『ユル・・・たまには東宮に寄って行かないか?』
王族との親睦パーティーが終わった後、シンはユルにそう提案してみる
そうでもしないとすぐにでも皇帝陛下からの呼び出しが掛かり、≪どの娘が気に入ったのか≫など
うるさく問いかけられるのは目に見えていた
『あ・・・いいね~~♪じゃあお茶をご馳走になりに行こうかな。』
迎賓館を出るとユルと一緒に歩き出すシン
『シン・・・大方陛下からの呼び出しが怖かったんでしょう?』
『まあな。』
『その顔では気に入った娘はいなかったみたいだね。』
『ふっ・・・いる筈ないだろう?』
『あ~~だけどなぜチェギョンにダンスを申し込んだの?僕が踊ろうと思っていたのに
先を越されちゃったな。まぁ・・・チェギョンは平民みたいだし、シンには無理か~♪ははは・・・
言っておくけどチェギョンに興味を持ってもダメだよ。僕が先に目を付けたんだからね。』
『出逢いにあと先があるなら、俺の方が先だ。』
『えっ?どういう意味?』
『高校に入る前に出逢っている。』
『えっ?一体どうして・・・』
『ちょっとわけありでな・・・』
『まぁ何れにしてもチェギョンも何かわけありみたいだし、興味持たない方がいいんじゃないの?』
『それを言うならお前も一緒だろう?』
『僕?僕はシンとは違うさ。』
『何が違うんだ?皇位継承者である事に違いはない。』
『それはそうだけど・・・なんたって僕は住まいが宮殿じゃないからね~。
シンみたいにぞろぞろ護衛もつかないしね。』
『っつ・・・』
『なんだか不機嫌そうだなぁ。』
『あぁ気に入らない。あのハン・チョルスって男もお前も・・・』
『えっ?それってひょっとして嫉妬してる?』
『嫉妬・・・だと?』
『うん。僕にはそう見えるけど?』
『違う。何よりも気に入らないのはシン・チェギョンだ!』
チェギョンと再会できて嬉しい気持ちは大きいのだが、何よりも以前と態度が違う事が気に入らない
そしてあの無人駅で見せた様な笑顔が見られなかった事が気に入らない
出来る事ならこんな場所での再会を果たしたくなかったと、今更に思うシンだった
その日の夜・・・皇太后から調査依頼を受けたコン内官は、早速調査書を持参し慈慶殿へと出向いた
『皇太后様・・・東宮のコンでございます。』
『入るがよい。』
その重厚な扉を開けたコン内官は、皇太后の元に行きその調査書を手渡した
『あのお嬢さんはシン・チェギョンさんと仰います。皇太子殿下やユル殿下と同じ年の15歳です。
家族は父シン・ナムギル、母イ・スンレ、弟シン・チェジュンの四人家族です。
本日ハン家の子息に同伴したのは、どうやら父親が連帯保証人になり多額の借金を背負ってしまい
それを聞きつけた王族のハン氏がその借金の肩代わりを条件に、シン・チェギョンさんとの縁組を
望んだそうです。』
『ほぉ・・・この書類を見る限り王族に迎えても、なんの得もなさそうな家柄のお嬢さんだが?』
『そこが問題なのです。実はこのシン・チェギョンさんは先帝の御友人であったシン・ジェイン氏の
お孫さんに当たる人物なのです。』
『ほぉ・・・あのシン・ジェインさんの孫とな?』
『はい。私も調べてみて驚きました。こんな御縁があるとは・・・』
『そうか!昔宮殿に連れて来たあの幼い女の子が、あの娘さんなのか。』
『はい。間違いありません。恐らく御本人は覚えていらっしゃらないでしょうが・・・』
『だろうなぁ。なるほどそれで納得した。先帝の血を引くシンとユルがあのお嬢さんに惹かれる理由がな。』
