私とハン家の奥様のランチが再開されて少し経った頃、ピョルはまたハン家に遊びに行ったみたい
その日帰宅したピョルは、私とチェギョンさんの元に息を切らしてやってきたわ
『グランマ・ママ・・・聞いて!!』
『なあに?ピョル・・・』
『一体どうしたの?そんなに慌てて・・・』
慌てているとはいっても、以前ミン・ヒョリンの事を報告に来たような顔色ではなく・・・興奮した状態だったの
『今日、テヤン君の家に行ったんです。』
まぁお付き合いしているんだから、遊びに行ってもおかしくないわね・・・
『テヤン君がパパに呼び出されてからずっと、家に来いって言われなかったのに・・・
今日は課題に必要な資料がテヤン君の家にはあるからって、連れて行かれて・・・』
『そうだったの。』
『それで?』
せっかちな私はつい急かすような言葉を言ってしまうのよ。おほほほほ♪
『テヤン君の部屋で勉強していたら・・・おばさんが来たんですよぉ~~~!』
おばさんとは・・・つまりハン家のお嫁さんね
私とチェギョンさんは真剣な顔で相槌打ちながら、次の言葉を待った
『驚いたことにケーキとお茶を持って~~~!』
『まぁ・・・それは良かったじゃない。』
『ちゃんとお礼を言ったの?』
『お礼・・・言ったよぉ。でも今までお茶だって出されたことがなかったんだよ。
私だけじゃなくテヤン君もびっくりで~~!』
ピョル・・・お茶も出して貰えなかったの?なのにケーキとお茶?それは驚くでしょうね・・・
ピョルは更に話を続けた
『しかも・・・なんだか形の崩れたケーキで・・・テヤン君なんか≪不味そう・・・≫なんていきなりいうから
私が先にいただいちゃったんです。でも手作りだったみたいで・・・』
『まぁ・・・そうなの。それで・・・お味はどうだったの?』
老婆心ながら聞かずにはいられないのよね~~♪
『あ~グランマやママが焼いてくれるみたいな、綺麗なケーキではなかったけど
お味は一生懸命作ったってすごく感じられて・・・私、≪美味しいです♪≫って
お世辞じゃなくて正直な気持ちを言ったんです。
そうしたらおばさん・・・・今まで見たこともないような笑顔になって・・・びっくりしちゃいました。
今まで笑顔なんかテヤン君が帰国した時にしか見たことがなかったから。
テヤン君も私に釣られて渋々食べて≪ん~~形はともかく味はいいんじゃね?≫って言ったら
もうおばさん・・・顔をくしゃくしゃにして嬉しそうに去っていきましたよぉ。
帰る時におばさんに≪ケーキ美味しかったです。ご馳走様でした。≫って言ったら
≪ピョルちゃん…次はもっと上手になっておくからね♪≫っていうんですよぉ。
おばさん・・・一体どうしちゃったんでしょう・・・』
あらあら・・・ハン家の奥様の作戦が効いているみたいね
ピョルにこんなにも優しくなれるなんて・・・おほほほほ~~良かったわ♪
『そう、ピョル良かったわね~♪きっとあなたがいい子だって認めてくれたのよ。』
『そうねピョル。これからもテヤン君のお母さんには、ちゃんと礼儀を尽くすのよ。』
『もちろん~~♪ママ・・・私はママの娘だもん♪』
ついでに言っちゃうとグランマの大事な孫娘よ~~♪
こうしてピョルからも優しい言葉を掛けて貰えれば、ハン家のお嫁さんはもっと優しい人になれるはず
私はそう信じているわ
その後ハン家の奥様とのランチも楽しく続けている私
そんな折にもハン家の奥様から、お嫁さんを褒める言葉が出るようになって私は益々安堵したわ
そしてピョルもそろそろ進路を決定しようという頃のことだった
家族揃っての夕食時・・・いきなりシンがピョルに質問を投げかけたの
『ところでピョル・・・大学はどうするつもりだ?』
『パパ・・・このまま上の大学に進もうと思っているよ♪
将来は・・・ママのお店を継ぎたいって考えているんだ~♪』
『ママの店を?』
『うん~~♪』
『うちの会社には・・・入らないつもりなのか?』
『えっ?グランパの会社?』
あらやだ・・・主人もシンと同じ考えみたい
