私が結婚すると同時に父は≪来夢生花店≫の代表者の名前を変え、実質上シン・チェギョンが
この店のオーナーとなった
つまり≪来人生花店≫とは別の独立採算制の店舗となったわけだ
お蔭で店舗の経営管理なども私の仕事となり、私は益々忙しくなってしまった
オーナーだから手にする収入がアップしたかと言うと、これが雇われていた時の方が小金持ちだったりして・・・
まぁでも・・・仕入先も今まで通り、困った時には≪来人生花店≫から助っ人がやって来る
父にしてみれば自分達が始めた一号店を、私の結婚祝いにくれた様なものだ
また、イ家では温室の管理を一切任され・・・随分品種なども増やして自由に楽しんでいる
家族の皆さんも大変よくしてくれ、幸せな新婚生活をエンジョイしていると言ったところだろう
オッパとの夫婦仲も順調だ。お付き合いしている時よりもオッパはさらに優しくなった
言う事なしの旦那様だ
私達が結婚して数カ月後・・・ユル先生がフラワーショップを開いたと言う話をオッパから聞かされた
私の休みの日にオッパと一緒にその店舗の前を通ってみた
≪来夢生花店≫よりも少しばかり大きな店舗で、ユル先生は生き生きとお仕事されていた
それに・・・一緒に働くソ・ファヨンさんの姿もあった
店舗のディスプレイに飾られたアレンジメントフラワーは、以前のユル先生の作品とは違っていた
私が見ても目を惹きつけられるほどの素敵な作品だった
『何か憑き物が落ちたみたいだな・・・』
オッパはそんな風に言っていたけど、もしかしてこれが本当の実力なんじゃないかと私は思った
ユル先生もソ・ファヨンさんも、自分の中にあった欲を払拭し未来に向かって歩き出したことがとても嬉しい
オッパと出逢った日から一年が過ぎた
また寒い季節の到来だ。温かな温室の中に入り、私は手入れをしながら薔薇達に話しかけた
『ん~~今日もとってもいい香り♪おぉ!新芽ちゃんが出てまちゅね~♪』
なぜか気が付くと赤ちゃん言葉になっている私・・・その時・・・なんの前触れもなくその大好きな薔薇の香りに
言い様のない吐き気を感じ、私は思わず口元を両手で押さえた
『うっ・・・うぐっ・・・』
慌てて温室から出て行った私・・・その私を迎えた心配そうなオッパと、含み笑いをするお義母様
結局病院で診察して貰う事になり、その結果私は妊娠している事を医師から告げられた
えっ?どうしよう・・・
私の脳裏を過ったのはまずその言葉だった。嬉しくない筈はない・・・ただ温室のお世話が大変になる
更には職場だって花の香りに溢れている
花屋にとって致命的な悪阻の症状だ。私はこれからどうしたらいいのかと途方に暮れた・・・
挙式から四カ月経った頃・・・なんとチェギョンが妊娠した
俺は嬉しさのあまり母と一緒になりテンションを上げたが、チェギョンは実に複雑な表情を浮かべていた
チェギョンの様子からその理由はすぐに解った
つまり・・・花屋であると言うのに花の香りに反応してしまうのだ
花を誰よりも愛し慈しむチェギョンにとって、これは耐えがたい忍耐となった
俺にできる事はないか・・・俺は必死になって考え、チェギョンが毎日していた温室の世話を
引き受けることにした
だが・・・そんな状態を祖母が黙って見ている筈はない。つまり俺に温室を任せるのは心許ないらしい
再び祖母が温室の管理をするようになって数日・・・チェギョンは≪それでは息が出来ないんじゃないのか?≫と
心配になるほどマスクを何重にも装備し、温室に現れたのだった
『おやまぁ・・・チェギョンさん、すごい事になっておるな。ほほほほ・・・
悪阻が治まるまで温室は私が管理するから大丈夫だ。』
『いえ、おばあ様・・・これだけ頑丈になっていれば大丈夫です。今まで通りやらせてください。』
『そうか?じゃあ・・・体調の悪い時にはちゃんと言うのだよ。』
『はいっ♪』
妊娠発覚から数日後、チェギョンは温室に復帰した
口元は頑丈に覆われている為よくは解らないが、それでも嬉しそうに微笑んでいるのは
チェギョンの下がった目尻を見ればわかる
そしてそれは≪来夢生花店≫の勤務の時も同様だった。頑丈にマスクを使用しながら接客する
