『なんと!二人はそのような仲であったか・・・』
先の両陛下はやはり驚愕の表情を浮かべ、その後ウナとホン・ジュソン君の顔を見比べた
ホン・ジュソン君は負傷した身体を起こし、必死に弁明しようと試みている
『お言葉を返すようですが・・・決してそのようなことは・・・』
『見苦しいぞホンイギサ!』
先皇后様の一喝に、ホン・ジュソン君は項垂れてしまった
一体この場をどう収めたらいいのだろうか・・・そう思いながらも私には成す術がなく、また余計な口を挟むのも
躊躇われるほどの空気がその場には漂っていた
どうしよう・・・どうしたらウナを守ってあげられるのだろうか
『お義母様・・・あの・・・』
何の解決策もないままその場を何とか取り繕おうと、私が躊躇いがちに口を開いた時、
先の皇后様はご自身の胸の前で≪パチン≫と大きく手を打ち鳴らし、目を真ん丸になさった
まるで宝箱を見つけた子供のような表情だ
『とても良い考えを思いついたぞ。』
先の皇后様のその嬉しそうな表情に、その場にいた全員が一体何を仰るのだろうかと固唾をのんだ
『ホンイギサが公主との仲を否定しようとするのは、きっと自身の身分を考えての事であろう?
そなたの気持ちもわからないではないが、このように愛らしい私達の孫娘を泣かせるなんて・・・
到底許せることではない。』
『大変・・・申し訳ございません。』
謝ることじゃないのにホン・ジュソン君は頭を下げた
『だがなぁ・・・ホンイギサがいなければ、私は暴漢に襲われ命を落としていたやもしれぬ。
それを思えればホンイギサは私の命の恩人だ。
その恩人を悲しませるような真似は・・・できまい。』
一体先の皇后様は何をお考えなんだろう・・・みんな不安そうに先の皇后様の言葉の続きを待った
『本日限りで・・・前皇后としてホンイギサを解雇する。』
えっ・・・えぇぇぇ~~~っ!!先の皇后様・・・それはあんまりです
しかもそれでは話の辻褄が合っていないじゃないですか!
もちろんホン・ジュソン君もウナも、首を横に振って哀願した
『お祖母様・・・それはあんまりです!!』
『先の皇后様・・・どうかそれだけはご容赦ください。私はこの職務を天職と思い任務を全うしてまいりました。
そのようなご命令は・・・どうかお取下げください。お願い申し上げます!』
必死の表情の二人に先の皇后様は諭すように話しかけられた
『早まるでない!私はそなたたちを引き離そうとしているのではない。
二人の気持ちを何とかしてやりたいと考えておるのだ。
だが・・・ホン・・・そなたがイギサのままでは、公主の婿に少々都合が悪いのでな。
王族の中にミン家という家がある。それはあの悪名高いミン家とは別の家だ。私の生家だ。
今は私の兄が王族としての義務を担っているが・・・実は娘達が嫁いでしまい後継ぎがいないのだ。
このままではミン家が王族から消滅してしまう。それは・・・私としても忍びない。
そこでだ!ホン・・・都合の良いことにミン家の親族にはホンという姓もあるのだ。
それにそなたがウナと一緒になってミン家の後継ぎであるホン家として王族の地位をを守ってくれれば、
王族としてのミン家の血筋は絶えることはない。
こんなうまい話はないだろう?』
先の皇后様はしたり顔でそう仰った
つまり・・・ミン家の後継ぎとしてホン・ジュソン君を王族に仕立て上げる・・・というわけだ
はぁ・・・これは王族出身の先の皇后様でなければ、考えつかないことだ
民間出身の私では、考えも及ばない策略だった
先の皇后様の仰る通りになれば・・・身分の差で二人が苦しむことはない
先の皇后様はホン・ジュソン君に告げた
『ホン・・・そなたを助けるためだけの案ではない。ウナの産んだ子供によってミン家の血統は確実に
引き継がれていくのだ。
つまり利害の一致というわけだな。おほほほほ~♪
ここまで私が説得しても・・・そなたはウナを拒むというのか?』
精悍なホン・ジュソン君の目にうっすら涙が浮かんでいた
『公主様を拒める男が…この世にいるでしょうか。
ですが先の皇后様、私は本当に貧しい家の出身で王族になど・・・』
『だから本日付でイギサを解雇すると言っておるのだ。すぐ兄に連絡をしよう。
そなたは体調が落ち着いたら、ソウルに戻り私の兄から後継ぎとしての教育を受けるのだ。』
つまりお婿さん教育というわけね・・・先皇后様、さすがです
『ウナや・・・そなたに異存はないな?』
『お祖母様・・・ありがとう・・・ございます・・・』
ウナはもう止めることのできない涙をホン・ジュソン君の肩で拭っていた
『あと・・・問題は・・・』
先皇后様はシン君に視線を向けた
シン君は安堵と驚愕のどっちともつかない複雑な表情をしていた
『現皇帝陛下が・・・気持ちに整理を付けるだけだな。おほほほほ~♪』
シン君は自分の生みの母が下した決断に、苦笑しながら答えた
『そうですね。先皇后様・・・あとは私が気持ちの整理をするだけかと・・・』
