あのクリスマスイブの日に食事した高級ホテルのフロントに向かった私達
車の中でベールを付けた花冠を取った私は、つい先ほどまでは花嫁だったのが一見普通の宿泊客に
見えるに違いない
オッパはロイヤルスィートのキーをフロント係から受け取り、私達は寄り添ってエレベーターに乗り込んだ
なんだかとてもドキドキする・・・
それはオッパも同じ気持ちだろうとオッパの顔を窺い見ると、オッパは柔らかい微笑みを浮かべ
私を見つめていた
言葉が・・・出て来ない
何も言わなくても二人の間にある空気が、今までの私たちじゃない事を教えてくれる
エレベーターが最上階に到着し、私はオッパに促がされ左腕に腕を絡めてロイヤルスィートルームに向かった
オッパがキーを開け二人で部屋に入る
『わぁっ・・・すごい広い・・・』
あまりのゴージャスな造りのロイヤルスィートルーム。こういうところでオッパの家との格差を少し感じてしまう
『早く中に・・・』
促がされて入っていくと・・・そこには女性が二人待ち構えていた
えっ・・・?驚いてオッパに視線を向けようとした時、一人の女性が微笑みながら掲げた
ウェディングドレスが目に留まった
これ・・・私が一番気に入っていたドレス・・・
オッパは私の傍らにそっと寄り添うと私に語りかけた
『善は急げだろう?この部屋は写真撮影にも最高のロケーションだ。
早く着替えておいで。そちらの女性達が着替えとメイクを手伝ってくれる。』
『は・・・い・・・』
熱いもので胸がいっぱいに満たされ、上手く言葉が出て来ない
思わず涙が溢れそうになってしまうのを私は必死に堪え、隣室に向かった
一番気に入っていたのに試着もできなかったドレスは、まるで私の為に作られたようにぴったりだった
汗で落ちてしまったメイクも綺麗に直され、髪も綺麗に結い直され私は引き摺るほどの長さのベールを纏った
本音を言ってしまうと、あの薔薇園での挙式だけで十分幸せだった
だけどオッパは私を更に幸せな気分にしてくれる
着替えを済ませて出て行った時、オッパは満面の笑みで私を迎えてくれそのオッパの隣には
三脚とカメラを持ったオッパの友人らしき人の姿があった
『チェギョン・・・挙式の時は忙しくて紹介もできなかったが、彼はリュ・ファンだ。
このホテルのオーナーの息子で、ここの総支配人を任されている。
挙式の時もカメラマンを引き受けてくれていただろう?』
『はい。沢山写真を撮っていただきました♪』
『彼が俺達の記念写真を撮ってくれる。写真の腕は超一流だ。さぁ・・・こっちにおいで。』
オッパに促がされその高級なソファーに腰を下ろす
先程メイクを直してくれた女性達が、ドレスの裾などを直してくれた
『はい。じゃあ二人共こっち見て笑って~♪』
何度かシャッターの下りる音がする
『じゃあ場所を変えようか。次は窓辺に二人で立ってね~♪』
私達が窓辺に向かってカメラ方向を向いた時、女性達は再びドレスの裾周りを美しく整えてくれる
『はい。じゃあ撮るよ~~♪』
何度かのシャッター音が聞こえた
『じゃあ…場所を移動しようか。』
えっ?まだ撮るの?そう思った時・・・リュ・ファンさんは意外な事を言い出した
『次はラストね。この階からレストランに降りる大きな階段があるから、そこに移動しようか~♪』
なんと私達はこの姿のまま部屋から出ると、リュ・ファンさんの後に続いた
するとエレベーターの隣に、確かに大きな階段があった
しかも写真撮影に使われそうな素敵な階段だ
二人で階段に立ち、女性達にドレスの裾を美しく整えて貰う。その間にファンさんは階段の下に降りて
三脚とカメラを固定した
『君達御苦労さま~♪あとは僕がするからいいよ。仕事に戻って。』
『『はい。総支配人。』』
二人の女性が去っていくとファンさんは意外な事を言い始めた
『ねえシン・・・こんなありきたりの写真じゃつまらなくない?
もっとラブラブなショットがあってもいい筈なんだけどなぁ?』
『そうか?じゃあ・・・』
オッパはそう答えると徐に私の顎に手を当て、私の頬に口付けた
えっ・・・咄嗟の事に驚き目を丸くする私。恐らく頬まで真っ赤に染まっていたことだろう
『いいね~~それ、いただきっ♪』
ファンさんがそう言うなりシャッター音が響いた
困ってしまい動揺する私にオッパは自分の頬を指で示した
『チェギョンも早く・・・』
マジですか・・・こんな写真親には見せられないですよぉ~~!!