チェギョンにアレンジメントを頼みたいとやって来るお客様も少なくないのだ
悪阻の時期であると言うのに、チェギョンは実によく頑張った
しかし・・・花屋というのは実に店舗内が寒い
俺は妊娠初期のチェギョンを労わって、座り心地の良い椅子を持ちこんでみたり・・・レッグウォーマーを
脚に着けさせてみたりと・・・実に甲斐甲斐しくも口うるさい夫を続けた
単調な毎日を過ごしながら季節は移りゆく
そのうちに漸くチェギョンはその頑丈に装備されたマスクを外せる日がやって来る
少しふっくらとして来たお腹を誇らしげにしながら、今日も店内でチェギョンはお客様を待っている
大きな総合病院の向かいにある≪来夢生花店≫
もしそんな小さな花屋を見掛けたら、一度立ち寄って欲しい
お客様のニーズにあった花束を、俺の妻が作ってくれる
花と一緒に心を届けられるよう、真心をこめて一つ一つ丹念に薔薇の棘を取るオーナーのシン・チェギョンだ
そしてその場所が・・・この俺のどこに出しても恥ずかしくない愛する妻の、夢の城だ
花と一緒に・・・心も届けよう
愛する気持ちを感謝の想いを花束にして届けよう
あなたの御来店を心よりお待ちにしております・・・
この店のオーナーとなった
つまり≪来人生花店≫とは別の独立採算制の店舗となったわけだ
お蔭で店舗の経営管理なども私の仕事となり、私は益々忙しくなってしまった
オーナーだから手にする収入がアップしたかと言うと、これが雇われていた時の方が小金持ちだったりして・・・
まぁでも・・・仕入先も今まで通り、困った時には≪来人生花店≫から助っ人がやって来る
父にしてみれば自分達が始めた一号店を、私の結婚祝いにくれた様なものだ
また、イ家では温室の管理を一切任され・・・随分品種なども増やして自由に楽しんでいる
家族の皆さんも大変よくしてくれ、幸せな新婚生活をエンジョイしていると言ったところだろう
オッパとの夫婦仲も順調だ。お付き合いしている時よりもオッパはさらに優しくなった
言う事なしの旦那様だ
私達が結婚して数カ月後・・・ユル先生がフラワーショップを開いたと言う話をオッパから聞かされた
私の休みの日にオッパと一緒にその店舗の前を通ってみた
≪来夢生花店≫よりも少しばかり大きな店舗で、ユル先生は生き生きとお仕事されていた
それに・・・一緒に働くソ・ファヨンさんの姿もあった
店舗のディスプレイに飾られたアレンジメントフラワーは、以前のユル先生の作品とは違っていた
私が見ても目を惹きつけられるほどの素敵な作品だった
『何か憑き物が落ちたみたいだな・・・』
オッパはそんな風に言っていたけど、もしかしてこれが本当の実力なんじゃないかと私は思った
ユル先生もソ・ファヨンさんも、自分の中にあった欲を払拭し未来に向かって歩き出したことがとても嬉しい
オッパと出逢った日から一年が過ぎた
また寒い季節の到来だ。温かな温室の中に入り、私は手入れをしながら薔薇達に話しかけた
『ん~~今日もとってもいい香り♪おぉ!新芽ちゃんが出てまちゅね~♪』
なぜか気が付くと赤ちゃん言葉になっている私・・・その時・・・なんの前触れもなくその大好きな薔薇の香りに
言い様のない吐き気を感じ、私は思わず口元を両手で押さえた
『うっ・・・うぐっ・・・』
慌てて温室から出て行った私・・・その私を迎えた心配そうなオッパと、含み笑いをするお義母様
結局病院で診察して貰う事になり、その結果私は妊娠している事を医師から告げられた
えっ?どうしよう・・・
私の脳裏を過ったのはまずその言葉だった。嬉しくない筈はない・・・ただ温室のお世話が大変になる
更には職場だって花の香りに溢れている
花屋にとって致命的な悪阻の症状だ。私はこれからどうしたらいいのかと途方に暮れた・・・
挙式から四カ月経った頃・・・なんとチェギョンが妊娠した
俺は嬉しさのあまり母と一緒になりテンションを上げたが、チェギョンは実に複雑な表情を浮かべていた
チェギョンの様子からその理由はすぐに解った
つまり・・・花屋であると言うのに花の香りに反応してしまうのだ