シン君も相当強張った顔をしているけど、先皇后様のお考え以上の解決策なんて見つかる筈も無く
そう告げて仕方なさそうに頷いた
それから気を利かせ二人だけを部屋に残した私達は、四人で食事を摂ることにした
ウナとホン・ジュソン君には、部屋に食事が運び込まれた
左手を負傷し・・・15針も縫う大怪我をしたホン・ジュソン君の世話を、ウナはきっと一生懸命したはずだ
苦しかった胸の内を漸く吐き出すことのできた二人だから、きっと食事はとても美味しかったに違いない
ウナもこれからはきっと光り輝くほど美しい娘になっていくだろう
ホン・ジュソンの怪我が落ち着くまで皇室リゾートに留まることになった俺達
久し振りに先の両陛下との語らいを楽しみ・・・ウナと今後の事なども話し合った
先皇后様はご実家のミン家の隣にあるご自身所有の土地建物を、ホン・ジュソンに今回の事件の褒美として
与えることを決めたようだ
ホン・ジュソンはソウルに戻ったら、その家で暮らし・・・先皇后様の兄上に王族としての教育を受けることとなった
驚くほどトントン拍子に事が運んでいく
俺はまだ整理のついていない胸の内を必死に堪え・・・それでも嬉しそうなウナの笑顔が見られたことを
非常に喜ばしく思う
父親なんて…こんなものか
娘の幸せの前に、俺のこの微妙な胸の内はほんの些細な事でしかなかったのだ
その夜…みんなが寝静まった後、俺はホン・ジュソンの部屋を訪ねた
手には高級ブランデーの瓶とミネラルウォーターのペットボトルを下げて・・・
花嫁の父が負傷中の婿を表敬訪問するのだ
奴は水で十分だろう?
<トントン>
『はい。』
『俺だ。』
『はっ!陛下!!どうぞお入りください。』
扉を開けるとベッドから起き上がろうとしているホン・ジュソンの姿があった
『起き上がらなくてよい。少しばかり付き合って貰おうかと思ってな。』
俺はブランデーの瓶を奴に見せ・・・そのあとペットボトルのミネラルウォーターを奴に投げた
『は・・・はい。』
ホン・ジュソンは身体を起こし、ベッドサイドの椅子に腰掛けた俺に向かって深々と頭を下げた
『陛下・・・陛下を裏切るようなことになってしまい申し訳ございません。』
裏切るだと?お前の気持ちなどとうに気がついていた
『お前の気持ちなどわかっていたさ・・・』
『えっ?・・・そうだったのですか・・・本当に申し訳ありません。』
『まさかお前に義父と呼ばれることになろうとはな・・・』
『私もまさかこんなことになろうとは思ってもみませんでした。』
『お前の忠誠心はよくわかっている。これも運命だろう。仕方のないことだ。
だがホン・ジュソン・・・この場でひとつ約束して貰いたいことがある。』
『はい。何なりと仰ってください。』
『ウナよりも先に死ぬな。一日でも長くウナよりも生きて、決してウナに寂しい思いはさせるな。いいな!!』
その頃ウナは18歳・・・そしてホン・ジュソンは俺達と同じ41歳になっていた
常識からいえば子供よりも長く生きろと言われているようなものだ
だが・・・ホン・ジュソンは真剣な目で俺の目を見つめ、はっきりと頷いた
『お約束いたします。必ずウナ様よりも一日でも長く生きると・・・。
ウナ様に決して寂しい思いはさせないとお約束いたします。』
『そうか。だったら乾杯しよう。』
俺はウイスキーの瓶をホン・ジュソンに手渡したミネラルウォーターにぶつけ、瓶のままウイスキーを煽った
ストレートでウイスキーを飲むのも・・・瓶に口を付けるのも生まれて初めての事だった
五臓六腑に染み渡るウイスキーはとても苦く…そして瞬時のうちに全身に酔いを運んだ
これは決して自棄酒などではない
これでウナの体調はみるみる快方に向かうことだろう
そしてウナの笑顔もこれからはたくさん見られることだろう
父親として認めたくはないことを認めてしまったおかげで、俺は心の平穏と・・・この先ずっとついて回る
同じ歳の娘婿を手に入れた
なによりも一番大切なのは・・・ウナの幸せな日常
その為ならば・・・娘婿が少々歳を食っていても我慢することにしよう・・・そうするしかない
そしてその晩、どうやら俺は・・・そのままホン・ジュソンの部屋で眠ってしまったらしい・・・
ミン様・・・やってくれるなぁ~♪
って…ちょっとわかりにくかったかな。
つまりミン様の実家のミン家では
後継ぎがいなくて~~
ホン・ジュソンを後継ぎにしようという考えです。
養子縁組じゃなく・・・親戚ってことに
してしまうらしい。
強引だ(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
マイページにつながりにくくて困っちゃう。
皆さんもそうですか?
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つまりミン様の実家のミン家では
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