『そうなのかもしれません。』
『シンは・・・王族の娘に興味を見せたようだったか?』
『いえそれが・・・最後まで親しくお話されたお嬢さんはシン・チェギョンさんお一人でした。』
『そうか・・・どうしたものかのぉ・・・』
既に始まっているお妃選び。皇太后の目にもコン内官の目にも、皇太子殿下イ・シンの目が向いているのは
平民であるシン・チェギョンただ一人だけと気が付いていたのである
その日家に帰ったチェギョンは、両親に宣言した
『お父さんお母さんただいま。』
『まぁ~チェギョン、お姫様みたいなドレス。』
『なんて愛らしいのだろう・・・チェギョン~~♪』
『それどころじゃなかったわよ。いきなり連れて行かれたのが宮殿でさ・・・』
『『えっ・・・』』
『もう面喰っちゃった。』
『だろうな。』
『あ・・・それでねお父さん、借金の件は私が大人になるまで待ってくれるって言うから安心して。
私が大人になって働いて返すって約束したから・・・』
『お前が返す?』『チェギョンあなた・・・一体いくらだと思っているの?』
『そんなに多いの?』
『ああ。この家を三軒売っても足りないくらい・・・』
『そんなの・・・一生働いても返せっこないじゃない!!どうしたらいいのよ~~!!』
『すまないチェギョン。』
『一攫千金狙って宝くじでも買っちゃう?』
『そんな余計なお金もないのよ・・・』
『はぁ~~~っ・・・』
折角ハン・チョルスとの縁談の件は断れたと思っていたのに、まさに振り出しに戻ってしまったチェギョンである
だが・・・ひとまず学生の間は時間を稼げる
なんとかしてこの一件の打開策を考えなければ・・・齢15歳にして大きな重しがチェギョンの肩に
のしかかっていた
なのに・・・そんなチェギョンには大きな問題が振りかかって来るのだ
翌日学校に登校して行くと、早速昨日の件をユルから問い詰められた
『チェギョンおはよう。』
『あ・・・ユル君おはよう。』
『昨日は・・・どうも♪』
『うん・・・・』
『ねえハン・チョルスさんとの縁談・・・どうなるの?』
『あ・・それね、大人になるまで待って貰ったの。』
まさか借金の形に縁談を迫られているなどとても言えないチェギョンである
『そうなんだ~良かった。ねえ・・・今日さ、この近くに美味しいケーキを食べさせてくれる店があるんだけど
放課後行かない?』
『行かない!』
『え・・・どうして?ハン・チョルスさんの件はいいんでしょう?』
『うん。でも私・・・これからバイトがあるから・・・(少しでも早くから返済計画に着手しなくっちゃ・・・)』
『そうなの?じゃあさ・・・今度お休みの時に行こうよ。』
『うん。休める時があったらね・・・』
なんだかすっかり所帯じみた考え方のチェギョンではあるが、その借金問題が解決しない事には自分の身の
自由は無いのだ
(頑張ろう・・・)
そう自分に言い聞かせる
だが・・・そんなチェギョンに昼休みにまたもや違う問題が振りかかって来る
突然教室の扉が開き、一人の男が入って来たのである
『シン・チェギョン~~シン・チェギョンはいる~~?』
なんとも派手なパフォーマンスで入ってきた眼鏡の男。チェギョンは慌ててその男の元へ走り寄った
『私がシン・チェギョンだけど・・・どなた?』
『俺?俺は映像科のチャン・ギョン♪君を運んで来いってさ~~♪』
『だっ・・・誰が?』
『皇太子。』
『えっ・・・』
『だから~早く一緒に来てくれない?皇太子が待ってるからさ~♪』
(お願い。皇太子って連呼しないで!!)
