≪フラワーアレンジメント協会≫主催のコンテスト開始の合図が鳴る
俺は審査員席から祈るような思いでチェギョンがアレンジメントする姿を見守っていた
やはりチェギョンだな・・・まず薔薇の棘を取り除くことからやり始めた
だがとても丁寧な作業をしているので、非常に時間が掛かる
その間にも周りの参加者達は、次々と花を花器に飾っていく
チェギョンはまだ、棘すら取り終わっていない状態だ
だがこのコンテストは創作の速さを競うものではない。だから大丈夫だ。落ち着いて頑張れチェギョン
漸くチェギョンが花器に花を生け始めた
俺は気になって他の参加者に目を向けた・・・すると、チェギョンが作業しているテーブルの二つ離れたところに
見覚えのある顔を発見する
あれはひょっとして、イ・コーポレーション、オペレーション主任のキムさんじゃないか?
目を凝らしてみる。やはりそうだ
俺よりも5年ほど早く入社したベテラン社員だ。だが・・・我が社の中でアレンジメントする姿など見たことがない
不思議に思いその女性を食い入る様に見ていた俺に、祖母がその答えを教えてくれた
『おや・・・キム・アヨンさんも参加して居るのぉ。うむ・・・さすがだ。いい腕をして居る。』
『おばあ様・・・あの女性をご存知ですか?』
『おぉ知っておるとも。イ・コーポレーションの社員じゃ。しかも結婚して子供を産むまでは、
私の元でアレンジメントの勉強もしておった。』
『そうでしたか。でも彼女は今・・・オペレーション業務ですが・・・。』
『そうだ。アヨンさんは元々オペレーターとしてイ・コーポレーションに入ったのだ。
だが入社してから花の素晴らしさに触れ、私の門下となったと言うわけだ。
会社ではアレンジメントをしないだろう?』
『はい。見たことがありません。』
『彼女は自分が楽しみたくてやっておるのじゃ。仕事にしたいとは思わないと言っておった。』
『そうでしたか・・・』
しかし困った・・・キム・アヨンさんの作品はどうにも目を引きつけられる
その作品が持っている優しい雰囲気も、チェギョンの作品に引けを取らない
チェギョンに入れたら贔屓と言われ、キム・アヨンさんに入れたら自社の社員を贔屓したと取られないだろうか
俺の悩みは尽きず、つい隣にいた祖母に相談を持ちかけた
『おばあ様・・・たとえば俺が、キム・アヨンさんに入れたら・・・よくないことでしょうか?』
『いや、それは関係ないだろう。其々の理事も自分の門下生を推したいだろうしな。
ただ・・・あからさまな事はやめなさい。』
『あからさまとは?』
『審査員は一人当たり持ち点を三点ずつ持っているが、そのすべてをチェギョンさんに入れるとか
キム・アヨンさんに入れるとか・・・そう言うのはやめた方が良いだろう。
できれば三名を選ぶのが良いと思うが?』
『あ・・・はい。そういたします。』
やがて時間終了の合図が鳴り響き・・・参加者達は一斉に自分の作品を前のテーブルに運んだ
あぁ・・・やはりチェギョンの作品はとても癒される。もちろんそれは端から解っていた事だ
三点の内一点くらいはチェギョンに入れても良いだろう。俺は他の作品に目を向けた
キム・アヨンさんの作品もチェギョンに引けを取らない美しさだ
いや・・・残念ながらチェギョンよりも素晴らしいかもしれない
もう一人・・・目に留まる作品は・・・俺は祖母から教わった基本的な知識を元に自分の審美眼で投票相手を探す
あ・・・この作品も素晴らしい。
正直に言って俺にとっては一位がキム・アヨンさん・二位がチェギョン・三位が最後に選んだハン・ユギョンさんだ
俺の審美眼は通用するだろうか・・・
審査員室に入って行き投票者の名前が書かれた紙に、良いと思った作者名を書き投票する
ほとんどの理事が俺と同じ様な感性を持ち合せているようだ
一人の理事が・・・こんな事を言った
『シン・チェギョンさんを私は推しますね。なんと言ってもあの薔薇の棘を丹念に取っているあの仕草は
花を本当に愛する者でなければできない事です。』
チェギョンの良さを解ってくれる人がいて、俺は自分が褒められている以上に嬉しくなる
さて・・・いよいよ開票だ
審査員達が参加作品を真剣に見比べた後、別室に入って行く
オッパもパク先生も母も・・・
うん。こうやって並んでみるとやはりちょっと私の作品は見劣りする?
