レストランのドアを開けた二人・・・ドアベルの音で駆け付けたボーイはシンに恭しく頭を下げた
『イ・シン様いらっしゃいませ。』
『いつもの席・・・空いているか?』
『あ・・・大変申し訳ございません。ただいまそのお席は他のお客様がおいでですので
そのお隣の席にご案内いたします。』
ボーイの後に続き歩いていく二人・・・
『シン君のお気に入りのお店だなんて・・・取り巻きの人たちがいたりしない?』
『いや。取り巻きたちが一見様で入れる店じゃない。』
『そっか~よかった♪』
チェギョンはシンの取り巻きの女の子たちがあまり得意ではなかった
シンにしもべ指令を受けた時など、あからさまに侮蔑する視線を浴びせられた
そんな侮蔑に値するチェギョンが、シンの恋人になったと知ったらどんなに怒り狂うだろうかと思うと
背筋が寒くなる思いだった
ボーイに案内されながら、シンはいつも座っている席の客を忌々しげに一瞥した
その瞬間・・・
『あ・・・あれっ?シン?・・・それにチェギョンも・・・』
『ギョン・・・それにガンヒョン・・。お前だったのか。その席に座っていたのは・・・』
『とにかく座れよ。一緒に食事しよう。ボーイさん・・・彼らは俺達と同席するからね♪』
『かしこまりました。チャン・ギョン様・・・』
電話で説明する手間が省けたとそれぞれに思いながら、ギョンとガンヒョンの隣に腰を下ろした二人
ギョンは二人が席に着くと同時に質問を投げかけた
『シン~お前、今日は見合いだって言ってなかった?』
『えっ?イ・シンもなの?チェギョンもよね?でもどうして二人が一緒にいるの?』
シンは落ち着き払った様子でギョンとガンヒョンに視線を向けると答えた
『それはだな・・・俺の見合い相手はチェギョンだったからだ。』
『『えっ・・・』』
ギョンとガンヒョンは同時に絶句する
財閥の御曹司の見合い相手として・・・家柄で言ったらチェギョンはふさわしくないと双方とも思ったからだ
『一体どうして・・・』
『なぜチェギョンにイ財閥の跡取りとの見合い話が来るのよ。』
『あ~ガンヒョン・・・だから言ったでしょう?闇鍋みたいな見合いだって・・・』
『そうよね。アンタは相手の事何も知らないで・・・≪いい家柄のご子息で親の顔を立てて≫
見合いに行くって言っていたわよね?でも・・・なんだか理解ができないわ。』
不思議そうに首を傾げるギョンとガンヒョンに、シンは口角を上げて説明する
『お母様のセッティングだったんだ。俺のお母様がチェギョンをとても気に入ってな。』
『あ~~っ!』
高級レストランだというのにガンヒョンはいきなり大きな声を上げた
『チェギョンひょっとして・・・ファミレスによく来ていた≪おばさん≫って・・・』
『実は・・・そうなんだ。』
『おかしいと思ったのよ。だってね・・・会計の時にブラックカードを出そうとするし・・・
只者じゃないと思っていたわよ。』
『そうだったんだ。ガンヒョンは気づいていたんだ。教えてくれればよかった。
私なんかね~見合いの席で、いきなり90度のお辞儀しちゃったよぉ。』
『なに?つまりシンのおばさんがチェギョンを気に入って見合いをセッティングしたってわけ?』
『あぁそうだ。』
『それで・・・二人の今後のご関係は?』
『えっ?///』
『くくっ・・・晴れて付き合うことになった。』
『ひぇ~~っ・・・聞いた?ガンヒョン・・・この二人付き合うんだって。
この際だからさ~俺達も付き合っちゃおうよ。』
『この際ってどの際よ!この二人は特別よ。アタシがアンタんちのご両親に気に入られることはないわ。
諦めなさい。』
『諦めるもんか!ねえチェギョン・・・どうやってシンの家のおばさんに気に入られたの?』
『へっ?いや・・・あのさ・・・ほら・・・自転車でパーティーのお手伝いに
行ったことがあったでしょう?』
