第二子誕生の喜びを噛みしめながらイ家に戻ったシンは、まずピョルを探した
『ピョル~!どこだ?』
『あっパパ~お帰りなさ~~い♪』
もうすっかり入浴も済ませたピョルは、パジャマ姿でリビングに顔を出した
『もう休むのか?』
『はいぃ~。グランパやグランマと一緒に寝るんですぅ~♪』
『ピョル・・・今日はパパと一緒に寝よう。』
『えっ!』
『パパと一緒じゃ・・・嫌なのか?』
『嫌じゃないけどぉ・・・。パパにグランパとグランマを説得できますかぁ?』
見るとピョルの背後ではミンとヒョンが抗議の視線を向けていた
『父さん母さん・・・ピョルはすぐに思春期に入るんです。今のうちしか・・・一緒になんか寝て貰えないんです。
今夜は私に譲ってください。』
黙って首を横に振るミンとヒョン
こんな時だけは非常に良く気の合う夫婦だ
そしてすぐ反撃に出る
『シン・・・もう少ししか一緒に寝てくれないのなら、それは私達も同じでしょう?絶対に譲りません!』
『そうだともシン・・・譲ってなるものか!』
『じゃあピョルに聞いてみましょう。ピョルは・・・誰と一緒に寝たい?』
こんな大人の勝手な都合に、困り果ててしまうのはピョルだ
『えっ?そ・・・それは・・・・』
暫く考えた挙句、ピョルは満面の笑みでミンとヒョンの前に立った
『グランパ・グランマ・・・パパは今日ママがいないからすごく寂しいんです。
だから今夜はパパと寝てあげることにしますぅ。でも明日はグランパとグランマのお部屋で寝ますぅ。
交代・・・でいいですかぁ?』
たった10歳の少女が、大人に気を遣って出した提案・・・普通の家族だったらいざ知らず、
まだ祖母孫としての関係が一年しか経っていないミンは、ピョルに対してすまない気持ちになる
『・・・そうね、ピョルちゃんの言う通りだわ。今日はシンに譲りましょう。
さぁあなた・・・お部屋に行くわよ。』
『なにっ?・・・あ・・・ああそうしよう。』
シンに対して譲ったわけではない。間に挟まれて気を遣っているピョルにすまなく思ったのだ
(まったく・・・できた子だわ。)
ピョルの寝顔を眺めながら久し振りに眠れると思っていたミンとヒョンは、その晩いつまでも天井を見つめ
交互に溜息を吐いたそうだ
翌朝・・・シンは早めにピョルをマンションまで送り、ヒョンも出社した後・・・ミンはメイドに家の事を任せ
チェギョンの店に向かった
スタッフの人数や古株のスタッフの名前はピョルから聞いていた
途中人数分の昼食を用意し、意気揚々とミンは店の中に入って行く
『皆さん~こんにちは~♪』
『あ・・・イ家のマダムじゃないですか。この度はご出産おめでとうございます。』
『おほほほ~~ありがとうございますぅ~♪あ・・・それでね、
チェギョンさんがいないと昼食が大変だろうと思いまして持ってきたんですの。
皆さんで召し上がってくださいね~♪』
ミンが両手に提げている紙袋を見つめ、一番古株で責任者を任されているチェは恐縮した面持ちだ
『マダム・・・ご心配いただきありがとうございます。
私どもにまでお気遣いいただき恐縮です。でも明日からは、私がオーナーの代わりに食事の支度をしますので
どうぞご安心ください。』
『まぁ~そうなの?』
『ええ。以前もオーナーが出張中などは、私が任されておりました。』
『ではあなたが責任者を任されているチェさんね?』
『はい。ここで一番の古株になります。オーナーには産後一カ月はしっかり休んでいただけるよう
ちゃんと打ち合わせしておりますので・・・』
『そう。あなたのような方がいてくれたらチェギョンさんも安心だわ。今日のところはこれを召し上がってね。
ではごきげんよう~♪』
『はい。ご馳走様です。』
大量の料理の入った紙袋をミンはチェに手渡し、満面の笑みで去っていった
(さてと・・・昨日の片づけをして、病院に行かなくちゃ・・・)
ミンはチェギョンから預かっている合鍵でマンションに入ると、片付けと自分の昼食を済ませ
それからチェギョンと昨晩生まれたばかりの孫のいる病院へと向かった
『チェギョンさ~~ん♪』
もし赤ん坊がその部屋にいて眠っていたとしたら起こしてはいけないと、ミンは静かに扉を開け静かに声を掛けた
『お義母様!』
『あら・・・赤ちゃんはいないの?』
『ええ。今沐浴しているところなんです♪』
『そうだったの。そっと入ってきて損したわ~おほほほほ~♪』
『ピョルはちゃんと学校に行きましたか?』
『ええ、昨日はシンと一緒に寝てあげたのよ。今朝も朝ご飯しっかり食べて出かけたわ。
夕方マンションでピョルちゃんの帰りを待って、イ家に連れて帰るわね。』
『色々面倒かけてすみません。』
『何を言っているの!このくらい当然のことでしょう?ところで体調はどう?』
『はい。おかげさまで大丈夫です。』
『逆子だったからかなり大変だった筈よ。産後一カ月はちゃんと休まないとね。うちに来て頂戴ね。』
『甘えてしまっていいんですか?』
『ええ。甘えついでにそのままず~~~っとうちで暮らしてもよくってよ。おほほほほ~♪』
ミンお本音がつい出てしまったようだ
『あの・・・お義母様・・・新しいお部屋を作ったと聞きましたが・・・』
『あ~~やだわ。シンったら喋っちゃったの?』
『あ・・いえ、お義母様のご友人がお店に以前来られて、そんな事を言ってらしたんです。』
『ええ。何れの為にちょっとね。ピョルちゃんと赤ちゃんとまだ生まれるかもしれないでしょう?
