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Channel: ~星の欠片~
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陽の当たる場所 4

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(はぁっ・・・はぁっ・・・)

息を切らして以前ミンと行ったパーラーに駆け付けたピョル

入り口のドアベルの音に気が付いたミンは、前回と同じ席から手を振った

『ピョルちゃんここよ~♪』
『おばちゃ~~ん♪』

いそいそとその席に向かい、ミンの顔をじっと見つめたまま立ち尽くした

『まぁ~走ってきたの?慌てなくてよかったのに・・・さぁお座りなさい。』
『は・・・はいぃ・・・』

若干緊張した面持ちで、ミンの向かい側に腰掛けたピョルは注文を取りに来たウエイターに

フルールパフェを注文した

『おばちゃん・・・それで・・・あのっ・・・』
『慌てないのよ。さぁ~お水を飲んで・・・』

ミンは氷の入った水を飲む様にとピョルに促した

『は・・・はいぃ~!』

ピョルはゴクゴクとその水を飲み干し、息を整えながらミンに縋るような視線を向けた

『あらあらせっかちさんね。おほほほ・・・・では・・・』

ミンはバッグの中から封筒を取り出し、その中の書類をピョルの目の前に置いた

ピョルは戸惑いながらその書類に目を通す

『えっと・・・なんだか難しい言葉が一杯・・・・』
『そうね。ピョルちゃんにはまだ難しすぎるわ。この数字を見て!』
『99.9?ん~?』
『これはねシンとピョルちゃんが親子である確率を示しているの。』
『ん~~~・・・・』
『おほほほ・・・難しいわね。つまり医学的にシンとピョルちゃんは親子に間違いないってことよ。』
『ほ・・・本当ですか?なかなか電話が来なかったから、私が間違っていたのかなって
とても不安だったんですぅ。』
『ごめんねピョルちゃん。一度目に出した検査で、シンのDNAが採取できなくて二度手間になってしまったの。』
『そうだったんですか。おばちゃん・・・』

ミンは口角を上げるとピョルにウインクをした

『もう~おばちゃんじゃあないわ。』
『じゃあ・・・なんと呼んだらいいですか?おばあちゃん?』
『そうね・・・グランマはどうかしら?ピョルちゃんはお母さんの事をママって呼んでいるでしょう?
だからグランマ♪』
『じゃあ・・・おじちゃんの事は?』
『もちろんグランパよ~♪』
『えっ?でもぉ・・・グランマはグランドマザーの略でしょう?だったらグランファじゃ?』
(まっ!こんなことに頭が回るなんて・・・さすがに私の孫ね。
しかも上げ足を取るところなんて・・・シン譲りだわ。)

ミンはピョルを見つめると窘めた

『ピョルちゃ~~ん、あのね・・・グランマはグランドママの略。グランパはグランドパパの略よ。OK?』
『はぁ~そうでしたかぁ。了解です!!』
『おほほほほ~~~♪』

そこにウエイターがオーダー品を運んできた為、ミンは慌ててその書類を封筒にしまった

『さぁ~召し上がれ♪』
『はい!いただきます~♪』

ピョルがフルールパフェを食べるのを幸せそうに見つめながら、ミンはピョルに話しかけた

『でもピョルちゃん・・・グランマは当分二人の時だけの呼び名ね。』
『あ・・・はい!わかっています。でもグランマ・・・やっぱり私、自分の生まれた時期の事が心配なんです。
私は4月11日がお誕生日なんですけど・・・グランマ、わかりますか?』
『4月11日ね。ちょっと待って・・・』

ミンは両手の指を折りながら、ピョルが不義の子ではないことを証明しようとしている

(ほら・・・やっぱり。10年前真夏に結婚するより前にできた子に違いないわ。結婚後じゃない。
ピョルちゃんにしっかり教えてあげないと・・・)

『ピョルちゃん・・・今計算してみたわ。間違いなく結婚前にできた子よ。シンが前の結婚をしている時じゃないわ。』
『本当に?』
『もちろんよ。グランマが嘘をつく筈ないでしょう?』
『良かったぁ~~♪』
『ところで・・・例の計画は上手くいっている?』
『はいぃ~もちろんです。頑張ってまぁ~す。』
『切り札が手に入ったのよ。二人で協力してあなたのパパとママを結婚させましょうね。』
『はいっ!』
『この鑑定書は・・・あなたにあげるわ。私はコピーを取ったから・・・
ピョルちゃんいいわね。これは最も効果的な時に使うのよ。あなたの賢さに委ねるわ。』
『えっ?これを私が貰っていいんですか?』
『ええ。あなたがイ・シンの娘だという証拠だから・・・大切にしてね。』
『はいっ♪』

DNA鑑定の結果をミンから託されたピョル・・・果たしてこの鑑定結果をピョルはどのタイミングで使うのだろうか





自分の父親がイ・シンであると知ったピョルは、次の土曜日シンがやって来るのを心待ちにしていた

そしてやはりシンもピョルに逢えるのを心待ちにしていたようで、ピョルが食事を摂る時間に顔を出した

厚かましくも昼食時に現れるなんてと自分でも思いながらも、シンはチェギョンの手料理が

楽しみで仕方がなかった様子だ

チェギョンに促され奥の部屋に通されたシンは、ピョルと並んで腰かけた

『シンさん・・・今日はね~いつもよりご馳走だよ~♪』
『ピョル…そんなことないでしょう!』

ピョルのあからさまな密告に、すかさず否定するチェギョンだったが・やはりシンに対してどこか特別扱いな部分が

あるようだ

テーブルに並んだ昼食を前に、シンは幸せそうな笑顔を浮かべた

『今日も美味しそうだ。』
『シン君・・・朝ご飯食べたの?』
『いや。一人暮らして朝食など食べると思うか?』
『はあ・・・もう!体壊すわよ。さぁ・・・早く食べて♪』
『『いただきます。』』