はぁ・・・三位入賞は無理かな・・・
そんな事を考え肩を落した時、隣にいた女性に話し掛けられた
『あなたはシン・チェギョンさん・・・でしょう?』
『はい。そうですが・・・なぜご存知なんですか?』
『以前パク先生と会社のお花をアレンジメントしに来られたでしょう?
あ・・・申しおくれました。私はイ・コーポレーションのオペレーション主任のキム・アヨンと申します。』
落ち付いた感じの女性。その名前を聞いて、私が一番素敵だと思った作品の作者だと知った
『あ・・・そうです!シン・チェギョンと申します。』
『私も昔パク先生にお世話になったの。』
『えっ・・・そうなんですか?通りで素敵な作品だと思いました♪』
『チェギョンさんの作品も、すごく優しさに溢れていて素敵だわ。』
『ありがとうございます。じゃあ同じ先生にお世話になったと言う事ですね。』
『そうね。』
『あの・・・今まで受賞経験は無かったのですか?』
『ないわ。だって初めてコンテストに参加したんですもの。』
『えっ・・・そうなんですか?』
『ほら・・・今までの優勝者が以前うちの会社に・・・居たでしょう?』
ミン・ヒョリンさんの事だ。
『ええそうですね。』
『だからきっと、美しさの観点が違うと思っていたの。でも今度理事長にパク先生が復活されたって聞いて
出てみようかしらって気になったの。』
『お互いに入賞できるといいですね。』
『本当にね。』
『でもキム・アヨンさん・・・こんなに素敵な作品が作れるのに、どうしてそれを会社で生かさないのですか?
オペレーション業務よりアレンジメントフラワーの責任者になれる腕前だと思うのですが・・・』
『ふふ・・・流れ作業的なアレンジメントが嫌いなのよ。だから商品の受注や発送業務・・・クレーム処理なんかが
向いているのかもしれないわ。』
『そうでしたか。でも今回きっとイ・シン専務の目に留まっちゃいましたから
お願いされちゃうかもしれませんよぉ~~♪』
『それは困ったわ。私も既婚者だからそんなに残業はできないの。』
『くすくす・・・イ・シン専務にそう言った方がいいですよ~~♪』
優しそうな女性。作品同様、きっと家に帰れば優しいお母さんなのだろうと思った
パク先生のお弟子さんなら、やはりどこか似通った感性を持っているのだろう
私達は緊張を紛らわすかのようにずっとおしゃべりを続けた
【大変お待たせいたしました。入賞者の発表です。】
司会進行役の男性がそう言うなり、参加者達は水を打ったように静かになった
【三位入賞者までを発表いたします。
第三位・・・≪来夢生花店≫勤務シン・チェギョンさん】
私だ・・・今まで呼ばれた事のない私の名前が呼ばれた。三位入賞したんだ・・・
あぁ・・・私は緊張していた自分の頬が緩んでいくのを感じた
『良かったわね~チェギョンさん。』
『ありがとうございます♪』
キム・アヨンさんの祝福の言葉に実感が湧いてくる私
【第二位・・・ハンフラワーショップ勤務ハン・ユギョンさん
第一位・・・イ・コーポレーション勤務キム・アヨンさん
以上三名が入賞者と決定いたしました。】
あ・・・やっぱりキム・アヨンさんが一位だ♪私の思っていた通りだわ
三人の入賞者は壇上に上がりパク先生から賞状とトロフィーを授与された
嬉しい・・・初めての入賞だ。これでオッパに顔向けできる
ってことはもしかして秋には結婚?くすくす・・・まさかね・・・
俺は審査員席から祈るような思いでチェギョンがアレンジメントする姿を見守っていた
やはりチェギョンだな・・・まず薔薇の棘を取り除くことからやり始めた
だがとても丁寧な作業をしているので、非常に時間が掛かる
その間にも周りの参加者達は、次々と花を花器に飾っていく
チェギョンはまだ、棘すら取り終わっていない状態だ
だがこのコンテストは創作の速さを競うものではない。だから大丈夫だ。落ち着いて頑張れチェギョン
漸くチェギョンが花器に花を生け始めた
俺は気になって他の参加者に目を向けた・・・すると、チェギョンが作業しているテーブルの二つ離れたところに
見覚えのある顔を発見する
あれはひょっとして、イ・コーポレーション、オペレーション主任のキムさんじゃないか?