そう思いながらも私はそっと唇を近づけた。オッパは私が届く距離に顔を寄せてくれた
なんだかとても照れくさい。でも・・・こんなロケーションでこんなラブショットな記念写真はなかなか撮れない
その後も腕を組んだり頬を寄せ合ったり、ファンさんの要求の下、沢山の記念写真が収められた
『じゃあ・・・シン、着替えておいてね~♪すぐにスペシャルディナーを持って行くからね。』
『あぁ。ここは料理も絶品だから楽しみにしているよ。』
足元に気を付けながら部屋に戻り、私達は別々の部屋で着替えを済ませた
着替えを済ませた俺達は、用意された席に着いた
クリスマスの時と同じ様に部屋の灯りを落しキャンドルの灯りで向かい合う
ファンの用意してくれたスペシャルディナーは、さすがに素晴らしい味だった
更にはファンが年代物のワインを俺達の夜にプレゼントしてくれた
ワインを飲みながら目の前の食事に舌鼓を打つ
『オッパ・・・まさか本当に叶えてくれるとは思いませんでした。』
『あぁ?なんの事だ?』
『あのドレスです。』
『くくっ・・・挙式をシークレットにしてしまったからな。せめてチェギョンの願い事くらい叶えてやらないとな。』
『でも挙式もすごく感動しました。あんな・・・挙式が用意されているとは思ってもみなくて・・・
すごく嬉しかったんです。』
『これからはもっと嬉しい事や楽しい事を共有して行こう。』
『はい♪』
チェギョンがワインのボトルを手に持ち、俺のグラスに注ごうとするのを俺はやんわりと手で遮った
『オッパ・・・もう飲まないんですか?でも今日はもう運転しないのに・・・』
『だからこれでやめておくんだ。チェギョンは飲んでいいよ。』
『えっ?///あっ・・・///私もやめておきますぅ。』
気がついただろうか?俺の言った言葉の真意が・・・
スタートラインから酔いに任せるのは嫌だからな
そう口にしてしまった途端、チェギョンは無口になった
俺も・・・そうなると敢えて話題を見つけようとはせず、その沈黙の中時々絡み合う視線に胸を高鳴らせながら
非常に美味しい筈なのに上手く喉元を通っていかない食事を済ませた
ボーイが食事のワゴンを運んで行った後、ロイヤルスィートルームには俺達二人だけになった
ファンももう邪魔しには来ないだろう
携帯の電源も切ってしまった
あとは俺達二人だけの時間を楽しもう・・・
②に続く
(薔薇の画像は薔薇の奥様こと『花が好き』のkakoさんからお借りしております。
お持ち帰りはご遠慮ください。)
車の中でベールを付けた花冠を取った私は、つい先ほどまでは花嫁だったのが一見普通の宿泊客に
見えるに違いない
オッパはロイヤルスィートのキーをフロント係から受け取り、私達は寄り添ってエレベーターに乗り込んだ
なんだかとてもドキドキする・・・
それはオッパも同じ気持ちだろうとオッパの顔を窺い見ると、オッパは柔らかい微笑みを浮かべ
私を見つめていた
言葉が・・・出て来ない
何も言わなくても二人の間にある空気が、今までの私たちじゃない事を教えてくれる
エレベーターが最上階に到着し、私はオッパに促がされ左腕に腕を絡めてロイヤルスィートルームに向かった
オッパがキーを開け二人で部屋に入る
『わぁっ・・・すごい広い・・・』
あまりのゴージャスな造りのロイヤルスィートルーム。こういうところでオッパの家との格差を少し感じてしまう
『早く中に・・・』
促がされて入っていくと・・・そこには女性が二人待ち構えていた
えっ・・・?驚いてオッパに視線を向けようとした時、一人の女性が微笑みながら掲げた
ウェディングドレスが目に留まった
これ・・・私が一番気に入っていたドレス・・・
オッパは私の傍らにそっと寄り添うと私に語りかけた
『善は急げだろう?この部屋は写真撮影にも最高のロケーションだ。
早く着替えておいで。そちらの女性達が着替えとメイクを手伝ってくれる。』
『は・・・い・・・』
熱いもので胸がいっぱいに満たされ、上手く言葉が出て来ない
思わず涙が溢れそうになってしまうのを私は必死に堪え、隣室に向かった
一番気に入っていたのに試着もできなかったドレスは、まるで私の為に作られたようにぴったりだった
汗で落ちてしまったメイクも綺麗に直され、髪も綺麗に結い直され私は引き摺るほどの長さのベールを纏った
本音を言ってしまうと、あの薔薇園での挙式だけで十分幸せだった
だけどオッパは私を更に幸せな気分にしてくれる
着替えを済ませて出て行った時、オッパは満面の笑みで私を迎えてくれそのオッパの隣には
三脚とカメラを持ったオッパの友人らしき人の姿があった
『チェギョン・・・挙式の時は忙しくて紹介もできなかったが、彼はリュ・ファンだ。
このホテルのオーナーの息子で、ここの総支配人を任されている。