無視しないという約束がこんな事態を招くとは思っていなかったチェギョンである
皇太子殿下とは通う棟も違うから逢う事も滅多にないと思っていたのだ
『ねえ~早くして!皇太子が・・・』
『解った!!行くから黙ってて!!』
渋々ギョンについて行くチェギョン。そんなチェギョンの背中にクラスメートの視線はちくちくと刺さった
誘導されついて行った映像科の棟・・・ギョンはその棟の一番上の階にある一つの部屋の前で止った
『ここだよ入って。』
『えっ?』
『皇太子が中待っているからさ~~♪』
それだけ言うと去っていったギョン。チェギョンは溜息をもらしながらその扉をノックした
王族との親睦パーティーが終わった後、シンはユルにそう提案してみる
そうでもしないとすぐにでも皇帝陛下からの呼び出しが掛かり、≪どの娘が気に入ったのか≫など
うるさく問いかけられるのは目に見えていた
『あ・・・いいね~~♪じゃあお茶をご馳走になりに行こうかな。』
迎賓館を出るとユルと一緒に歩き出すシン
『シン・・・大方陛下からの呼び出しが怖かったんでしょう?』
『まあな。』
『その顔では気に入った娘はいなかったみたいだね。』
『ふっ・・・いる筈ないだろう?』
『あ~~だけどなぜチェギョンにダンスを申し込んだの?僕が踊ろうと思っていたのに
先を越されちゃったな。まぁ・・・チェギョンは平民みたいだし、シンには無理か~♪ははは・・・
言っておくけどチェギョンに興味を持ってもダメだよ。僕が先に目を付けたんだからね。』
『出逢いにあと先があるなら、俺の方が先だ。』
『えっ?どういう意味?』
『高校に入る前に出逢っている。』
『えっ?一体どうして・・・』
『ちょっとわけありでな・・・』
『まぁ何れにしてもチェギョンも何かわけありみたいだし、興味持たない方がいいんじゃないの?』
『それを言うならお前も一緒だろう?』
『僕?僕はシンとは違うさ。』
『何が違うんだ?皇位継承者である事に違いはない。』
『それはそうだけど・・・なんたって僕は住まいが宮殿じゃないからね~。
シンみたいにぞろぞろ護衛もつかないしね。』
『っつ・・・』
『なんだか不機嫌そうだなぁ。』
『あぁ気に入らない。あのハン・チョルスって男もお前も・・・』
『えっ?それってひょっとして嫉妬してる?』
『嫉妬・・・だと?』
『うん。僕にはそう見えるけど?』
『違う。何よりも気に入らないのはシン・チェギョンだ!』
チェギョンと再会できて嬉しい気持ちは大きいのだが、何よりも以前と態度が違う事が気に入らない
そしてあの無人駅で見せた様な笑顔が見られなかった事が気に入らない
出来る事ならこんな場所での再会を果たしたくなかったと、今更に思うシンだった
その日の夜・・・皇太后から調査依頼を受けたコン内官は、早速調査書を持参し慈慶殿へと出向いた
『皇太后様・・・東宮のコンでございます。』
『入るがよい。』
その重厚な扉を開けたコン内官は、皇太后の元に行きその調査書を手渡した
『あのお嬢さんはシン・チェギョンさんと仰います。皇太子殿下やユル殿下と同じ年の15歳です。
家族は父シン・ナムギル、母イ・スンレ、弟シン・チェジュンの四人家族です。
本日ハン家の子息に同伴したのは、どうやら父親が連帯保証人になり多額の借金を背負ってしまい
それを聞きつけた王族のハン氏がその借金の肩代わりを条件に、シン・チェギョンさんとの縁組を
望んだそうです。』
『ほぉ・・・この書類を見る限り王族に迎えても、なんの得もなさそうな家柄のお嬢さんだが?』
『そこが問題なのです。実はこのシン・チェギョンさんは先帝の御友人であったシン・ジェイン氏の
お孫さんに当たる人物なのです。』
『ほぉ・・・あのシン・ジェインさんの孫とな?』
『はい。私も調べてみて驚きました。こんな御縁があるとは・・・』
『そうか!昔宮殿に連れて来たあの幼い女の子が、あの娘さんなのか。』
『はい。間違いありません。恐らく御本人は覚えていらっしゃらないでしょうが・・・』
『だろうなぁ。なるほどそれで納得した。先帝の血を引くシンとユルがあのお嬢さんに惹かれる理由がな。』
『そうなのかもしれません。』
『シンは・・・王族の娘に興味を見せたようだったか?』