目を凝らしてみる。やはりそうだ
俺よりも5年ほど早く入社したベテラン社員だ。だが・・・我が社の中でアレンジメントする姿など見たことがない
不思議に思いその女性を食い入る様に見ていた俺に、祖母がその答えを教えてくれた
『おや・・・キム・アヨンさんも参加して居るのぉ。うむ・・・さすがだ。いい腕をして居る。』
『おばあ様・・・あの女性をご存知ですか?』
『おぉ知っておるとも。イ・コーポレーションの社員じゃ。しかも結婚して子供を産むまでは、
私の元でアレンジメントの勉強もしておった。』
『そうでしたか。でも彼女は今・・・オペレーション業務ですが・・・。』
『そうだ。アヨンさんは元々オペレーターとしてイ・コーポレーションに入ったのだ。
だが入社してから花の素晴らしさに触れ、私の門下となったと言うわけだ。
会社ではアレンジメントをしないだろう?』
『はい。見たことがありません。』
『彼女は自分が楽しみたくてやっておるのじゃ。仕事にしたいとは思わないと言っておった。』
『そうでしたか・・・』
しかし困った・・・キム・アヨンさんの作品はどうにも目を引きつけられる
その作品が持っている優しい雰囲気も、チェギョンの作品に引けを取らない
チェギョンに入れたら贔屓と言われ、キム・アヨンさんに入れたら自社の社員を贔屓したと取られないだろうか
俺の悩みは尽きず、つい隣にいた祖母に相談を持ちかけた
『おばあ様・・・たとえば俺が、キム・アヨンさんに入れたら・・・よくないことでしょうか?』
『いや、それは関係ないだろう。其々の理事も自分の門下生を推したいだろうしな。
ただ・・・あからさまな事はやめなさい。』
『あからさまとは?』
『審査員は一人当たり持ち点を三点ずつ持っているが、そのすべてをチェギョンさんに入れるとか
キム・アヨンさんに入れるとか・・・そう言うのはやめた方が良いだろう。
できれば三名を選ぶのが良いと思うが?』
『あ・・・はい。そういたします。』
やがて時間終了の合図が鳴り響き・・・参加者達は一斉に自分の作品を前のテーブルに運んだ
あぁ・・・やはりチェギョンの作品はとても癒される。もちろんそれは端から解っていた事だ
三点の内一点くらいはチェギョンに入れても良いだろう。俺は他の作品に目を向けた
キム・アヨンさんの作品もチェギョンに引けを取らない美しさだ
いや・・・残念ながらチェギョンよりも素晴らしいかもしれない
もう一人・・・目に留まる作品は・・・俺は祖母から教わった基本的な知識を元に自分の審美眼で投票相手を探す
あ・・・この作品も素晴らしい。
正直に言って俺にとっては一位がキム・アヨンさん・二位がチェギョン・三位が最後に選んだハン・ユギョンさんだ
俺の審美眼は通用するだろうか・・・
審査員室に入って行き投票者の名前が書かれた紙に、良いと思った作者名を書き投票する
ほとんどの理事が俺と同じ様な感性を持ち合せているようだ
一人の理事が・・・こんな事を言った
『シン・チェギョンさんを私は推しますね。なんと言ってもあの薔薇の棘を丹念に取っているあの仕草は
花を本当に愛する者でなければできない事です。』
チェギョンの良さを解ってくれる人がいて、俺は自分が褒められている以上に嬉しくなる
さて・・・いよいよ開票だ
審査員達が参加作品を真剣に見比べた後、別室に入って行く
オッパもパク先生も母も・・・
うん。こうやって並んでみるとやはりちょっと私の作品は見劣りする?