挙式の時もカメラマンを引き受けてくれていただろう?』
『はい。沢山写真を撮っていただきました♪』
『彼が俺達の記念写真を撮ってくれる。写真の腕は超一流だ。さぁ・・・こっちにおいで。』
オッパに促がされその高級なソファーに腰を下ろす
先程メイクを直してくれた女性達が、ドレスの裾などを直してくれた
『はい。じゃあ二人共こっち見て笑って~♪』
何度かシャッターの下りる音がする
『じゃあ場所を変えようか。次は窓辺に二人で立ってね~♪』
私達が窓辺に向かってカメラ方向を向いた時、女性達は再びドレスの裾周りを美しく整えてくれる
『はい。じゃあ撮るよ~~♪』
何度かのシャッター音が聞こえた
『じゃあ…場所を移動しようか。』
えっ?まだ撮るの?そう思った時・・・リュ・ファンさんは意外な事を言い出した
『次はラストね。この階からレストランに降りる大きな階段があるから、そこに移動しようか~♪』
なんと私達はこの姿のまま部屋から出ると、リュ・ファンさんの後に続いた
するとエレベーターの隣に、確かに大きな階段があった
しかも写真撮影に使われそうな素敵な階段だ
二人で階段に立ち、女性達にドレスの裾を美しく整えて貰う。その間にファンさんは階段の下に降りて
三脚とカメラを固定した
『君達御苦労さま~♪あとは僕がするからいいよ。仕事に戻って。』
『『はい。総支配人。』』
二人の女性が去っていくとファンさんは意外な事を言い始めた
『ねえシン・・・こんなありきたりの写真じゃつまらなくない?
もっとラブラブなショットがあってもいい筈なんだけどなぁ?』
『そうか?じゃあ・・・』
オッパはそう答えると徐に私の顎に手を当て、私の頬に口付けた
えっ・・・咄嗟の事に驚き目を丸くする私。恐らく頬まで真っ赤に染まっていたことだろう
『いいね~~それ、いただきっ♪』
ファンさんがそう言うなりシャッター音が響いた
困ってしまい動揺する私にオッパは自分の頬を指で示した
『チェギョンも早く・・・』
マジですか・・・こんな写真親には見せられないですよぉ~~!!
そう思いながらも私はそっと唇を近づけた。オッパは私が届く距離に顔を寄せてくれた
なんだかとても照れくさい。でも・・・こんなロケーションでこんなラブショットな記念写真はなかなか撮れない
その後も腕を組んだり頬を寄せ合ったり、ファンさんの要求の下、沢山の記念写真が収められた
『じゃあ・・・シン、着替えておいてね~♪すぐにスペシャルディナーを持って行くからね。』
『あぁ。ここは料理も絶品だから楽しみにしているよ。』
足元に気を付けながら部屋に戻り、私達は別々の部屋で着替えを済ませた
着替えを済ませた俺達は、用意された席に着いた
クリスマスの時と同じ様に部屋の灯りを落しキャンドルの灯りで向かい合う
ファンの用意してくれたスペシャルディナーは、さすがに素晴らしい味だった
更にはファンが年代物のワインを俺達の夜にプレゼントしてくれた
ワインを飲みながら目の前の食事に舌鼓を打つ
『オッパ・・・まさか本当に叶えてくれるとは思いませんでした。』
『あぁ?なんの事だ?』
『あのドレスです。』
『くくっ・・・挙式をシークレットにしてしまったからな。せめてチェギョンの願い事くらい叶えてやらないとな。』
『でも挙式もすごく感動しました。あんな・・・挙式が用意されているとは思ってもみなくて・・・
すごく嬉しかったんです。』
『これからはもっと嬉しい事や楽しい事を共有して行こう。』
『はい♪』
チェギョンがワインのボトルを手に持ち、俺のグラスに注ごうとするのを俺はやんわりと手で遮った
『オッパ・・・もう飲まないんですか?でも今日はもう運転しないのに・・・』
『だからこれでやめておくんだ。チェギョンは飲んでいいよ。』
『えっ?///あっ・・・///私もやめておきますぅ。』
気がついただろうか?俺の言った言葉の真意が・・・
スタートラインから酔いに任せるのは嫌だからな
そう口にしてしまった途端、チェギョンは無口になった
俺も・・・そうなると敢えて話題を見つけようとはせず、その沈黙の中時々絡み合う視線に胸を高鳴らせながら
非常に美味しい筈なのに上手く喉元を通っていかない食事を済ませた
ボーイが食事のワゴンを運んで行った後、ロイヤルスィートルームには俺達二人だけになった
ファンももう邪魔しには来ないだろう
携帯の電源も切ってしまった
あとは俺達二人だけの時間を楽しもう・・・
②に続く
(薔薇の画像は薔薇の奥様こと『花が好き』のkakoさんからお借りしております。
お持ち帰りはご遠慮ください。)
②はこれから書くのでちょっと待っててね♪
コメントのお返事は夜になります❤
コメントのお返事は夜になります❤