方塞がりだ・・・)

チェギョンが去っていく後ろ姿をシンは溜息を吐き見送った



その日・・・学校から出ていった公用車の前に、ハン・チョルスの乗る車が停まっていた

シンは思わず運転しているイギサに声を掛けた

『あの前の車を追ってくれ。』
『承知いたしました殿下。』

やがてハン・チョルスは学校から自転車に乗って出てきたチェギョンを見つけ、話しこんでいるようである

『ハン・チョルスさんこんにちは。』
『こんにちはチェギョンさん、今日の約束覚えていますよね?』
『はいもちろんです。でも・・・すみません。一旦家に帰って着替えて来てもいいですか?』
『構いませんよ。』

チェギョンが自転車で颯爽と走りだした後を、ハン・チョルスはチェギョンの家へと先回りして待つつもりらしい

ハン・チョルスの車はチェギョンの横を通り過ぎチェギョンの家に向かっていった

イギサは今にもハン・チョルスの車を追おうとしている・・・その様子にコン内官は重い口を開いた

『殿下・・・一台の車に追わせますから、殿下は東宮にお戻りください。』
『だが・・・』
『ハン家の子息は決して礼儀知らずな人間ではありません。ご心配なさるような事は無いでしょう。
ですのでどうかお戻りください。陛下に怪しまれますから・・・』
『・・・解った・・・』

自由のない身・・・その行動を自重しなければならない立場

そんな自分の環境を受け入れ難く思いながら、走り去るチェギョンの後姿を目で追いかけるシンだった




『ハン・チョルスさん、今日は本当にご馳走さまでした。』

いくら私服に着替えたからと言って、大学生であり王族のハン・チョルスと高級レストランに入るのは

非常に気が引けたチェギョンだった

テーブルを覆い尽くす料理も(我が家の三日分の夕食だ・・・)そんな感想しか持てなかった

きっと美味しい料理なのだろうが、やはり無理をして時間を作っている感じが自分の中に大きくて

料理を味わいハン・チョルスとの会話を楽しむ余裕など、チェギョンにはとてもなかったのである

テーブルを立とうとした時に・・・ハン・チョルスは一枚の封筒をチェギョンに差し出した

『ん?なんですか?』
『今日のアルバイト代です。』
『えっ?それはいただけません。』
『いえ、チェギョンさんの貴重な時間を僕が独占しているわけですから、これは受け取ってください。』
『でも・・・これを受け取ったら時間をお金で売っている人間になってしまいます。
ハン・チョルスさんは私と一緒に過ごす時間が欲しいと言いましたよね?
お金で買った時間では意味がないんじゃないんですか?
お友達・・・そう言う事にしてください。だからこれは受け取れません。』
『チェギョンさん・・・』

ハン・チョルスはチェギョンをじっと見つめた後、納得したように頷きそれをポケットにしまった

『ありがとう。失礼な事をしてしまいました。また来週も逢って欲しいのでこれは引っ込めます。』
『そうしてください。』

家まで送って貰ったチェギョンはハン・チョルスを見送り、それから大きく溜息を吐くと家の門をくぐった

チェギョンが家に戻った事を確認し、一台の車に乗った四人のイギサはシンに報告する為に東宮に向かって

車を走らせるのだった

イメージ 1

まさに嫉妬皇子も成す術もない感じですな
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
もうちょっとしたら展開させますので
しばしお待ちを❤

あ・・・ユル君は
今後出て参ります。





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