主人はピョルをじっと見つめて口角を上げ頷いているわ
『あぁそうだ。』
『ん~~でも小さい頃から、ママと一緒にあの店でお仕事したいって思っていたからな~♪
大学で美術品を見る目を養ったら、仕入れにも行けるし~♪』
『ピョル・・・商売はそんなに甘いものじゃない。』
シンは一体何を言おうとしているのかしら・・・
シンのそんな言葉を聞いて、チェギョンさんは黙っていられなくなったみたい
『シン君・・・私は美大じゃなくて普通の大学だったけど、何とかあの店を切り盛りできたのよ。
ピョルが大学で美術を専攻して何れあの店を継いでくれたら、こんなに心強いことはないわ。』
『いや…ピョルには会社に入って、経営に携わってほしいと願ってる。』
チェギョンさんは私とピョルに言われて思い出した言葉を、主人に言ったわ
『お義父様・・・確か昔、私はピョルには店を譲るので財産争いのトラブルにはならないとお話しました。』
『いやチェギョンさん・・・それはピョルを自分の孫と知らなかった時の話で、
今はもちろん三人均等に権利があると考えているのだよ。』
『そのお気持ちはありがたいのですが・・・』
あ~なんだかピョルの進路をめぐって話がおかしな方向に流れそうだわ
このままじゃあ・・・家族中が喧嘩になってしまう
ここは私の出番ね
『あなたもシンも・・・ピョルの気持ちが一番だとは思わないんですか?
ピョルは進路を決める前からあのお店を継ぎたいって、私とチェギョンさんに話していましたわ。
幼い頃からずっといた場所です。あの場所で頑張りたいと思うピョルの気持ちを汲んでやってくださいな。』
『ですが母さん・・・ピョルにはそのまま同系大学に行かず、経営学を学ぶ為に
他の大学を受験させたいんです。』
あ・・・わかった!!
シンの心の奥に潜んでいる本心は、他の大学に行かせてピョルとテヤン君を引き離すつもりなんだわ
なんて姑息な・・・
ここは断固としてピョルの希望を叶えてあげなくちゃ
『私は反対です。そのまま同系大学に進んだらいいのよ。チェギョンさんもそう思うでしょう?』
『ええ。私もそう思いますわお義母様・・・』
『ピョル・・・はっきり言ってあげなさい。自分の気持ちをはっきりさせないと、後で面倒なことになるわよ。』
『グランパ・パパ・・・私はこのまま同系大学に進みたいです。もしダメだって言ったら・・・』
言葉に詰まってしまったピョル
チェギョンさんはすぐに助け船を出した
『大丈夫よ。ピョルの進学資金くらいママがなんとかできるわ。』
『あら~グランマだってそのくらいへっちゃらよ~♪
とにかくあなたもシンもこれ以上ピョルの進路について口を挟むつもりなら、
今度こそ本当にシン家に引っ越しますからね!その覚悟がおありでしたらいくらでも反対なさってくださいな!』
主人もシンも黙ってしまったわ
その晩・・・私は主人から、話を聞くことができた
『母さん・・・シンがどうしてもピョルは会社に必要な人材だというんだよ。
私も確かに会社にピョルがいたら、会社が楽しくて仕方がないだろうし・・・』
やっぱりシンの差し金だったのね
『でもあなた・・・ピョルの気持ちはどうなるんです?あの子は幼い頃からチェギョンさんの背中を見て育った。
その母と同じ道を歩みたいというピョルの想いを、後から孫だと知った不甲斐ない私達は
応援するべきじゃないんですか?』
『ああ。確かにその通りだ。だがシンの決意は固そうだ。』
いくらシンの決意が固くても一番大事なのはピョルの気持ちよ
ひょっとしたら・・・今回ばかりは私も一緒にシン家に転がり込む覚悟が必要かもね
そうまでしても・・・ピョルの夢は叶えなくっちゃ
それがグランマである私の使命よ・・・頑張るわ!!
まったく・・・シン君ったらしょうもない
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
しかしすごい風ですね。
ハウスが心配で仕方がない管理人です。