花を誰よりも愛し慈しむチェギョンにとって、これは耐えがたい忍耐となった
俺にできる事はないか・・・俺は必死になって考え、チェギョンが毎日していた温室の世話を
引き受けることにした
だが・・・そんな状態を祖母が黙って見ている筈はない。つまり俺に温室を任せるのは心許ないらしい
再び祖母が温室の管理をするようになって数日・・・チェギョンは≪それでは息が出来ないんじゃないのか?≫と
心配になるほどマスクを何重にも装備し、温室に現れたのだった
『おやまぁ・・・チェギョンさん、すごい事になっておるな。ほほほほ・・・
悪阻が治まるまで温室は私が管理するから大丈夫だ。』
『いえ、おばあ様・・・これだけ頑丈になっていれば大丈夫です。今まで通りやらせてください。』
『そうか?じゃあ・・・体調の悪い時にはちゃんと言うのだよ。』
『はいっ♪』
妊娠発覚から数日後、チェギョンは温室に復帰した
口元は頑丈に覆われている為よくは解らないが、それでも嬉しそうに微笑んでいるのは
チェギョンの下がった目尻を見ればわかる
そしてそれは≪来夢生花店≫の勤務の時も同様だった。頑丈にマスクを使用しながら接客する
チェギョンにアレンジメントを頼みたいとやって来るお客様も少なくないのだ
悪阻の時期であると言うのに、チェギョンは実によく頑張った
しかし・・・花屋というのは実に店舗内が寒い
俺は妊娠初期のチェギョンを労わって、座り心地の良い椅子を持ちこんでみたり・・・レッグウォーマーを
脚に着けさせてみたりと・・・実に甲斐甲斐しくも口うるさい夫を続けた
単調な毎日を過ごしながら季節は移りゆく
そのうちに漸くチェギョンはその頑丈に装備されたマスクを外せる日がやって来る
少しふっくらとして来たお腹を誇らしげにしながら、今日も店内でチェギョンはお客様を待っている
大きな総合病院の向かいにある≪来夢生花店≫
もしそんな小さな花屋を見掛けたら、一度立ち寄って欲しい
お客様のニーズにあった花束を、俺の妻が作ってくれる
花と一緒に心を届けられるよう、真心をこめて一つ一つ丹念に薔薇の棘を取るオーナーのシン・チェギョンだ
そしてその場所が・・・この俺のどこに出しても恥ずかしくない愛する妻の、夢の城だ
花と一緒に・・・心も届けよう
愛する気持ちを感謝の想いを花束にして届けよう
あなたの御来店を心よりお待ちにしております・・・
≪来夢生花店≫ 完
【御礼】
全話に渡り素敵な薔薇の画像を提供してくださったkakoさん
心より感謝申し上げます。
また、画像をくださったペロンさん・姫代さん
本当にありがとうございました。
姫代さん・・・babyの御誕生報告、心待ちにしておりますよ~♪
≪あとがき≫
ハートフルラブストーリーはあまり得意じゃないんですが・・・
ほっこりするお話になったでしょうか♪
実はこのお話にはモデルが居りまして
花屋にお勤めのお友達が
幸せになってくれる事を願って書かせていただいたお話だったんです。
その方が読んでいてくれると良いなぁ~~~♪
最後までお付き合い下さった皆様
本当にありがとうございました❤
また今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
~星の欠片~管理人 ★ emi ★
【御礼】
全話に渡り素敵な薔薇の画像を提供してくださったkakoさん
心より感謝申し上げます。
また、画像をくださったペロンさん・姫代さん
本当にありがとうございました。
姫代さん・・・babyの御誕生報告、心待ちにしておりますよ~♪
≪あとがき≫
ハートフルラブストーリーはあまり得意じゃないんですが・・・
ほっこりするお話になったでしょうか♪
実はこのお話にはモデルが居りまして
花屋にお勤めのお友達が
幸せになってくれる事を願って書かせていただいたお話だったんです。
その方が読んでいてくれると良いなぁ~~~♪
最後までお付き合い下さった皆様
本当にありがとうございました❤
また今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
~星の欠片~管理人 ★ emi ★