それから二日後・・・イギリスとアメリカの大使館からも連絡が入り、皇室への悪質な書きこみ犯の取り調べが
すべて終了した時・・・その海外から犯行のすべてがホン・ユリの仕業だった事が発覚し
シンは落胆して行った
そんなシンと同時に肩を落としたのは、他の誰でもない皇帝陛下だった
ホン家の人間は皇帝陛下にとって、先帝の遺言状にあった五家と同じくらい信頼を寄せていた人物なのである
各国の大使館から強制送還された犯人達が皇室警察署に揃った時、皇帝陛下と皇子達は
皇室警察署に出向いて行く
シンはその取り調べに行く際に、東宮に滞在しているチェギョンの頭に手を置くと切なそうに呟く
『チェギョン・・・すまなかった。俺が至らなかったせいでお前を苦しめた。』
チェギョンは上目遣いでシンの顔を見上げると、やはり切なそうにそれでも口角を上げた
『元はと言えば私のせいだから・・・』
『違うっ!お前のせいなんかじゃ・・・』
『ごめんねシン君。妹みたいに可愛がっていた子なんでしょう?』
この後シンがその娘にどんな酷い言葉をを口にせねばならないか・・・その心情を考えると
チェギョンの胸は痛んだ
出掛けて行こうと背中を向けたシンをチェギョンは呼び止めた
『シン君!!』
背中に感じるチェギョンの温もり・・・腰に回された腕
『シン君元気出して!!』
『くくっ・・・あぁ、俺は大丈夫だ。』
シンはその腰に回されたチェギョンの手をそっと引き離し、チェギョンに向かい合うと一度強くその体を抱きしめた
『行って来る。』
そう告げるとシンは、東宮の車止めに停車していた公用車に乗り込んだ
結局三晩を皇室で滞在している元姉妹達は、皇子達が皇室警察署に出掛けて行った後
皇后の元に招集を掛けられた
そして皇后・皇太后が並んで座るソファーの向かいに五人は並び、皇子達が宮に戻り
その取り調べの結果を聞くまでは家に帰れないと、二人の国母と共にお茶を飲み談笑して待つこととなった
皇太后は安堵の表情でチェギョンを見つめ、優しく話しかけた
『チェギョンや・・・良かったな。犯人がはっきりして。これで安心して婚礼に臨めると言うものだな。』
『はい、皇太后様。でも・・・私のせいで皇室にご迷惑をかけてしまって・・・申し訳ありません。』
『なんの!!そなたが好きで続けてきた事ではないか。迷惑になどならぬわ。』
皇太后の言葉を後押しするように、皇后もチェギョンを励ました
『そうだチェギョン。今度私達にも・・・その漫画とやらを読ませてはもらえないか?』
『えっ?///(赤面)///そっそれはダメです皇后様。皆の趣味と違って・・・物すご~~く恥ずかしいんです。』
『ほほほ…恥かしい様な事を描いて居るのか?』
『いえっ・・・そうではなく・・・えっと・・とにかく恥ずかしいんです。』
『そうか。じゃあ~~追々姉妹達が嫁いで来てから、誰かに見せて貰おうか~~おほほほほ~~♪』
『皇后様ぁ~~///』
嫁ぐ前から構われっぱなしのチェギョン・・・本当は叱られるのではないかと緊張していただけに
国母二人のその優しさに胸を撫で下ろす
『ところで・・・ガンヒョン。』
皇后から突然呼びかけられたガンヒョンは、意外なほど驚き一瞬ソファーから飛び上がった
『はっ・・・はい!!』
『どうしたのだガンヒョン。何をそんなに慌てておるのだ?』
『いえっ・・・何も慌ててなど居りません。』
『そうかぁ?どうも顔が赤い様だが・・・風邪でもひいたのか?』
『いえっ・・・風邪などひいては・・・』
皇太后はしたり顔で皇后に話しかけた
『おおよそギョンの事だから、薄着をさせて…』
『そうでしょうか皇太后様。何も着せなかったという事も・・・』
皇后と皇太后のやりとりに驚いて一斉にガンヒョンを見つめたのは、今まで緊迫していた元姉妹達であった
