慣れない訓育に苦心しながらも、日々皇太子妃になるべく成長し続けるチェギョン
あまりにも詰め込み式に行われる訓育に、時にはシンに棘を向ける事さえあった
シンはそんなチェギョンにも慣れたもので、≪八つ当たり≫だと軽く受け流した
そんなある日・・・朝の挨拶の時、皇帝陛下はシンに尋ねた
『太子・・・婚約者の訓育は進んでおるのか?』
『はい。苦戦しておりますが、毎日頑張っております。』
『そうか。チェギョンにはお妃選考会の頃より、なにかと苦労を掛けたのだ。
どうだろう・・・ここはチェギョンにあまり無理をさせずに、婚姻は大学入学後としては・・・。』
陛下からのそんな打診に、間髪を入れずシンは答えた
『陛下・・・それは困ります。折角チェギョンが王族の娘達を束ね始めたのです。
鉄は熱いうちに打てというではありませんか。訓育など婚姻してからでもいくらでも学べます。
いえ・・・むしろ家に帰宅する時間が短縮できる為、訓育もはかどると思うのです。
当初の予定通り・・・婚姻を済ませたいのです。』
皇帝陛下に切々と訴えるシンを冷やかすかのように皇后は言った
『ほぉ・・・チェギョンの入宮がそれほど待ち遠しいという事か?だがなぁ・・・同じ屋根の下に暮らすようになったら
逆に訓育がはかどらないかもしれぬなぁ・・・おほほほほ~♪』
『っつ・・・///いいえ!そんなことは断じてありません。
陛下・・・漸く機が熟したのです。婚姻の延期など・・・どうかお命じにならないでください。』
シンの真剣な訴えに皇帝陛下や皇后・・・そして皇太后は目を細めた
『ははは・・・良いだろう。太子にしてみれば夏の婚姻を心待ちにしていたのだから
延期など考えられないだろう。そうだな。婚姻してからでも訓育は続けられる。
生涯が学びの連続のようなものだからな。では婚姻は予定通り二人が夏休みに入った頃に行うこととする、
早急に日取りを決めるので、そうチェギョンに伝えておきなさい。』
『はい。そう致します陛下。』
その日シンは、朝チェギョンを迎えに行った時からとても機嫌のいい様子だった
そんなシンを不思議に思ったチェギョンは、思わず問い掛けてしまった
『シン君・・・今日は一体どうしたの?何かいいことでもあった?』
『あぁ?あぁ・・・まぁな。』
『なんだか顔がとても嬉しそうだよ。何があったの?』
『夜・・・東宮で報告する。』
『えっ?今じゃあダメなの?』
『あぁ、夜訓育が終わるまでのお楽しみにしておく。』
『え~~~っ・・・なぜそんなに勿体つけるぅ~~!』
『それほど俺にとって喜ばしいことだからだ。』
『ふ~~ん・・・』
シンのその様子がなんだか気になって仕方がないチェギョンだったが、それを追及するには
登校時間はあまりに短く・・・言われた通り夜まで辛抱することにしたチェギョン
その日・・・訓育の時間が終わり、シンと食事を共にしている時・・・我慢できずにチェギョンは問い詰めた
『ねえ~シン君、今朝言っていた話は一体何だったの?』
『あぁ・・・それか?婚礼の儀の日取りが決まったんだ。』
『えっ?私にも関係する話じゃん。早く教えてくれたらよかったのにぃ~~!』
『いや…今朝の時点ではまだ日取りは決まっていなかった。先程本殿から連絡が来たんだ。』
『一体・・・いつ?』
『夏休みに入って最初の日曜日だ。』
『そんなに早いの?』
『あぁ。不満か?』
『いや・・・そんなことないけど・・・』
『近々、一度お前のご両親に挨拶に行かないとな。』
『あ~うん。そうだね。やはりそれが常識ってもんだし。でもお父さん泣くかもよ。』
『泣かれるのは辛いな・・・』
『まぁ仕方ないでしょう。』
いよいよ近づいてきた婚姻・・・二人は気持ちも新たに、互いを近い未来の伴侶だと認識した
