数日前に卒業式を無事終えた皇太子夫妻
待ち望んでいた約束の日がやって来た
チェギョンは満面の笑みでシンのいる執務室のドアを開いた
<トントン>
『シン君!ギョン言とガンヒョンが迎えに来たよ~♪』
『あぁそうか。チェギョン・・・荷物の準備はできたのか?』
『もちろん~♪てか・・・シン君がジーンズ穿いているなんてなんか新鮮~♪でもシン君が穿くと
ジーンズも若干短め?』
『仕方ないだろう?標準が短すぎるんだ。』
『シン君・・・世間の男子がそれを聞いたら、怒っちゃうよ~!じゃあ行こう。シン君の荷物は?』
『ソファーの上だ。』
『よいしょっと♪』
チェギョンは自分とシンのカバンを両手に提げると執務室から出ていこうとする
チェギョンのそんな様子に呆れ果てた顔で、シンはその荷物を取り上げた
『お前は俺の荷物持ちじゃないんだ。少しはカッコつけさせろ。』
『えへっ♪』
シンに荷物を持ってもらい、チェギョンは嬉しそうにシンの後を小走りしながらエントランスに向かっていった
東宮の車止めにはギョンの車が横付けされており、その運転席の窓を開けギョンは手を振った
『よぉ!シン・・・』
『ギョン・・・俺が運転していこうか?』
『ばっ・・・馬鹿言うな!』
『俺も運転には慣れている。』
『慣れているって言っても・・・宮殿の敷地内だろ?俺は公道を知り尽くしているんだ。
さぁ乗って。皇太子夫妻♪』
『あぁ。遠距離なのにすまない。』
車に乗り込もうとした時、コン内官がシンとギョンに話しかけた
『チャン・ギョン様・・・前の車の誘導に従ってください。背後にも護衛の車が付いて参ります。』
シンはそのコン内官の言葉を遮った
『いやコン・・・今回はお忍びだから護衛はいらない。』
『殿下…そうは参りません。よろしいですね?チャン・ギョン様・・・』
『はい。』
宮の護衛がお供するという事態に嫌な顔もせずギョンは車を発進させた
『すまないなギョン・・・折角の旅行なのに・・・』
『いや~いいさ~そんなの予想していたからね。それに・・・≪皇太子夫妻と一緒だ≫と言ったら
俺の親父がSPつけやがったし・・・』
『なんだ。ギョンのところの護衛もいるのか?』
『正確にはチャン家が手配した皇太子夫妻の護衛さ~あはは~♪』
皇室の車に誘導され、前以て決められていたであろうレストランで昼食を摂った四人
食事の席ではとても楽しく過ごしていたが、一歩外に出ればなんとなく監視されている感じは否めない
シンは友人と心置きなく旅行を満喫したいのだが、圧迫感は常に付きまとう
それはやはり皇太子という立場上、どうしようもない事なのだろう
春先の日暮れは早い
陽がそろそろ落ちようという頃、ギョンの運転する車は地方の国営公園に到着した
車から降りた四人は歩きながら日暮れ前の公園に咲いた花を愛でる
『まだ肌寒いのにもうこんなに花の香りが~♪』
『ホント素敵な公園ね。チェギョンがここに来たのは真夏だったのよね?』
『うんそうだよ。ガンヒョン・・・』
シンとギョンは持参したカメラに数えきれないほどのチェギョンとガンヒョンの姿を収め、
護衛とSPが入り乱れる集団に囲まれ公園の奥に足を進めた
その時・・・コン内官とチェ尚宮が四人の元に駆け寄った
『殿下・・・ご所望のソフトクリームです。』
『あぁ、ありがとう。』
コン内官とチェ尚宮は四人それぞれにそれを配り、すぐに姿を消した
『シン君・・・もしかしてこれって、夏に私が進言したから?』
『そうだ。あの後すぐにソフトクリーム売り場が設置されたそうだ。さぁ溶けないうちに食べよう。』
シンがそう言うと他の三人は嬉しそうにソフトクリームを口に運んだ
『お~さすが皇室の運営だけあって、濃厚で美味しいな。』
『ホント・・・こんな美味しいソフトクリーム今まで食べたことないわ。』
チェギョンは満面の笑みを浮かべながらシンに告げた
『シン言~ちゃんとお仕事してるじゃん♪』
『当然だろう?妻の要望には応えないとな。』
暫くその場でソフトクリームを堪能する四人・・・食べ終わった後・再びお目当ての噴水に向かって歩き出す
すると歩く途中にソフトクリームの店舗ができており、そこにはまだ寒い時期だというのに長蛇の列ができていた
『すごい!大盛況だね。』
『チェギョンの先見の明は大したものだな。くくっ・・・』
きっと真夏になれば今よりも客足が伸びるに違いないと予想された
やがて・・・薄暗くなった公園内を歩く四人の目の前に光が見え始めた
『ギョン!!あれじゃないの?』
『あ…本当だ。すげ~なんだかワクワクしてきた。』
ギョンとガンヒョンは興奮し自然と歩く速度が速くなる
『綺麗でしょ~~♪これをガンヒョンに是非見せたかったんだ~♪』
噴水のある場所に出た時・・・その水の勢いによって色が変わるイルミネーションに、
ギョンやガンヒョンばかりでなく護衛している者達も一瞬目を奪われたようだ
もちろん来場者は感嘆の溜息を洩らし、大きな声を上げる
『この世のものとは思えないな・・・』
『ホント・・・なんて綺麗なのかしら・・・』
ギョンとガンヒョンの反応を見て、シンとチェギョンも思わず口元を緩ませた
『やっぱり綺麗だね・・・』
『あぁ綺麗だ。だけどお前の方がもっと綺麗かもな・・・』
『えっ?///もぉっ///ホントお口が上手なんだから~!』
念願だった自分のカメラにライトアップされた噴水と愛するチェギョンの笑顔が収められた
思えば・・・ハリネズミになったチェギョンをずっと見守ってきたガンヒョンと
そんなチェギョンをずっと想い続けたシンの傍にいたギョン
奇しくもその二人が先に交際を始めていたことから、シンの恋を応援してくれた
今ではハリネズミの棘もなりを潜め・・・チェギョンは立派に皇太子妃としてシンを支えている
こうして皇太子夫妻の恋を実らす立役者となったギョンとガンヒョンは、きっと皇族と民間人の枠を超え
生涯ずっと厚い友情で結ばれていくことだろう
<しゅぴーん!><しゅるしゅるしゅるしゅる・・・>
今ではとても懐かしいが、今後チェギョンをシンが怒らせることになった暁には・・・
また可愛い姫は棘を出すかもしれない
二組のカップルたちよ…どうか永遠に幸せであれ
可愛い姫は棘だらけ 完
三カ月にもわたる御礼のお話
楽しんでいただけたでしょうか。
そんなに耐えてゾーンもなく
割とソフトなお話になったかと思います。
えっと・・・今後の事なんですが・・・
にゃふーさんが新しくなるまでは
こそこそとここで書いていこうかと思います。
多分この先は短編ばかりになるかと・・・
現在のファン公開ができなくなった折には
また考えようかと思っています。
なのでそれまでは・・・
お話を移すことは致しません。
面倒なんだもん(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
ひとまず番外編とリクエストいただいたお話を
後日アップさせていただきますね~❤
(ちょっとお時間下さいね。)
にゃふーさんにお越しいただける方もずいぶん減ってしまいました。
このままのにゃふーさんが・・・私はいいんだけどな。
8周年記念のお話にお付き合いいただき
誠にありがとうございました。
感謝申し上げます❤
~星の欠片~ 管理人 ★ eni ★