『『えぇぇぇ~~~~っ!!』』
『あうっつ・・・・』
ガンヒョンはそのいくつもの追及の視線に耐えかね、とうとう俯いてしまった
その様子にあまり意地悪するのもよくないと感じたのか、皇太后が優しく問い掛けた
『ガンヒョンや・・・折角、本当の家族と暮らし始めたと言うのにすまないが、
入宮を早めた方がよいのではないか?』
『・・・ですがギョン皇子はまだ高校生です。』
『構わぬ。そなたが良いのなら、シンとチェギョンの婚礼が済んだ後、二人の婚礼の日取りを決めよう。
チェギョンもきっと・・・嬉しいだろう。』
『はい。。。』
いつもはっきりとした物言いのガンヒョンの、このような表情も反応も見た事のない元姉妹達
なんとなくではあるが、その理由については察しのつく四人だった
(後でガンヒョンを問い詰めよう。)
其々が女子高校生らしい探究心で、密かに口角を上げるのだった
皇后と皇太后がシン家の元姉妹達と楽しく談笑している頃、皇子達は其々に別れ取り調べの真っ最中だった
まず主犯のホン・ユリに関しては。シンとギョンが立ち会いの元署員と共に取り調べを始めた
『ユリ・・・もう三名の実行犯からの証言は得ている。今更言い逃れはできない。』
『シンオッパ!!私を信じてはくれないんですか?私はそんな卑劣な事はしない!!』
『そう・・・・お前のしたことは卑劣極まりない犯罪だ。よりによって皇太子妃を貶めようとしたのだからな。』
『シンオッパ・・・私じゃない。私はそんな人達は知らない!!』
『ユリ・・・観念したらどうだ?お前は皇太子妃になるシン・チェギョンの心を深く傷つけたんだぞ。』
何度も首を横に振り否認するユリに、ギョン皇子は諭す様に話しかけた
『ユリ・・・お前のしたことはシン兄貴も傷つけたんだ。
王族会の娘の中で本当に妹みたいに可愛がっていたのに・・・
こんな辛い言葉で追い詰めなきゃならないんだからな!
シン兄貴の気持ちにもなれ!お前は信頼を裏切ったんだ。』
ホン・ユリは涙を堪えシンの顔をじっと見つめた
苦悩の表情を浮かべるシンに、罪悪感を感じたのかもしれない
『私は・・・シンオッパのお嫁さんになれるって信じてました。
どうしてシン家の娘じゃなきゃダメなの?私じゃあ・・・ダメなの?』
シンは漸くユリがその悪質な犯罪を認めようとしている事に気が付き、ユリの目をじっと見ると最後の言葉を
絞り出すように告げた
『ユリ・・・確かに先帝が決めた縁の一つだったかもしれない。
だが彼女を最初に見た時から、彼女は俺の中で唯一とも言える存在になった。
お前がどんなにいい子であろうと、俺にとってお前は生涯妹のままだ。
だが残念な事に、もう妹でさえない。俺の選んだ女性を苦しめた憎い敵になってしまった。
もう妹のお前はどこにもいない。潔く罪を認め償うがいい。』
シンのその言葉にユリは泣き崩れた
ユリにとって一番怖い事・・・それはシンから嫌われてしまうことだったのである
取り調べ室を立ち去るシンとギョン・・・
ギョンはホン・ユリに向かって捨て台詞を残した
『残念だったねユリ。チェギョンの漫画を読んでいたら、君もきっとファンになっていただろうから
こんな悪質な事は出来なかっただろうにね。』
取り調べ室を出たシンはギョンに向かって問い掛ける
『ギョン・・・お前まさか、チェギョンの漫画を・・・』
『うん。愛読しているよ~~♪ガンヒョンから借りてからすっかりファンになっちゃってさ。
あはははは~~♪』
知らず知らずの間に皇室内部にもチェギョンの漫画を後押ししてくれる人が増えている
シンはたった今決別して来たユリの事を胸の奥に沈め、チェギョンとの未来に向けて前を向いたのだった
ひ~~ん。先程はうっかり投稿で来てしまった方
本当にごめんなさい~~!!
本当にごめんなさい~~!!