はぁ・・・三位入賞は無理かな・・・
そんな事を考え肩を落した時、隣にいた女性に話し掛けられた
『あなたはシン・チェギョンさん・・・でしょう?』
『はい。そうですが・・・なぜご存知なんですか?』
『以前パク先生と会社のお花をアレンジメントしに来られたでしょう?
あ・・・申しおくれました。私はイ・コーポレーションのオペレーション主任のキム・アヨンと申します。』
落ち付いた感じの女性。その名前を聞いて、私が一番素敵だと思った作品の作者だと知った
『あ・・・そうです!シン・チェギョンと申します。』
『私も昔パク先生にお世話になったの。』
『えっ・・・そうなんですか?通りで素敵な作品だと思いました♪』
『チェギョンさんの作品も、すごく優しさに溢れていて素敵だわ。』
『ありがとうございます。じゃあ同じ先生にお世話になったと言う事ですね。』
『そうね。』
『あの・・・今まで受賞経験は無かったのですか?』
『ないわ。だって初めてコンテストに参加したんですもの。』
『えっ・・・そうなんですか?』
『ほら・・・今までの優勝者が以前うちの会社に・・・居たでしょう?』
ミン・ヒョリンさんの事だ。
『ええそうですね。』
『だからきっと、美しさの観点が違うと思っていたの。でも今度理事長にパク先生が復活されたって聞いて
出てみようかしらって気になったの。』
『お互いに入賞できるといいですね。』
『本当にね。』
『でもキム・アヨンさん・・・こんなに素敵な作品が作れるのに、どうしてそれを会社で生かさないのですか?
オペレーション業務よりアレンジメントフラワーの責任者になれる腕前だと思うのですが・・・』
『ふふ・・・流れ作業的なアレンジメントが嫌いなのよ。だから商品の受注や発送業務・・・クレーム処理なんかが
向いているのかもしれないわ。』
『そうでしたか。でも今回きっとイ・シン専務の目に留まっちゃいましたから
お願いされちゃうかもしれませんよぉ~~♪』
『それは困ったわ。私も既婚者だからそんなに残業はできないの。』
『くすくす・・・イ・シン専務にそう言った方がいいですよ~~♪』
優しそうな女性。作品同様、きっと家に帰れば優しいお母さんなのだろうと思った
パク先生のお弟子さんなら、やはりどこか似通った感性を持っているのだろう
私達は緊張を紛らわすかのようにずっとおしゃべりを続けた
【大変お待たせいたしました。入賞者の発表です。】
司会進行役の男性がそう言うなり、参加者達は水を打ったように静かになった
【三位入賞者までを発表いたします。
第三位・・・≪来夢生花店≫勤務シン・チェギョンさん】
私だ・・・今まで呼ばれた事のない私の名前が呼ばれた。三位入賞したんだ・・・
あぁ・・・私は緊張していた自分の頬が緩んでいくのを感じた
『良かったわね~チェギョンさん。』
『ありがとうございます♪』
キム・アヨンさんの祝福の言葉に実感が湧いてくる私
【第二位・・・ハンフラワーショップ勤務ハン・ユギョンさん
第一位・・・イ・コーポレーション勤務キム・アヨンさん
以上三名が入賞者と決定いたしました。】
あ・・・やっぱりキム・アヨンさんが一位だ♪私の思っていた通りだわ
三人の入賞者は壇上に上がりパク先生から賞状とトロフィーを授与された
嬉しい・・・初めての入賞だ。これでオッパに顔向けできる
ってことはもしかして秋には結婚?くすくす・・・まさかね・・・
(薔薇の画像は薔薇の奥様こと『花が好き』のkakoさんからお借りしております。
お持ち帰りはご遠慮ください。)
土日はお話の更新はお休みさせていただきます❤
明日は多肉通信をお送りしますね~~♪
雪・・・ほとんど降らなかったんだけど
凍っちゃってね・・・
アイスバーンをはがすのに一生懸命で
疲れたにゃぁ・・・
お持ち帰りはご遠慮ください。)
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明日は多肉通信をお送りしますね~~♪
雪・・・ほとんど降らなかったんだけど
凍っちゃってね・・・
アイスバーンをはがすのに一生懸命で
疲れたにゃぁ・・・