声を揃えて料理を食べ始める父と娘

その光景を見つめチェギョンはなんだか感慨深い気持ちになっていった

(あの時もし私が望めば・・・最初からこんな暮らしができたのかしら?
ううん。そうじゃないわ。私は決してシン君の奥さんの座が欲しかったわけじゃないもの。
でも今こうして並んで食事している二人を見ていると、すごく心が温かくなる。)

幸せそうな二人を見ている自分もとても幸せなことに気が付き、チェギョンの胸の中には

小さな炎が灯ったように温かくなる

それは10年前の灼けつくような熱さではないが、確実にチェギョンはシンを再び愛そうとしていた

『ピョル・・・とても美味しいな。』

そうシンがピョルに話しかけた時・・・ピョルはなんだか憂鬱そうに溜息を吐いた

『どうしたんだ?ピョル・・・』
『あのね~シンさん、来週父親参観日なんだ~!ちょっと気が進まない。学校やスンじゃおうかな・・・』

もちろん本心ではない。ピョルの演技だ

『なにっ?父親参観日?』

二人の会話を聞いていたチェギョンは、動揺してピョルを窘めた

『ピョル・・・食事中にそんな話はしないの!』
『だって~~ユルさんに話せばまた来てくれるでしょう?でもさ・・・みんなに誤解されちゃうよ。私のパパだって・・・
誤解されるの・・・困るんだけどなぁ・・・』
『ピョル!』

それ以上その会話を続けさせまいとチェギョンが声を上げた時、シンはそれを制した

『ピョル・・・来週の父親参観日のお知らせはあるのか?』
『うん。ここに~~~♪』

待っていましたとばかりにピョルは父親参観日のプリントをシンに手渡した

『どれ・・・来週土曜日だな。しかも午前中じゃないか。私が行ってもいいかな?』
『えっ?シンさんが来てくれるの~?』
『あぁ。』
『シン君・・・お仕事忙しいんじゃないの?いいのよ。そんな無理しないでも・・・』

そうチェギョンに言われてもシンは撤回する気はない

なぜなら自分がその父親参観に行かなければ、イ・ユルがピョルの友達や教師から父親だと認識されてしまう

それは絶対に避けたかった

『いや。来週はちょうど休みだ。だから来週はピョルの父親参観に行って、それからピョルとデートしてくるよ。
構わないか?チェギョン・・・』
『それは構わないけど・・・本当にいいの?』
『あぁ。ピョル・・・約束だ。来週絶対に行くから待っていてくれ。午前中で授業が終わるようだから
一緒に還ろう。』
『はいぃ~♪』
(やった~~♪パパが父親参観日に来てくれるんだ~♪
ピョルの本物のパパだよ~~♪)




その夜・・・シンはまたピョルが寝付いた頃チェギョンの店の前に車を停めた

そしてチェギョンに電話を掛けた

『シン君?』
『ピョルはもう寝たのか?』
『うん。もうぐっすり眠っているわ。来ているの?』
『あぁ。出てこられるか?』
『そんな気がしてすぐに外に出られる格好をしているわ。』
『じゃあ待っている。』

車の中からチェギョンが出て来るのをじっと待つシン

チェギョンはすぐに店舗の脇の道から姿を現し、シンの車に近づくと助手席の扉を開けた

『こんばんは。』
『今日はランチをご馳走様。とても美味しかった。』
『簡単な物ばかりよ。お礼を言われるほどの事じゃないわ。それより・・・来週の父親参観日
本当にいいの?』
『あぁ。俺が行きたいと自分からお願いしたいくらいだ。ピョルも喜んでくれているし構わないだろう?』
『ええ。ありがとう。ピョルを可愛がってくれて・・・』
『俺にとってはチェギョンが二人いるようなものだからな。だが母親の方はどうもガードが堅い。くくっ・・・』

シンの口ぶりにチェギョンハくすっと笑う

『シン君・・・こぶ付きだけど私と付き合う?』
『あぁっ?本当か?』
『うん。今日シン君とピョルが食事しているのを見て、なんだかすごく温かい気持ちになった。
昔とは私も違うけど・・・お付き合いしてみる?』
『はぁ・・・あのな、お付き合いしてみる?とかじゃなくて・・・俺としては結婚を前提に考えてほしいんだが?』
『えっ?結婚を前提?』
『あぁ。俺とピョルの関係はとても良好だ。あとは君次第だ。』
『解ったわ。あなたのお父様が・・・お許しくださった時には、ちゃんとプロポーズしてくれる?』
『あ?あぁ・・・もちろん・・・』

感極まったシンは運転席から身を乗り出しチェギョンを抱き締めた


そんな様子を・・・チェギョンの店の二階・・・電気を消した部屋のカーテンの隙間からピョルが覗いていた

(あっ!パパとママが・・・抱き合っちゃった~~❤
ん~~チューするかな・・・あ・・・さすがにそれはまだないか。
そうよママ・・・女は安売りしちゃあダメっ!しっかりパパを捕まえてね♪
全く・・・早くネタ振りするのも大変だよ。
えへへ~~これは早速グランマに報告しなくっちゃ~~♪)

やはりピョルはミンにそっくりな性格をしているようだ



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ピョルとシン君が親子であることも証明され
更に頑張りそうなピョルです~♪

次回は父親参観日です~❤

今日は・・・24回目の結婚記念日です。
念の為言っておきますが
ご馳走もなければ花束もケーキもございません。
当たり前の毎日・・・これが一番幸せなのよね❤


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