その翌日・・・東宮からチェギョンが帰宅する時、シンはチェギョンと共に車に乗り込んだ
『あれ?シン君・・・どうしたの?』
『早いうちにご両親に挨拶しなきゃと思ってな。』
『あ~そっか。』
思えば皇室からの伝達はキム内官がすべて行っており、シン自身はまだチェギョンの家にさえ入ったことが
なかったのだ
『少し緊張する。』
『えっ?シン君が緊張するなんて・・・あはは~珍しい。』
『俺だって普通の人間だ。』
『普通じゃないから~』
『これでも普通だ。』
チェギョンにとっては民間人とは全く異なる世界に生きてきたシン・・・だが今や一番身近な存在のシンが
緊張する姿など非常に珍しく感じたのだ
『ほらほら~緊張を解して~♪』
そういいながらシンの左手をポンポン叩くと、シンはその手をぎゅっと握り締めた
普段は冷たい位のシンの掌が汗ばんでいるのを知ったチェギョンは、くすっと笑いかけた
『大丈夫だよシン君。そんなに緊張しなくても・・・』
『そうだな。お前のご両親だしな・・・』
婚約発表から少し時間が経ち、以前より静かになったシン家の周辺・・・
だが夜だというのに未だにチェギョンの帰宅を待ち構えている民間人もいる
イギサ達はいつも以上に警戒を強め、車から降りてきた人物が見えない様ガードする
しかしイギサより背の高いシンは、たとえ夜でもやはり目立ってしまうようだ
『えっ?皇太子殿下が一緒じゃないの?』
『きゃ~~っ❤写真撮っちゃおう♪』
もちろんイギサは写真を撮られない様にシンをガードする
そんな騒ぎの中シン家に入って行ったシン・・・
もちろん両親はシンが来ることを前以て連絡を受けていたため、すぐに玄関に駆け付けた
『あ・・・皇太子殿下。いらっしゃいませ。』
『むさくるしい家ですがどうぞおあがりください。』
『こんな時間に申し訳ありません。失礼いたします。』
リビングに通されたシンは、二人に向かって深々と頭を下げた
シンが人にこんな風に頭を下げたのは、生まれて初めての経験である
『初めまして。イ・シンと申します。ご挨拶がずいぶん遅くなって申し訳ありません。』
『いいえ。キム内官様がいつも訪ねてくださっていますから・・・』
『それにしても当の私が来るべき問題なのに・・・申し訳ありません。
この度婚礼の日取りが決定いたしました。』
『はい。キム内官様からお話は伺っております。』
『チェギョンを皇室に嫁がせることをお許しいただきありがとうございます。』
『いえいえ・・・昔からどこか覚悟をしていたような気がしますから・・・』
『改めてお願いいたします。チェギョンを私にください。人と違った苦労を掛けてしまうかもしれません。
ですが必ず幸せにいたします。』
真摯なシンのその言葉にスンレは胸を打たれたように言う
『ええ。三歳の頃の想いを貫いた皇太子殿下ですもの…きっとチェギョンを幸せにしてくれると信じています。』
『私も・・・大事にしてくれると信じます。』
ナムギルはやはり目に涙を溜めていた
『はい。必ずお約束します。ありがとうございます。感謝します。』
深々と頭を下げ合うシンと両親・・・その様子を見ていたチェギョンは、いよいよ入宮する日が近づいてきたのだと
実感し…身の引き締まる思いだった
そうして学校は一学期の終業式を迎え・・・二人は夏休みに突入した
婚礼の儀式は・・・もうすぐ・・・
シンの15年揺らがなかった想いは実を結ぶ
えっと~にゃふーブログが
β版に変わった時・・・
現在ファン公開の記事って
一般公開されちゃうんでしょうか?
もしそうなら・・・お話全般を非公開にしなきゃならない書庫もあるし
すんご~~く困っちゃうのよね。
誰か詳しい方~教えていただけませんか?