三つほど部屋を増築したのよ。おほほほほ~~♪
今すぐにってことじゃないのよ。いつかね・・・一緒に住めたらいいなって思っているのよ。』
あくまで低姿勢のミンにチェギョンは思わず微笑んだ
『シン君とよく相談してみます。ひとまずピョルが小学校を卒業するまでは、今の住まいの方が
通学するのに楽だと思うんです。前向きに同居・・・考えてみます。』
『ま…んまぁ~♪そうなの?嬉しいわ~~♪あ・・・でもピョルちゃんが小学校を卒業するまでは
私がお手伝いに来ますからね。だって・・・赤ちゃんの面倒だって見たいし・・・』
『あ~でもお義母様、ピョルの時も面倒を見ながら仕事していましたから・・・』
『チェギョンさん・・・10年前とは違うでしょう?今はあなた一人じゃないのよ。
甘えられるところはどうか甘えて頂戴。』
『くすっ・・・そうでしたね。はい。そう致します。』
二年半したら同居できそうだと聞いて、非常に気を良くしたミンはその後しばらく病室に滞在し
赤ん坊と十分なスキンシップを取った
そしてピョルが帰宅する時間・・・満面の笑みで病室を去っていった
夜になって・・・会社を退社したシンが病室を訪れた
『チェギョン・・・具合はどうだ?』
『あ・・・シン君♪とっても元気よ。』
『顔色もとてもいいし元気そうでよかった。ところで・・・』
シンはきょろきょろと病室内を見渡した
『赤ん坊は?』
『くすっ・・・ここは夜、新生児室に行くのよ。母体を休ませようという病院側の配慮ね。』
『っつ・・・そうなのか。抱かせては貰えないのか?』
『う~~んどうだろう。頼んでみる?』
『あぁ。後で頼んでみよう。』
『あ・・・今日お義母様が来てくださったのよ。』
『なにっ?』
『しばらく赤ちゃんをあやしていたわ。ピョルを連れてもう家に戻っている筈よ。』
『そうか。母さんはいいな。好きな時間に面会に来られて・・・』
『そんなこと言わないの。あ~そうだわ。イ家への同居の件なんだけど・・・』
『なにっ?母さんから催促を受けたのか?』
『いいえ。私から問い掛けたの。子供部屋が三つもあるそうよ。くすくす・・・』
『あの人のやりそうなことだ。』
『ピョルが小学校を卒業したらイ家に住むって言っちゃったわ。』
『なにっ?今でさえ・・・競争率が激しいのに・・・』
『だってシン君・・・今度の赤ちゃんは男の子よ。きっと腕白に育つわ。下の階に気を遣って子育てなんて
私は嫌だわ。』
『そうなのか?・・・俺はあまり気が進まなかったんだが、君がそういうなら・・・仕方がない。』
『私もお仕事に集中できるし、ピョルもお義母様にとても懐いているし、
きっとその方がピョルにとってもいいと思うの。』
『君がそういうならきっとそうなんだろうな。』
もう少し親子だけの家族でいたかったシン・・・二年半後に同居がほぼ確定してしまったようで
少しだけ不満もあったが、何よりも愛する妻が決めたことに反論する気は起らなかった
病院から帰る前に、シンは新生児室の前に立ち寄ってみる
看護師の一人に営業スマイルを向け、目一杯のお願いをしてみることにした
『お忙しいところすみません。シン・チェギョンの家の者ですが、赤ん坊を抱かせてもらえますか?』
30代後半に入り益々男ぶりを上げたシンの願いに、看護師が逆らえるはずもなく
『は・・はい!ただいまお連れいたします~~♪』
二つ返事で連れてこられた赤ん坊を、シンは腕の中に抱き優しく微笑んだ
(昨日より俺に似てきたみたいだ。そうだ・・・名前!名前を早く決めなくては・・・)
イ・シンの長男となる赤ん坊の名前は・・・
はい!皆様・・・イ・シンの長男の名前を募集します。
イ・ピョルに続くイカシタ名前を
考えてやってくださいね~~★
コメントは公開でも鍵でもオッケー
私が一番気に入った名前を
採用させていただきますので
どうぞよろしくお願いします~❤