『あ~チェギョンが道路から転落した時ね。』
『あ・・・(それを言うか!)まぁそう。その時・・・メイドさんだと思って、普通に接していただけ。』
『普通にって?』
『しもべ稼業を一生懸命やっただけなんだよ。』
『本当にそれだけ?』
『うん。本来なら失礼なことばかり言っていたんだよね。だからなぜ気に入られたのかわかんない。』
困惑するチェギョンにガンヒョンは答えをくれた
『それはアンタが自然体だからよ。よく働くし影日向ないし明るい。そんなアンタが気に入ったのよ。』
『だったらガンヒョンだって俺の親に気に入られるはず。よく働くし冷静な判断力があるし・・・何より美人だ。』
『馬鹿ねギョン…アタシは一般的に見て可愛げのない女よ。チェギョンのように一般受けはしないわ。』
『だとしても・・・ガンヒョンを気に入った俺の両親だぜ。きっと同じように気に入る筈。
一度・・・うちに遊びに来てよ~~♪』
あまりにも意外なカップルの誕生に、一気に盛り上がるギョンを見つめガンヒョンは小さく溜息を吐いた
『だから…アタシはアンタと付き合うつもりはないわ。』
『でも・・・食事に付き合ってくれた。』
『それは・・・チェギョンがいなくて暇だったから・・』
口ごもるガンヒョンを見ていてチェギョンはガンヒョンに本音察した
『シン君・・・今度ギョン君ちに遊びに連れて行って♪私も一緒ならガンヒョンも行くでしょ?』
『えっ?アンタ勝手なこと言わないで!』
『だって~~ガンヒョンが男の子の誘いに応じるなんて初めてじゃない?』
『チェギョン・・・余計なこと言わなくていいの!』
『くっ・・・あぁそうしよう。来週の休日はギョンの家に遊びに行こう。』
『イ・シン…アンタまで!!』
『やった~~♪』
嬉しそうに微笑むギョンに、それ以上否定の言葉も言えないガンヒョンは俯いて黙々と料理を食べ始めた
食後のデザートを済ませた四人は、それぞれの車に乗ってまた明日バイト先で逢う約束をし帰っていく
シンも見合い当日からあまり遅くまで連れまわすのは良くないと思い、チェギョンを家まで送っていくことにした
いつも送り届ける場所に車が到着した時、シンは後部座席の紙袋の中から何かを取り出すと
チェギョンの膝の上に置いた
『ん?なあに?』
『さっきの店で買った。俺とお揃いのTシャツだ。もちろんサイズは小さい。』
『えっ?お揃い・・・貰っていいの?』
『あぁ。初めてのプレゼントだ。見合いの記念にな・・・くくっ。』
『ありがとう。じゃあシン君・・・また明日。』
『ちょっと待て。家まで送る。』
『あ~だから~ここは道幅が狭いんだって。』
『そこの駐車場に入れてくる。ちょっと待ってろ。』
『えっ?いいのにぃ・・・』
車を駐車場に入れてきたシンは、いつもチェギョンが一人で帰る道を並んで歩く
『もしかして…お前のお父さん、もう帰っているかな?』
『うん。この時間じゃあきっと…帰っていると思う。』
『もしそうならご挨拶していった方がいいだろう?』
『えっ?いいよぉ・・・だってお父さんにも心の準備が~~!』
『いや。挨拶くらいしていくのは当然だろう?なんたって結婚前提の見合いをしたんだぞ。』
『あ・・・そうだった。』
『手土産とか何も買ってこなかったが・・・』
『そんなことされたら恐縮しちゃうよ。』
程なくして二人はシン家の前に到着した
『シン君・・・ここが私の家。狭い家だけどどうぞ。』
『あぁ。』
シンを伴って帰宅したチェギョンは、努めて明るく帰宅の挨拶をした
『ただいま~~♪』
すると家の奥から慌てたような足音が玄関に向かって響くのだった
あはは~~ヒョリンではありませんでした~❤
ん~~昨日の台風の後片付けが大変で
短めだけど許してね。
あ~もぉ・・・
明日画像をお見せしますが
ちょっと悲しい状態ですぅ・・・