『いえそれが・・・最後まで親しくお話されたお嬢さんはシン・チェギョンさんお一人でした。』
『そうか・・・どうしたものかのぉ・・・』
既に始まっているお妃選び。皇太后の目にもコン内官の目にも、皇太子殿下イ・シンの目が向いているのは
平民であるシン・チェギョンただ一人だけと気が付いていたのである
その日家に帰ったチェギョンは、両親に宣言した
『お父さんお母さんただいま。』
『まぁ~チェギョン、お姫様みたいなドレス。』
『なんて愛らしいのだろう・・・チェギョン~~♪』
『それどころじゃなかったわよ。いきなり連れて行かれたのが宮殿でさ・・・』
『『えっ・・・』』
『もう面喰っちゃった。』
『だろうな。』
『あ・・・それでねお父さん、借金の件は私が大人になるまで待ってくれるって言うから安心して。
私が大人になって働いて返すって約束したから・・・』
『お前が返す?』『チェギョンあなた・・・一体いくらだと思っているの?』
『そんなに多いの?』
『ああ。この家を三軒売っても足りないくらい・・・』
『そんなの・・・一生働いても返せっこないじゃない!!どうしたらいいのよ~~!!』
『すまないチェギョン。』
『一攫千金狙って宝くじでも買っちゃう?』
『そんな余計なお金もないのよ・・・』
『はぁ~~~っ・・・』
折角ハン・チョルスとの縁談の件は断れたと思っていたのに、まさに振り出しに戻ってしまったチェギョンである
だが・・・ひとまず学生の間は時間を稼げる
なんとかしてこの一件の打開策を考えなければ・・・齢15歳にして大きな重しがチェギョンの肩に
のしかかっていた
なのに・・・そんなチェギョンには大きな問題が振りかかって来るのだ
翌日学校に登校して行くと、早速昨日の件をユルから問い詰められた
『チェギョンおはよう。』
『あ・・・ユル君おはよう。』
『昨日は・・・どうも♪』
『うん・・・・』
『ねえハン・チョルスさんとの縁談・・・どうなるの?』
『あ・・それね、大人になるまで待って貰ったの。』
まさか借金の形に縁談を迫られているなどとても言えないチェギョンである
『そうなんだ~良かった。ねえ・・・今日さ、この近くに美味しいケーキを食べさせてくれる店があるんだけど
放課後行かない?』
『行かない!』
『え・・・どうして?ハン・チョルスさんの件はいいんでしょう?』
『うん。でも私・・・これからバイトがあるから・・・(少しでも早くから返済計画に着手しなくっちゃ・・・)』
『そうなの?じゃあさ・・・今度お休みの時に行こうよ。』
『うん。休める時があったらね・・・』
なんだかすっかり所帯じみた考え方のチェギョンではあるが、その借金問題が解決しない事には自分の身の
自由は無いのだ
(頑張ろう・・・)
そう自分に言い聞かせる
だが・・・そんなチェギョンに昼休みにまたもや違う問題が振りかかって来る
突然教室の扉が開き、一人の男が入って来たのである
『シン・チェギョン~~シン・チェギョンはいる~~?』
なんとも派手なパフォーマンスで入ってきた眼鏡の男。チェギョンは慌ててその男の元へ走り寄った
『私がシン・チェギョンだけど・・・どなた?』
『俺?俺は映像科のチャン・ギョン♪君を運んで来いってさ~~♪』
『だっ・・・誰が?』
『皇太子。』
『えっ・・・』
『だから~早く一緒に来てくれない?皇太子が待ってるからさ~♪』
(お願い。皇太子って連呼しないで!!)
無視しないという約束がこんな事態を招くとは思っていなかったチェギョンである
皇太子殿下とは通う棟も違うから逢う事も滅多にないと思っていたのだ
『ねえ~早くして!皇太子が・・・』
『解った!!行くから黙ってて!!』
渋々ギョンについて行くチェギョン。そんなチェギョンの背中にクラスメートの視線はちくちくと刺さった
誘導されついて行った映像科の棟・・・ギョンはその棟の一番上の階にある一つの部屋の前で止った
『ここだよ入って。』
『えっ?』
『皇太子が中待っているからさ~~♪』
それだけ言うと去っていったギョン。チェギョンは溜息をもらしながらその扉をノックした
いきなりかかったお呼び出し
さてシン君は何を話すのでしょう♪
さてシン君は何を話すのでしょう♪