緊張と興奮の一日を終え自宅に帰った私たち家族・・・
着替えもせずリビングのソファーに腰掛けるなり、示し合わせたような溜息が一斉に漏れた
『『『はぁ~~~・・・・』』』
そしてその後静寂が訪れた
いつもピョルが座っていた席は・・・ぽっかりと空席になり、皆その場所を見つめては其々の胸に寂しさを募らせる
あまりにも静かすぎるリビングに耐えられなくなった私は、つい言ってしまう
『綺麗だったわね・・・ピョル。』
すると夫がすぐに答えた
『ああ本当に・・・まるで天女のようだった。』
目を細めた夫は眼鏡を外すと目頭を押さえたわ
あぁ・・・また皆が沈んでしまう
私は思い切ってその気まずい雰囲気を払拭しよと試みる
『さぁみんな、メイドさんが食事の用意をしてくれましたからね、着替えてきてお食事にしましょう。』
一斉にソファーから立ち上がった家族・・・いち早く動いたのはチェギョンさんだった
やはり主婦の自覚が強いのかも・・・
みんなが自室に引き上げた後、私は夫と共に寝室に向かった
着替えながら夫は私に言う
『シンは相当堪えているようだな。』
『そうですね。でも早く慣れなくっちゃ・・・』
ピョルがいないことに慣れるには時間が必要よ
それだけ大きな存在だったんだもの・・・
確かにハヌルやウォルも可愛い孫よ。でもピョルは特別なの・・・きっとそれと同じ気持ちをシンは抱いているのね
着替えを済ませピョルのいないダイニングテーブルの席に着いた時・・・ピョルは帰宅が遅かったから
いつも通りの夕食風景の筈なのに箸が進まないの
普段の半分も手を付けないまま、シンは席を立ってしまったわ
『ご馳走様。』
『あら・・・シン、もう食べないの?』
『あ?あぁ。もう入らない。少し・・・出掛けて来る。』
出掛ける?一体どこへ?なんて聞くまでもないわね・・・
そんなシンの気持ちを察したのかチェギョンさんも席を立ったわ
『お義母様、私も買い忘れたものがあって・・・シン君に付き合って貰ってきます。いいですか?』
『ええ構わないわ。行ってらっしゃい。』
そうよチェギョンさん…今はあなたが一緒にいてあげるのがいいわ
シンはすごく憔悴している筈だもの・・・
そして思った通りシンはピョルの新居を眺めに行ったのね
帰宅したチェギョンさんがちゃんと報告してくれたわ
『お義母様・・・ピョルは新婚生活を楽しんでいるようでした。外にまで二人の笑い声が聞こえてきました。』
『そう。良かったわ。シンは大丈夫かしら。』
『時間が必要かもしれませんね。』
『そうね・・・』
正直言ってしまうと、それは私にも言える事・・・ピョルと一卵性祖母孫として生きた16年は楽しすぎたわ
その後・・・テヤン君は週末になると仕事の終わったピョルと一緒に、必ず我が家を訪問してくれるようになったわ
したがって一緒に食事をしたい私達は、週末だけは夕食の時間を遅くしたのよ
ピョルはまだ料理のレパートリーが少ないようで、我が家にやって来ると残ったおかずを
持ち帰るようになったの
ピョル溺愛の私はピョルの持ち帰り用に多めにおかずを作ったりなんかもしてね~おほほほほ~♪
でも・・・我が家には毎週訪れるけど、ハン家には顔を出しているのかしら?
心配になった私はテヤン君に聞いてみたの
『テヤン君・・・ご実家にもちゃんと顔を出しているの?』
『はい。月に二度ほど、ピョルが仕事を抜けて、実家に顔を出すようにしています。』
『あら!うちには毎週来ているのにご実家には月に二回だけ?』
『はい。兄が結婚でもしたら頻繁に顔を出すつもりです。』
あ~そうだったわ。お兄さんのお嫁さんね・・・難しすぎてね~~~
いいなと思うお嬢さんはまだ未成年だったりで、釣り合うお相手がいないのよ~~!
