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Channel: ~星の欠片~
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可愛い姫は棘だらけ 18

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東宮に向かう車の中・・・普段しているシートに寝転ぶことができないチェギョンは、身体を折り曲げ

後部座席の窓から姿が見えない様に振る舞っていた

そんなチェギョンを見たユルは、不思議層に問い掛けた

『チェギョン・・・一体何をしているの?』
『えっ?あ・・・うん、ちょっとね・・・』

理由を言えばきっとユルは更なる苦言を呈すに違いないと思ったチェギョンは、

言葉を濁して車が東宮に到着するまでじっと耐えた

だが・・・そんなことはユルもお見通しだったらしい



東宮車止めに車が到着した時、シンは珍しく玄関まで出迎えに来ていた

もちろんイギサは警戒態勢で、その車からどんな客が降りるのか見えない様しっかりガードしていた

『ユル・・・』

不自由そうに足を庇うユルに、シンはすまなそうな表情で声を掛けた

『シン・・・だから・・・』
『ここで話すことではない。食事を用意している。食事をしながら話そう。』
『うん。』
『さぁチェギョンも一緒に・・・』
『うん!』

シンとチェギョンは、負傷したユルを労わりながら食堂に入って行った

当然のように並んで腰かけるシンとチェギョン・・・その向かいの席にユルは腰を下ろした

『ユル・・・チェギョンを庇ってくれてありがとう。』
『別にシンの為にしたことじゃない。このままじゃあまりにチェギョンが可哀想だからね。
ねえシン・・・今回の件、どう考えている?これでもまだチェギョンを皇太子妃にするつもり?』
『俺の気持ちは変わらない。』
『じゃあ・・・残った候補者を調べて、三次選考会の時みたいに罰するの?』
『あぁもちろんだ。』
『シン・・・そんなことをしていたら、王族がいなくなっちゃうだろ?現にお妃候補に選ばれた娘たちは
王族の中でも力を持った家の者ばかりだよ。全部排除したら・・・力の弱い者しか残らない。
それがわかっている筈だろう?お前が皇帝になる時・・・誰が後押ししてくれると思ってるの?』
『ここにいるチェギョンが・・・力になってくれる。』
『チェギョン?確かにチェギョンはしっかり者で一般的に見たらとてもいいお嬢さんだと思うよ。
でも皇太子妃となれば話は別!』
『ユル・・・』
『とにかくよく話し合うことだね。これ以上チェギョンを不幸にしないためにも・・・
東宮に来るのに隠れるようにしてくるような、可哀想な真似させるな!
じゃあ僕は失礼するよ。ご馳走様・・・』

ユルは席を立ちあがると、イギサに送られて帰って行った

砂を嚙むような思いで何とか食事を終えた二人・・・

その後、食堂を出てシンの部屋に向かった

部屋に入るなり、シンはソファーに腰掛け頭を抱えたまま考え込んでしまう

チェギョンはそんな様子を、何も言わずに見守っていた

シンの自室に・・・暫く無音の時が流れた

漸く顔を上げたシンは、チェギョンから目を逸らしポツリと呟いた

『チェギョン・・・あんなに約束したのに、俺のせいでまた危険な目に遭わせてしまって本当にすまない。
よく考えてみた。ユルの言葉も真剣に考えた。お前を・・・諦め・・・』

シンの苦悶の表情を見て、そこまで話を聞いた時・・・チェギョンの棘が起き上がり始めた

<しゅぴーん!>
『ふ~~ん・・・シン君の3歳からの想いは・・・その程度だったんだ。』
<しゅぴしゅぴしゅぴーん!!>
『こんなに振り回しておいて、今更諦めるって?』
<しゅぴしゅぴしゅぴしゅぴしゅぴーーーーん!!!>
『だったらもうやめよ。私、帰る!』

全身棘だらけになってしまったチェギョンは、シンを睨みつけ立ち上がった

『待ってくれチェギョン・・・』
『今更なによ!折角覚悟が決まったことを話そうと思ったのに・・・シン君は人の足を引っ張って
私に事故を起こさせようとしたうちの誰かを妃に選ぶんだ。ふ~~ん!
そんなヘタレの旦那、私はいらない。もう帰る!』

立ち上がり背を向けたチェギョンを、シンは思いきり抱き締めた

『違う!このまま俺が我儘を通せば、今度こそお前を失ってしまう気がして…怖くなったんだ。』
『ふ~~ん、ビビりなんだ~~!だったらもういっそのこと、私に力を与えては?』
『力を…与える?』
『皇太子の婚約者となれば、そう易々と手出しはできないでしょう?警護もしっかりしてくれるし。』
『・・・つまり・・・婚姻を承諾してくれるという事か?』
『さっきからそのつもりだと言ってるけど?』
『こんな目に遭って・・・それでも覚悟を決めてくれるのか?』
『嫌ならいいよ!』
『嫌なはずないだろう?俺が望んだことだ・・・。本当に婚姻を承諾してくれるのか?』
『しつこいなぁ~もうこれ以上確認したら家に帰るよ!』
『いや・・・もう承認の言葉は受け取った。だからもう・・・怒るな。』
『シン君ももう迷わないで!私は・・・自分の命を狙った人とこの先お付き合いなんかできないからね!』
『あぁもちろんだ。必ず犯人を捕まえて罰する。約束する。だからその前に婚約発表をしないと・・・』
『うん。私の気が変わらないうちにしてね。』
『あぁ。チェギョンはこのままここで待っていてくれ。俺は皇帝陛下の元に行ってくる。』
『うん。』

背後から覗き込む様にシンの唇はチェギョンの頬に優しく振れた

<しゅるしゅるしゅるしゅる・・・>

頬へのキスひとつで機嫌が直るなんて単純だと思われるだろうが、今まで機会を逃していた

結婚の承認が漸くできてチェギョンは安堵する

チェギョンはシンの部屋でシンが戻って来るのを待ちながら、犯人について考えていた

(あ~~自転車置き場に監視カメラなんてものはないし・・・
そうだ!かかってきた電話!職員室に履歴が残っているかも。
さて~王族のお嬢さん達・・・この私を甘く見たのが間違いだったね。
一度ならず二度までも・・・絶対に許さないんだからね~~!)

たとえ婚約発表をして無事婚姻をしても、こんな悪質極まりない事故を企むような者が傍にいるのでは

チェギョンは安心できない

(絶対に許すもんか!)
<しゅぴーん!>

見えない犯人に向けてチェギョンの棘は、総立ちするのだった



イメージ 1

ごめんね~ちょっとお疲れが残ってて
短めだけど許しておくれ~~!

前記事の御返事は、明日させていただきます。
あ・・・音が聴こえないと書いていかれた鍵コメさん
もしかしたらミュート(消音)になっていませんか?
確認してください~~★



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