だから私は、テヤン君とピョルが結婚してから三カ月が過ぎようとしても・・・紹介ができないままなの
・・・話題を変えましょう
『テヤン君、二人は忙しくて新婚旅行にも行っていないけど、早く行かないと行けなくなってしまうわよ。』
『そうは思っているんですが、なかなかタイミングが合わなくて・・・』
お休みの日も違う二人ですものね・・・難しいかもしれないわね
でも~シンとチェギョンさんだって二泊三日と短かかったけれど、新婚旅行に行ったのよ
まぁ・・・これは内緒の話だけど、テヤン君とピョルは年に一度一泊旅行をしてきたもの
全く思い出がないわけでもないわね
ピョルは結婚して益々綺麗になったわ
仕事と家庭を両立をしているピョルは、移動時間がない為か忙しいにも拘わらず
少しふっくらしてきたみたい
今までがモデルさんのように痩せすぎだったの。少しふっくらしたくらいの方が健康的でいいわ~♪
なんて思っていたらその翌週・・・我が家を訪ねたピョルから突然の発表があったの
『みなさん~聞いてください。私・・・お母さんになります♪』
『なっなにっ?そっ・・・そうか。』
シンは動揺しながらも嬉しそう
『まぁ~ピョル・・・おめでとう。』
とても嬉しいわピョル
『良かったわねピョル。早速職場の皆さんに報告して、助けて貰うのよ。
困ったことがあったらすぐにママがいくわ。』
『ありがとうママ。』
テヤン君も嬉しそうに始終口角を上げている
夫はそんなテヤン君に問い掛けた
『テヤン君・・・どちらが生まれるんだね?』
『あ・・・グランパ、それはまだわかりません。』
まったく・・・夫は何をピントのズレたことを聞いているのよ
『ウォル・・・俺達おじちゃんだって・・・』
『兄貴は高校生でおじちゃんだろ~俺なんて中学生だよ。でもまっいいか~♪』
ハヌルとウォルも興奮して顔を上気させたわ
ピョルは家族一人一人の顔を見ながら宣言する
『みなさん・・・産後一カ月は実家のお世話になってもいいですか?もちろんテヤン君と赤ちゃんも一緒に・・・』
『あぁ。そうしなさい。』
シンの答えが家族の総意よ
私は少し疑問に思ってチェギョンさんに小声で問い掛けたの
『チェギョンさん・・・ピョルが生まれた時、あなたは一カ月休めたの?』
『くすっ・・・お義母様、それはありませんでした。でもお店の奥の部屋に常に誰かがいて、
ピョルを見ていてくれました。』
『そう。ゆっくり休むこともできなかったのね・・・』
当然といえば当然ね。シングルマザーでピョルを産んで、あの店を切り盛りしなきゃならなかったんだもの
産後とは言え床に着いている暇なんかなかったわね
今更ながらに思うわ
チェギョンさんがどれだけピョルを大事に育ててくれたのかが・・・
そんなことを思い、切ない気持ちでチェギョンさんを見つめていたた時・・・
長男のハヌルがいきなりの爆弾宣言をしたの
『え~~実は、俺・・・彼女ができました。一緒に勉強することが多いので家に連れてくる機会が増えます♪』
『『おぉ~~~っ』』
最愛のピョルが新しい命を宿した時・・・ハヌルは我が家に新しい風を運んでくるという
ピョルの陽の当たる場所は新居になってしまったけれど、きっとこれからも我が家は
お日様が燦燦と当たる幸せな場所に違いないわ
あらやだ・・・グランマの名称をチェギョンさんに譲らないとダメかしら?
いやいや・・・グランマは絶対に譲ってあげないわ~おほほほほ♪
長きにわたって私の≪壁に耳あり障子に目あり≫の呟きに、お付き合いいただいてありがとう~♪
またいつかお逢いしましょうね~♪
グランマ 完
陽の当たる場所からグランマまで
随分お話が長くなってしまいましたが
お付き合いくださった皆様
どうもありがとうございました❤
8周年記念のお話が始まる前に
リニュ終わるかと思ったけど・・・お終わりませんでしたね~!
仕方ない・・・ひとまずこのまま
記念のお話を水曜から
更新させていただきますね~★
本当にありがとうございました。
ご訪問に感謝いたします。
またこれからもお付き合いいただけることを願って❤
~星の欠片~ 管理人 ★ emi ★